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INTERVIEW

Japanese

Charisma.com

2017年03月号掲載

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Member:MCいつか

Interviewer:石角 友香

-たしかに。そして音楽的な話をすると、いつかさんのラップと歌とハマ・オカモトさん(OKAMOTO'S)のベースのみの曲「classic glasses」(Track.6)は非常に独特です。そしてかっこいい。

これはもうチャレンジ。ディレクターさんと話をしてて、"そういう曲があっても面白いよね"、"じゃあどの楽器がいいだろう?"から始まって、"ベースじゃない?"って話になって、じゃあハマ君にということでお願いしたんですけど、いかんせんハマ君も"クリックだけを聴きながらベースを弾くことなんて初めてです"ってレコーディングで言ってて。初めてやることだったから、探り探りでした。最初に自分で適当にビートを打って、ラップを乗せる、それも初めてだったんですけど。それをハマ君に投げて、"じゃ、ベースはこんな感じでつけます"っていうのがレコーディングの2日前ぐらいに返ってきて、"じゃ、あとは(スタジオに)行ってからだな"みたいな。

-ベーシストとしては引き出しの多い人だけど、ベースだけと言われるとね?

なんかもう"これでいいんですか?"って、何回も確認されました。"うん、いいと思うんですけど、どうですか?"みたいな感じで、ほんとに探り探りでしたね。

-ヒントになるものはあったんですかね。

ハマ君の中ではPatti Smithがライヴでポエトリーをやってる映像がイメージに近かったっぽいです。そういう感じを私もイメージしつつだったんですけど、たぶん全然違う(笑)。

-Tokyo Recordingsとの「だったらshow me」(Track.7)は、森川由加里さんの「SHOW ME」(1987年リリースの2ndシングル表題曲)的な80年代感があって。

でもそれ、ちょっと意識してます。

-依頼するときに何か伝えましたか?

特になかったです。最初にトラックを上げてきてくれたときに"暗い曲しかできない"って言ってたんですけど、本当にものすごーく暗い曲だったんです。それで、"も、もうちょっと明るい方がいいかな"って言って、このトラックになったんですけど。


夢を抱くのはいいけど、現実を見ずに逃避の方の夢を見るのは違う


-キラキラしたサウンドの中でかなり厳しい言葉が続きます。テーマはなんですか?

これ結構、ストレートに書いたんですけど――言うけどやらないし、やらないけどなんか必要としてほしいみたいな人に向けて。もう、それだけ。そういう人とはあんまり関わりたくないなって思いが出てしまったのかな。

-そういうことを言ってる間に時はどんどん進んでいってしまうのに。

そうそう。そうなんですよね。それにももうついていけないんだけども、"必要としてほしい"って思いだけが強い人っているじゃないですか? 何もやらないのに。あと、その場しのぎの"私、やります!"みたいなものは、ものすっごくいらない要素なんです。

-タイトル・トラックの「not not me」(Track.11)はストレートですね。

これは一番、苦戦しました。蔦谷(好位置)さんが、"こういうのはどう?"ってメロディをつけてくださって。言葉にならない言葉で歌って投げてくれたんですけど、自分の言葉じゃない流れのメロディだから、日本語詞をつけると......なんかどうにもこうにもダサくなっちゃうループにハマッちゃって、"どうしたらいいだろう?"と。そもそも言葉数が多いラップだから、その癖も出ちゃってて。"言葉を抜けばいいんだ"というのも途中で気づいたんですけど、すごく難しかったです。

-いわば歌モノですし。これも切ない風な歌詞ですけど、よくよく聴くと......。

そうです。"夢見てんじゃねぇ"って話なんですけど、あえて"夢を見てるんだね、君は"って歌詞にしました。

-最後に、このアルバム全曲を聴いたあとにどういう気持ちが残ればいいと思いますか?

ちゃんと現実を見る......っていうことに落ちてくれるといいんですけど。現実もちゃんと見てるようで、夢も見ようとしちゃうみたいな人が、ちゃんと現実を見るようになってくれたらいいかな。夢の見方がちょっと違う気がするんですよね。夢を抱くのはいいんですけど、逃避の方の夢は見るものではないと思ってるから。ちゃんと現実を見つつ、地に足をつけながら"頑張ってよ!"って感じです。