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INTERVIEW

Japanese

ビッケブランカ

2017年07月号掲載

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-じゃあ、「THUNDERBOLT」の歌詞に出てくる印象的なフレーズ、"強いわけじゃない/強くありたいだけ/誰だってそうやって生きてゆく"。これも自分の実感じゃない?

曖昧です。"自分の感覚なんですよ"っていうのも、"いや、自分にはこんな感覚はないんですよ"っていうのも間違ってるし。もう、わからないですね。自分では説明できないんです。この曲に関しては。

-でも歌いたい言葉ではあったんですよね? しかもアルバムの最後の曲として。

そうなんですよね。間違いなくちゃんと伝えたい歌詞ではあるんです。

-これは想像だけど、こういう言葉を歌いたいのは、やっぱりビッケさんが自分の中にある弱さと向き合って出てきた言葉だからじゃないかなと思います。

違うと思います。それだと辻褄が合わないんです。自分と向き合ったから書けた曲じゃないから。自分たちが一緒だって気づいたから書けた曲で。だから説明できないんですよね。"We are the one"みたいな感じで、ひとつになっちゃってる(笑)。僕たちはこう思ってるんですよっていう感覚ですね。

-それがビッケさんの新しい作詞のスタイルなのかもしれないですね。結果的に普遍的なメッセージになってると思いますし。

そうなればいいなと思いますね。この曲はアレンジに関しても、とにかく歌にエネルギーを持たせるようにしたかったので。

-歌詞にはFreddie(Mercury)とかMichael(Jackson)とかが出てきます。

よく言ったなぁ、と思いましたけど(笑)。僕にとっては歴史上の人物なんですよ。みんなそれぞれ自分が一番強いものを歌ってると勝手に思ってるんです。Freddieはチャンピオン、Michaelは世界の団結力、MIKAは黄金の輝きみたいな。で、自分は何だろうと思ったときに、僕は雷が好きなんですよ。実家が山の近くで子供のころに雷をよく見てて、いまも雷が鳴ると稲光が見たくて窓の外を見るんですけど。自分の中で美しくて強いものが"THUNDERBOLT(=雷)"だったんです。

-この曲の"もう恐れるものなど"っていう歌詞が、アルバムのタイトル"FEARLESS"にも繋がったんですよね?

そうですね。この曲ができる前はアルバムのタイトルもコンセプトも一切決まってなかったんです。この曲ができてこのアルバムに価値が生まれたんです。

-そこから自分の中で曲作りが変わったりはしましたか?

うーん......結局は面白くて退屈しない曲を自由に作りたいなっていうぐらいで、それまでと同じように進んでいったんですけど、"もう何を作ってもいいだろう"と思いましたね。だって「THUNDERBOLT」があるからって。

-リード曲の「Moon Ride」(Track.2)はホーンを取り入れたアレンジですね。

そうです。でも自分のルーツにはまったくないので、実は最後までホーンの必要性が理解できてなかったんです(笑)。ただアルバムを作るあたりでPRINCEを聴いてたりして、どうやらPRINCEもこういうことをやるんですって。そういうのもあってやってみたんです。そしたら自分の想像を超えた曲ができあがって、面白いなって思いましたね。逆にこういう作り方もいいのかなとも思いました。自分が完全に手綱を握ってない感じ。この先に振り返ったとき、"あぁ、これ全然手綱を握れてないな"っていうのも面白いんだろうし。流れるままにやろうかなっていう気持ちなんです。それも「THUNDERBOLT」があるから言えることなんですけど。いまはいろんなことをやっておきたい。振り返り甲斐のある歴史にしといた方がいいのかなと思っています。

-いいですね。あとホーンの華やかなアレンジにビッケさんの歌声も合ってますからね。

結局そうなんですよね。自分にとっては実験的なものでも、周りの人たちには"なんでこんな曲が入ってるの!?"なんていう人はひとりもいないんですよ。逆にそれって面白くないですか? その発端は自分だけのものじゃないけれど、でも結局は自分であるっていうものがどう捉えられるか、新しい気づきもありますね。

-ちなみにオープニングのインスト曲「FEARLESS」(Track.1)は「Moon Ride」に繋がるイメージで作ったんですか?

というよりも、「THUNDERBOLT」です。

-これもQUEENの「Bohemian Rhapsody」(1975年リリースのアルバム『A Night At The Opera』収録曲)から?

"ハリー・ポッター"とか"ロード・オブ・ザ・リング"のオープニングのイメージですね。怖い感じのファンタジーみたいなものを想像して作りました。

-なるほど。で、そのホーン曲のあとにアルバムのスパイスになるのが「Stray Cat」(Track.5)ですね。スタイリッシュなダンス・ナンバー。これは最新のトレンドも入れてみようと?

この曲は"別にこういうのもやれるよ"みたいな感じもあるのかも。いまのシティ・ポップもオシャレだと思うし、興味もあるからやってみよう、みたいな感覚ですね。裏声と地声が重なっていく感じとかハモりのラインとかがフレンチ・ポップな感じもあるので、それが個人的にはラブリーかなと思います。

-ほぼ全編英語詞になってるのは?

この曲に関してはサウンド先行なんですよ。それが主役になるべき曲だったから、変な言葉の意味はいらんかなっていう曲でした。

-アルバムには英語が中心の「Broken」(Track.8)、「Like a Movie」(Track.10)と、日本語が中心の「さよならに来ました」(Track.6)、「幸せのアーチ」(Track.9)がありますけど、書き分ける基準はあるんですか?

それに関しては、まず"さよならに来ました"と"幸せのアーチ"っていう日本語の曲が先にあったんですよ。だったら「Broken」とか「Like a Movie」は英語にしようっていう、全体の兼ね合いで決まっていくんです。曲も英語を呼んでましたし。