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INTERVIEW

Japanese

シュノーケル

2017年03月号掲載

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Member:西村 晋弥(Vo/Gt) 香葉村 多望(Ba) 山田 雅人(Dr)

Interviewer:吉羽 さおり

2010年にいったんは活動を休止したが、2014年末にリスタートし、ポップ・マイスターぶりに磨きをかけた前作『EYE』で完全復活を遂げたシュノーケル。創作意欲はすこぶる高いようで、早くも4作目となるアルバム『popcorn labyrinth』が完成した。前作にも増してバンド感の高い、勢いのある演奏を聴かせつつ、エヴァーグリーンで、めまいのするようなポップなメロディやサウンドは芳醇で、まさにポップ職人としての貫禄や、脂が乗っていることを感じる1枚だ。今回のテーマは"宇宙"。その壮大なテーマを、1曲1曲にぎゅっと封じ込めており、想像力の広がる作品になっている。

-4作目のアルバム『popcorn labyrinth』が完成しました。今回は"宇宙"がテーマということですが、それは曲作りの前からあって、コンセプチュアルに作っていったんですか。

西村:曲ができる前からですね。もともと宇宙は、いつかちゃんと調べたかったというか、興味があって。毎回、自分の中で区切りよくするためにアルバムのテーマを設けているんですけど、今回は宇宙がタイミングよくピタッとハマッて。僕が言い出したら、世間も"宇宙、宇宙"と言い出したんです。

山田:そういうとこあるよね(笑)。

西村:まぁ、僕が興味あるから余計にそれが目に入るようになっただけなんでしょうけど。

香葉村:それか、(西村に)時代が追いついたかだね。

西村:追いついてきたかな。リリースしたあとに追いついてきてくれたらよかったんだけど。じゃないと、僕が乗っかったみたいになっちゃうから(笑)。

-宇宙自体に、以前から興味はあったんですね(笑)。

西村:宇宙というテーマを設けたんですけど、なんせ全部が宇宙なので、わりと広くて。逆に、深いところに突っ込んでいかないとなんでもよくなっちゃうなっていうところはありました。

-たしかに。大きなテーマなだけに、いかにそれを自分に引き寄せるかというのはありますね。最初にできた曲はどのあたりですか。

西村:前回のアルバムのツアー初日が広島だったんですけど、その移動の道中で、「すべてを映す鏡」(Track.11)と、「妄想中」(Track.3)と、今回収録しなかったもう1曲ができて。それが最初でしたね。仮眠で泊まった多賀サービスエリアでひらめいて。僕はずっと運転してきたんですけど、寝ることもなく、喫煙所でずっと歌詞を書いてました。メロディはできていたので、歌詞をそこでパーッと書いて、その日の夜には「妄想中」を歌ってました。初日は弾き語りライヴだったので、そのときは弾き語りだったんです。

-その時点で、アルバムの構想はできていたんですか。

西村:テーマはできていたので、歌詞もそのままハマッていって。オチというか、アルバムの結末から作ることが多いんですよ。最初にできたのが「すべてを映す鏡」で、もともとはこの終わりの曲に向かってどうアルバムを作っていくかがスタートだったんです。結果的に、エピローグ的にもう1曲増えたんですけど。最後ができると、あとはどう向かうかだけなのですごくラクなんですよね。

-アルバムの流れとしては、サウンドのストーリー性みたいなものも大事になってくると思うんですが、今回はアレンジ面ではどう考えていたんですか。

西村:いままでは、僕が曲を作ってそれをみんなでアレンジすることが多くて。今回もそういうのは多いんですけど、僕がほとんど作り込まずにみんなに渡して、スタジオで"さぁ、どうしようか"っていう形で話し合って作った曲もわりとありました。すごく面白かったですね。

-今回はサポートの、ギターの岡 愛子さんとピアノのつるうちはなさんも一緒に作っていますよね。

西村:プリプロから一緒に入ってもらったんです。自分の中ではっきり固まってるものはそれでいいんですけど、これは固めない方がいいかなという曲もあって。「理由」(Track.10)がそうなんですけど、どう展開していくかをみんなとスタジオで話しながら作りました。それはたぶん、自分ひとりでやっているよりも、きっといいものになるだろうなというのがあったので。実際にそうなってよかったなと思いますね。

