Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

Skream! 公式X Skream! 公式YouTube Skream! 公式アプリ

INTERVIEW

Japanese

バンドハラスメント

2017年10月号掲載

いいね!

Member:井深(Vo) ワタさん(Gt) はっこー(Ba) 斉本 佳朗(Dr)

Interviewer:吉羽 さおり

-"解剖傑作"というタイトルは、どういった意味合いですか。

斉本:歌詞に、"髪を短くして、あなたみたいじゃないよ?"っていう部分はありますけど、最後は前向きに、誰かの好みに合わせて生きるんじゃなくて、自分で選択をしてという内容になっているんです。人間って、お腹を開けて内臓に服を着せることはしないじゃないですか。誰かに何かを言われたからと言って、本心や自分を着飾ったりするのはつまらないし、その人じゃないわけで。本当の傑作というものは、内臓だったり、着飾っていない部分だったりするんじゃないのかっていう意味合いです。

-カップリング曲「一人隠れんぼ」は、「解剖傑作」とのギャップがすごいというか(笑)。内容もそうですが、サウンド面でも、ミクスチャー的でいろんな遊びが入った曲になりました。

斉本:いろんなことにチャレンジした曲ですね。「解剖傑作」が理論型というか、時間をかけて練って練って練って作った曲だったんですけど、「一人隠れんぼ」の方は、家でひとりで暴れながら、こんな感じでしょうって作ったので。一瞬でできました。こっちは感情型というか、ノリながら作った曲になってますね。

-前作の『エンドロール』だったら、「アリバイパリナイ」に近いポジションの曲っていうか。

斉本:間違いなくそうですね。「解剖傑作」に時間をかけすぎて、こっちはなかなか時間がかけられなかったんですけどね(笑)。勢いでやったところもあるんですけど、それもまぁ、バンドとしては良かったのかなというのはあります。

-生々しさがあっていいと思いますよ。楽しいライヴの光景が見えてくる感じがあるので。

ワタさん:サウンド面でも「解剖傑作」とは違う音色にしようとか、コードの構成を今までの曲で使ってないような感じにはしてました。そういうところは、いろいろやってみようかなと思いましたね。

斉本:それぞれ好きなことをやってみよう、やりたいことをやってみようっていう曲は、結構僕たちの中にあって。作品に1曲は入っているんですよね。

-こうして1回、全開にして遊んでみると、次への発想も広がりそうですね。井深さんは全然違うタイプの曲ですが、感情を振り切って歌う感じですかね。

井深:前の『エンドロール』からそうなんですけど、僕らの曲って種類が多いというか。それを自分でも楽しんでいるところがありますね。自分の今まで出会ったことがない領域にいける気がして。歌ったことない曲を歌ってみたとき、自分の歌がどうなるかに興味があって。今回の曲も、今までで一番攻めた歌い方をしていて、チャラさにこだわったというか(笑)。「解剖傑作」では心からの叫びや切ない感情を曝け出した歌い方だったんですけど、「一人隠れんぼ」はライヴを意識しているのもあって、荒々しさや、チャラさとか、お客さんが乗ってこれるかを意識してますね。この2曲は、自分ではいい意味で攻めた歌い方ができたと思います。

-バンドハラスメントって、自分たちではどんなバンドだと思っているんですか。

斉本:バンドじゃなくても良かったかなっていうのは思ってます。

-どういうことですか?

斉本:いい意味でなんですけどね(笑)。4人でいるのが楽しいっていうのが一番で。友達が多いわけではないメンバーが揃ったので、4人で何かを達成できればいいかなって思ってます。自分たちが、その場その場で思ったことを達成したり、それができなくても違う道を達成したり。目標がたくさんあって、何が何やらわからなくなったりもするんですけど、そこは4つ脳みそがあるので、しっかり考えながらこれをやろう、あれをやろうってここまできたのはあって。

-例えば、こういうバンドを目指してこんなバンドを結成しましたというものではない?

斉本:そうですね。みんな好きなバンドや音楽も違うので。ひとつ、目標に掲げているバンドっていうのはないんです。ひとつになってもいいと思うんですけど、あまりそれは楽しくないかなと思います。

-なるほど。以前ライヴを拝見したのですが、エンターテイメントというか、舞台上だったら何してもいいみたいな感じで、トークもガンガンいくし、喜怒哀楽全部出すようなステージですよね。

斉本:あまりライヴでも他のバンドを参考にするとかがなくて。自分たちが面白かったらそれで良かったりするところがあるんです。そこで認めてもらえなかったら、それでもいいし。悲しいですけどね。認めてくれる人がいるように、全力でやるんですけど、ライヴは好きなようにやってますね。

-それはどんなふうに培われてきたんだと思いますか。

斉本:ラジオをずっとやらせてもらっていることで、"話す"スキルは身についていったのかなと思うし、感情面では、映画とか本とか漫画やゲームが好きで。なんか、俯瞰で見ることが多いんです。当事者になって、友達と遊んで何かを感じる、というよりは、友達が遊んでいるのを見て、感じることが多いので。ライヴでも、ライヴをしながらも見ている感じで、もうちょっとこうした方がいいとか、そういうのが出てくるんだと思うんです。曲を作るときも、この曲ならこういう場所やこういう風景でミュージック・ビデオを撮るだろうなと考える。第三者的に見る感じが多いバンドではあると思います──けど、やりすぎちゃうので(笑)。客観視できない部分もあるので、難しいですよね。