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INTERVIEW

Japanese

SHE'S

2017年06月号掲載

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Member:井上 竜馬(Key/Gt/Vo) 服部 栞汰(Gt) 広瀬 臣吾(Ba) 木村 雅人(Dr)

Interviewer:沖 さやこ

-その"過去の自分を超えてやる"という動機は?

井上:やっぱりワンマン・ツアーが大きな理由ですね。ワンマン・ツアーはひとつ前の公演をいいライヴで塗り替えていくという意識がすごくあったので、ファイナルは前半少し緊張していた部分もあったりしたんですけど、緊張したのはその想いがどんどん強くなったからやと思うし。そういう危機感は持っていたいなと思うんですよね。

-そうですね。(「Over You」の)"光る僕がいた"というのは自信からくるものですよね?

井上:そうです。サビの最後の"I've got over you"も"超えられたぞ!"ということなので。いままでは"こうなりたい"ということに対して追い掛けているだけやったけど、お客さんや人からの言葉で自分らしさみたいなものや自信をもらってきた。そのもらった自分らしさでいける道――そこで輝ける場所がきっとある。それで"光る僕がいた"という言葉を使いました。追い掛けていたところには行けなかったけど、違うところで自信を持ってやれているよ、という意味ですね。

-超えるべき相手は過去の自分だとしても、そのパワーや新しい選択肢をくれたのは自分以外の人であるということですね。この曲にある"光"と「aru hikari」(Track.7)の"光"は別のものですか?

井上:もともと「aru hikari」は3年くらい前に、自分の弾き語り用に作った曲で、それをバンド・アレンジにして、歌詞もちょっと変えました。「Over You」では"自分が輝ける場所"を"光"にしているので、同じように捉えようと思えば捉えられるかな。でもその2曲の"光"は別のもののつもりで書きました。「aru hikari」は柔らかい歌やし、各々の生活があって、それがどんどん続いていきますようにという祈り、ですね。最後まで見届けることはでけへんし、ずっと隣にいるわけじゃないけど歩いていってね――という個々の生活があるという関係性を描けたらと思って、投げ掛けた言葉にしています。

-どうしようもないことを嘆くのではなく受け入れる、という姿勢なのでしょうか。

井上:この年齢になって"受け入れる"というのが優しさのひとつなのかな、とは解釈してきたので。それは大きいですね。

-「Someone New」はメンバー全員が主役のような、ロックなアプローチの楽曲です。

広瀬:この曲はとにかく速くて。SHE'Sで一番BPMが速いんです。

服部:レコーディング当日にさらに(BPMが)2上がったもんな。それだけライヴ感や勢いを意識しました。

木村:テイクをやりすぎると勢いや新鮮さが薄れちゃうな、という話をしていたので、一発でOKを出すくらいの気持ちで頑張ろう! というのはありましたね。

広瀬:そのおかげで一番瞬発力が出た曲になったと思います。

-その反面、歌詞には失恋が綴られているという、『プルーストと花束』の「グッド・ウェディング」的なアプローチ。

井上:(インディーズ時代の作品では)失恋は暗く歌ってたんですけど、「グッド・ウェディング」でラフな感じで失恋を歌うことをやってみて。今回は疾走感の中で、どうにもならないことはわかっているけど......みたいな諦めたいけど諦めきれない感じを歌ったら面白いかなと思ったんですよね。ELLEGARDENがめっちゃ激しいパンク・サウンドでひとりの女の子のことを歌っている......それが面白いなと思っていたので、その影響はあるかもしれません(※井上はELLEGARDENに影響を受けてバンドを始めた)。

-「Don't Let Me Down」(Track.4)は『プルーストと花束』の「Say No」ポジションのエモーショナルな曲ではあるけれど、横ノリのリズムがあって、SHE'Sにはまた新しいテンションの曲になったのでは。

広瀬:この曲は"大人SHE'S"って感じ。24歳になってやっと大人の良さが出てきたんちゃうかなぁって。

服部:アレンジも音作りも洋楽を意識して。いままでにない、あまりやらないようなアプローチをしていきましたね。

-歌詞からも、自分自身に対する期待やハードルを上げている印象があります。ところで、歌詞中の[Remember, this is my favorite word/"Let's go out though you don't have a long boots"]とは?

井上:SIGUR RÓSの「Hoppípolla」(2005年リリースの4thアルバム『Takk...』 収録曲)という大好きな曲の歌詞を英訳したもので。長靴なんて履いてないけど行こう――すごく好きな言葉なんですよね。そういうことを歌詞でやったことがなかったので、ちょっとやってみたいなと思って。

-SHE'Sの精神性ともよく合っているし、英訳引用はナイス・アイディアです。次曲「In the Middle」(Track.5)は上京直後の心情を綴ったものですか?

井上:まさに(笑)。"二両編成の電車"は上京直後に東急世田谷線を見掛ける機会があったことに影響しているし。上京した日に"空っぽの冷蔵庫"の動画をInstagramに上げましたね(笑)。新しい環境になって改めて"まだまだ夢の過程やな"と思って、その気持ちをそのまま書いて。