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INTERVIEW

Japanese

Charisma.com

2016年03月号掲載

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Member:MC いつか DJ ゴンチ

Interviewer:石角 友香

メジャー・デビュー作『OLest』で、自らのOL目線で社会に生息する人々の悲喜こもごもを怒り以外のベクトルでも描いたCharisma.com。そんな彼女たちが前作の主人公をポップ・ミュージックの常道"愛だの恋だの"の世界で動かしてみたら......。ラヴとヘイトが渦巻く日常を痛快な作品に昇華した『愛泥C』についてふたりに訊いた。

-メジャー・デビュー以降、改めて"Charisma.com"ってどういうユニットだと自覚しましたか?

いつか:とりあえず"毒を吐いてる"というイメージが強いんだなと。そう言われることが多いですね。そういうつもりはないんですけど。

-音楽的にはいかがですか?

いつか:1枚目(2013年リリースの1stミニ・アルバム『アイアイシンドローム』)を出したころよりは音楽性もちょっと変わってきている自覚があるし、より多くの人に聴いてもらいたい気持ちがあるので、意識的にキャッチーにしてるところもあるんですけど......まぁどう思われてるかよくわかんないですね(笑)。私個人としては、かっこよくはありたいんですけど、Charisma.comはふたりでやっているので、かっこよさではなく、キャラだったり、面白さだったり、楽しさを大事にした方がいいのかな?と思ってます。

-ゴンチさんはいかがですか?

ゴンチ:バンドさんとも一緒にライヴをやることもありますが、私たちはバンドじゃないですし。かといってヒップホップ界隈の方々とがっつりやるのかといえばそうでもないし。夜中のイベントにも出演しないので、どこにも属さないグループなのかなとは思います。

-00年代以降の女性シンガー・ソングライターは女性の生々しいところを歌わないじゃないですか。結構"前向き!"で。90年代のJ-POPの方が生々しさはあったなと思って。

いつか:そこを意識したことはないんですけど、でも大黒摩季さんとか......。以前、カラオケで工藤静香さんの「慟哭」(1993年リリースの18thシングル表題曲)を歌ったんですけど、"これヤバイね!"みたいな歌詞ありましたね。最近の曲は本当に前向きだし、きれいなところだけしか切り取ってない感じはある。今はTwitterの炎上の方がリアルになってて。あれは誇張して"炎上"ということになってるけど、そういう背景があるから、より"みんなと仲良し"なのが"良し"とされてる風潮がありますね。

-今作の『愛泥C』はテーマ性を持って臨んだんですか?

いつか:前作『OLest』(2015年リリースのメジャー・デビュー・ミニ・アルバム)が、会社で起きることに対するOL最上級の怒りみたいなものをテーマにしていて、そのときは"怒ってるOL"をイメージした主人公だったんですけど、じゃあその人がプライベートな部分、世間のみなさんが好きな"愛だの恋だの"を表現したらどんな作品になるだろう?みたいなことを考えて。であれば次は"愛だの恋だの"をテーマにしようと思って(笑)。

-自己愛みたいなものが大きいですね。

いつか:そこなんですよね、"自己愛"。それを批難してる。それどうなん?を提示するアルバムになりましたね。

-前作があって今作があるという流れはたしかにわかりやすい。それにしても、前回より攻撃的な感じがしたのは私だけでしょうか。

いつか:自覚的ではなかったんですけど、それは言われます(笑)。まずいですよね、もうクセになってきちゃってますね。なんだろ......見せ物として"攻撃的"というか。毒のつもりもないんですけど、もっともっとって。ピアス1個空けたらもっと空けたくなるような感じになってきちゃってますね。

-愛や恋自体は悪いものじゃないのに、なんでこう批難したくなるのか......。

いつか:なんですかね? でもやっぱり綺麗事を並べているものが多すぎる気がしてるのは事実で。嫌いではないんですけど。店員さんも知っててやってるのかなってくらい日常的に最近カフェで女子2人組の隣にされることが多くて。"ネタがここにあるよ"って感じで。聞こえてくる話もいっつも同じで、堂々巡りみたいな。

-堂々巡りの人の話ってどういうのが多いと思いますか?

ゴンチ:私の話で言えば......(笑)、独身の友達ふたりで"どうやったら彼氏ができるか?"とか"どうやったら結婚に近づけるか?"とか、そういう感じで毎回同じ話になりますね。

いつか:そんなの隣で聞いてたら嫌でしょ? そんなん"お前自身が変われよ"って話だし。

-このふたりが一緒にやってることが面白いですね......ところで、ふたりの音楽的なモードの変化はあるんですか?

いつか:ちょっと四つ打ちバキバキに飽きてきてるというのは正直あって(笑)。それはトラックメーカーさんに伝えてはいるんですけど、"疾走感がいい"、"ライヴでノリやすい"、"なんとなくかっこいい"というお客さんの意見もあるので、そこをうまく縫って作らなきゃみたいな考え方は最近生まれてます。最初のころは全然考えないで"これが好き"、"あれが好き"だけでやってたんですけど、聴いてくれる人と一緒に動いてくれるスタッフさんのことも考えつつ、曲も作っていかないとなっていう思いはありますね。