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INTERVIEW

Japanese

LACCO TOWER

2017年08月号掲載

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Member:松川 ケイスケ(Vo) 塩﨑 啓示(Ba)

Interviewer:山口 智男

最新アルバム『遥』がなぜ、メジャー・レーベル移籍後、リリースしてきた2枚のフル・アルバム(『非幸福論』『心臓文庫』)、そして『薔薇色ノ怪人』というミニ・アルバムとは趣が違う作品になったのか? その理由を、LACCO TOWERの世界観をさらに多くの人に知ってもらうために作り方が巧妙になったからだと最初は考えていたが、松川ケイスケと塩﨑啓示のふたりの話を訊いてみると、そうばかりとは言えないようだ。LACCO TOWERらしいエグさは薄まったぶん、確実に聴きやすくはなったが、作品に込めた思いはより深いものになっている。

-1曲目が"ドラゴンボール超"のエンディング主題歌に使われている「遥」だからなのか、今回のアルバムはエグさが薄まったという第一印象でした。もちろん、物足りないっていうのは全然なくて、LACCO TOWERらしいエグさはところどころで感じられるんですけど、松川さんが以前、"リスナーの頭をハンマーで殴るような作品"と言っていた『非幸福論』(2015年リリース)、『心臓文庫』(2016年リリース)という2枚のアルバムとは若干、違うのかなと思いました。

松川:そうですね。伝え方って、肩を叩いたり、電話をしたり、呼び掛けたり、いろいろあると思うんですけど、今回はその中で僕らが試してなかった方法を試したっていうのが根底にあるんですよ。聴けば聴くほど、僕らっぽいところはもちろんあるんですけど、1曲目にああいう曲調の「遥」を持ってきたことも含め、とにかく1回聴いてほしいっていうのがあって、その入り口を多少、広げてみたんです。そういう意味では、『非幸福論』、『心臓文庫』のアプローチの仕方とは全然違いますね。

-そこは意識的なものなんですね?

松川:もちろんです。アルバムのジャケットもアー写も今回、これまでと全然違うんです。

塩﨑:ぴしっとしているというか、着飾っているというか、スーツを着ていたイメージとはまた別というか、逆の方向というか、もっとソフトなものになっています。

-そうしようと思ったきっかけが何かあったんですか?

松川:もういいかなっていうのが正直なところで、今年結成15周年なんですけど、LACCO TOWERを15年やってきて、今回できた曲とか僕が書いている歌詞の内容とかを改めて見直してみたときに、新しいアー写が例えば、僕らが全員、斜めにキャップを被って、ダボダボの服を着ていて、胸に太字で"POWER"って書いてあったとしても――

塩﨑:なんだ、それ(笑)!?

松川:それはないですけど(笑)、それをやったとしても僕らは基本、出している音や表現していることって変わらないんですよね。だから、外見って意外ともう、どうでもいいなってところも今回、出てきていて。そういうこだわりって、今までは僕らを知ってもらうためや、LACCO TOWERを知ってもらったとき、"あ、こういう味なのね"って食べる前からある程度、認識してもらうために必要だった気もするんですけど、"まずは食べてみてよ。食べてもらったところで中華料理は中華料理だから"っていう認識が結構あるというか、バンドの芯がグッと強くなったというか、そういうところがあったから、僕らが本当にこだわるべきことってそこじゃないって思えたんですよ。でも結局、できあがったものって僕らっぽかったんです(笑)。ヴィジュアルも含め、意識的に思いっきり違うものにしてみようとも思ってたんですけどね。それでも僕らっぽい。結果論かもしれないですけど、そういうことだったんです。

-そうなんですよ。エグさが薄まったというよりは巧妙になったというか、北風と太陽じゃないですけど、最初、「遥」でグッと引きつけておいて、あるところから――

松川:おやおやおや、みたいな(笑)。

-気づいたときにはLACCO TOWERの世界から逃れられない、みたいな(笑)。

塩﨑:曲順が印象として大きいと思うんですよ。1曲目にバラードってパターンは今までなかった。だいたい、激しめの曲が1曲目にあって、徐々にこういうソフトな曲もありますよってアプローチだったし、ライヴでラストにやるようなメジャー感のあるノリやすい「喝采」を、今回は2曲目に持ってきた。でも、そういう曲って、今までだってやってたんですよ。今回、順番を変えてみただけで、どれもLACCO TOWERなんです。それに対して"変わったね"って言われても、"いや、知らないんじゃないの? やってきましたよ、こういうことも"って。もちろん、その中でも「遥」は、かなり進化を遂げたものになったと思うんですけど。