Japanese
ビッケブランカ
2017年07月号掲載
-うがった見方かもしれないけど、ストレートに日本語にしたくないときに英語にしてるのかな? っていうのは感じました。
あぁ、「Like a Movie」はそうです。あの曲は日本語にはできないんですよ。甘ったるくてベタベタしてる。糖質がすごいんです(笑)。あとはすごく普遍的なことを言ってるから、世界言語で歌った方がいいかなって。それは広がった見方ですけどね。そういう意味で言うと、「Postman」(Track.7)は日本語で伝えたい曲でした。(曲が)日本語を呼んでたし、この曲の歌詞が大好きなんです。リアリティは一切なくて、自分で作った物語を書いてるんですけど、徹底的に情景描写ができたというか。会心の出来ですね。"イエロウ"とか"ライトブルウ"とか、カタカナのウで止める感じも気に入ってます。
-サウンド的にも懐かしいですよね。
聴く人によってはPaul McCartneyっぽいって言ってくれる人もいて。でも、僕はTHE BEATLESを通ってないんですよ。CARPENTERSなんですね。それもTHE BEATLESとCARPENTERSも繋がってるから面白いですよね。いまは手紙もメールとかで全部が電子的に送れるのに、実際に郵便配達員が暑いなかを駆けて運んでいく。そうやって時代が後ろにいく感じがサウンドと歌詞で連携できてるんです。
-話を聞いてると、さっきの「THUNDERBOLT」は"自分たちの歌"ができたっていう意味で会心の歌詞だと思うけど、それよりも「Postman」が好きなのは、ビッケさんはどこか職人気質なシンガー・ソングライターなんだろうなと思うんです。
あぁ、なるほど。
-そもそも想いを伝えるために曲を書いてない。いい曲を作ることが優先というか、自分が歌うんだっていうことは意識して曲を作ってない気がする。
たしかに僕は歌うときにどう歌うかは考えないですね。作るときはこの曲が生まれるべきか、生まれるべきじゃないかっていう、そこばっかり考えるので。
-楽曲至上主義みたいなところがありますよね。
たしかにそれはあると思います。
-あと少しだけ収録曲の話を聞かせてください。「Broken」はピアノで打楽器みたいにビートを刻んで、ラップを乗せるという手法ですね。
ふざけ真面目みたいな感じで作った曲ですね。
-ビッケさんのルーツにはヒップホップもあるんですか?
ありますね。日本だとZeebraなんかも聴いていましたし。でも、ルーツを掘っていったというよりも、PUFF DADDYとかUsherがフィーチャリングしそうな、LUDACRISとかLIL JONとか、ああいう売れっ子ラッパーの曲ばっかり聴いてましたね。
-こういうヒップホップのテイストだから言葉も強いものを求めていた?
サウンドに引っ張られましたね。この曲に"君がいなくなったこの部屋は寒くて......"とか歌っても違うじゃないですか(笑)。
-最初は何もイメージできていないところから始まったアルバムですけど、仕上がってみたら、バラエティ豊かでありながらビッケブランカの作品ですもんね。
そうですね。こんな作り方をさせてもらえたのもありがたいと思ってます。実際に本当なのかはわからないですけど、100曲作って10曲選ぶっていう話も聞くから。僕は1曲だけ間違いないものを作るっていう方法で作ってるんですね。幸いディレクターが"絶対にいい曲を書いてくる"っていうのを信じてくれてるんです。悠長に"1ヶ月に1曲かけてもいいよ"って言ってくれたから今回のアルバムはできたんです。
-その環境もいいけど、ビッケさんの打率もかなり高いですよね。
そうですね(笑)。どんな作品になるか予想もしてなかったけど、"あぁ、これができたか"っていう感じですね。
-全国ツアー"FEARLESS TOUR 2017"の開催も決まっているので、このあとはアルバムの曲をツアーでどう歌うかを考えていく時間になりそうですね。
そうですね。いまは何も考えてないですけど、現場に入ってバック・バンドと一緒に曲を触ったときにアイディアが出てくるので。それを採用していくんだと思います。
-前回のインタビュー(※2016年11月号掲載)のときに"今後どういうアーティストになりたい?"って聞いたら、ビッケさんは"そんなことは考えてない"って答えたんですよ。
そんなこと言ってました?
-"そのときそのときでやっていけばいい"って言ってたんです。振り返ると今日のインタビューも全部そういうものだった気がする。
あぁ、たしかにそうかもしれない。よかった、辻褄が合ってる。そこは変わらないんじゃないかな。もう神経質な時期は過ぎたんだと思います。若いときに十分神経質だったから。もう神経は使い切った(笑)。いまはいかにナチュラルに自分の中のものを全部出せるかっていうことだけだし、負なものは何もいらないですね。
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