-シンプルな3ピース感が活きた音にもなっているし、プラス・アルファ、今の5人でやっているアンサンブルの面白さやグルーヴも引き立ってもいます。今回も"labyrinth=迷宮"だけれども、前作『EYE』(2015年リリースの3rdアルバム)でのポップで捻じれまくった迷宮感とはまた違った面白さがある。

西村:そうですね、前作は本当にただの迷宮だったので(笑)。

山田:はははは(笑)!

香葉村:ただの迷宮だったんだ。

西村:前作は復活作の第1弾にして、一番特殊なアルバムだったかもしれないですね(笑)。

-相当、濃かったです。

西村:今回は狙い澄ましている感じがありますね。

-ポップ性と曲のフックやキャッチーさがより意識されているように思います。

西村:プロデューサーがいないので、僕らがみんなプロデューサーという感じで。もともと僕が作るんですけど、メンバーに渡したら、あとはみんなで作っていくというのを、スタイルとしても確立した感じがありますね。

-先ほど、アルバムの結末から制作がスタートしたということでしたが、最後の方にできあがったのはどのあたりですか。

西村:「理由」とか、表題曲の「popcorn labyrinth」(Track.5)、「syzygy〜フェルミのパラレル〜」(Track.7)とかは最後の方に一気に録った3曲だったよね。

香葉村:曲も一気にできたんだ?

西村:曲はいっぱいアイディアがあって。どれを選ぼうかなっていうので、最終的にこれになった感じだったんです。

-いま、かなり創作欲が高い状況ですね。先ほどもバンド感の話をしましたが、今上がった曲も然り、ロックンロール感がありますね。いいドライヴ感が出てます。

香葉村:THE BEATLESを聴いたりしてるから。

山田:なに、そんなに吸収できてるの(笑)?

西村:本当に、「TODAY」(Track.6)とか「すべてを映す鏡」とかは、若干パロディもあるしね。

-そうですね。「TODAY」は、LED ZEPPELINとTHE BEATLESと、あとはTHE SMASHING PUMPKINSが混ざったような感じで(笑)。

西村:そうです。スマパンもありましたかね、そこは聴いたことなかったですけど(笑)。あと、QUEENの転調も混ざってる。そこは、人に言われて気づいたんですけどね。ツェッペリンはモロ出すぎましたけど。

香葉村:俺、よく知らないからわかってなかったけど。

西村:しかも、うまいことに「Stairway To Heaven」(1971年リリースの『LED ZEPPELIN Ⅳ』収録曲)のフレーズなんだよね。

-あの名フレーズを! というのはありました(笑)。そういういろんなオマージュを散りばめることで、キャッチーさが出た曲でもあるんですよね。

西村:生き死にのことを歌った曲で、そのフレーズが入ってるっていう(笑)。ただ僕、その曲は知らなかったんですよ。絶対に聴いたことがあるので、そこから来ているんだと思うんですけど、それがツェッペリンの「Stairway To Heaven」という曲だっていうのは知らなくて。あとでタイトルを知って、"あぁ、シンクロしてるな"っていう。

香葉村:無意識の俺、すごいって?

西村:持ってるなっていう。そういう意味があるフレーズだと、聴いた人は思っていると思うんですけど。

-てっきりそうだと思ってたんですが、偶然だったんですね。

西村:狙ってできてたら一番いいんでしょうけどねぇ。

香葉村:仕事が来るミュージシャンだよね、それは。

山田:仕事来るね。

西村:ただ、知ってたら使ってないかもしれない。知らなかったから無邪気にできちゃうところもあるのかも。

香葉村:また、メンバーも気づかないっていう(笑)。

山田:俺は、いいなと思ってた。知ってはいたから。

香葉村:それ、言ってあげないと!

山田:狙ったもんだと思ってたからね(笑)。