Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

Skream! 公式X Skream! 公式YouTube Skream! 公式アプリ

INTERVIEW

Japanese

秀吉

2016年08月号掲載

いいね!

Member:秦 理絵

Interviewer:柿澤 秀吉(Vo/Gt) 町田 龍哉(Ba) 神保 哲也(Dr)

群馬を拠点に活動する3人組ロック・バンド 秀吉が、1年ぶりに完成させた3枚目のフル・アルバムはその名も『ロックンロール』。2014年から自主レーベル"sirosiba record."を立ち上げ、新たな環境に身を置いて音楽を鳴らし続ける彼らは、今作で初めてクラウドファンディングによるアルバム制作にチャレンジした。本当の意味でリスナーと一緒に作り上げたと言える1枚。そこには"今を大切に生きてほしい"――そんな力強いメッセージが秀吉らしい飾らない言葉で綴られている。結成12年の秀吉が掲げるロックンロールとは?その真意を3人に訊いた。

-"秀吉"というバンド名は柿澤秀吉さんのお名前なんですね。

柿澤:そうなんですよ。最初にバンド名をつけるとき、カタカナや横文字のバンド名は似合わないなと思ったので"どうしよう?"って迷いながらつけました。

-"歴史っぽいことを歌うのかな"とか思われたりしません?

柿澤:いろいろ言われますよ。もっとハードコアなイメージがあったって言われたり、般若のイメージでラッパーっぽいアーティストなのかと思われたり。それを逆手にとって結成当時によく言っていたのは"音楽性を想像できないバンド名がよくて"とか......。

町田:無理矢理言ってたよね。

柿澤:自分たちに言い聞かせて、気づいたら12年が経ってました(笑)。

-もう結成12年になるんですね。ここ最近は5年間所属していたLastrumを離れて自主レーベル"sirosiba record."を立ち上げてリリースを重ねていらっしゃるので、傍目ではマイペースな活動なのかなと思いますが。

柿澤:なんて言うか、ゆっくりなペースでやりたいから自主になったわけじゃないですね。むしろ、もっと攻めたい感覚で。マイペースに活動を始めたら以前より詰め詰めでした(笑)。会社に所属していると、どうしてもリリースとかライヴを打つタイミングをある程度コントロールされる部分があったので。もっと自分たちが主動でやってみたいなと思ったんです。

-そういう流れもあって、今回のアルバム『ロックンロール』ではクラウドファンディングという方法を選んで制作していったんですね。

町田:もともと"こんなのがあるよ"って人に教えてもらったんですけど、最初は自分たちもやろうとは思わなかったし、何とも思ってなかったんです。そういえば友達のバンドがやってたなと思ったぐらいで。ちょっと怖いイメージもあったんですよね。

柿澤:どちらかと言うと最初はいいイメージがなかったんです。でも、自分たちのバンドの雰囲気に合うやり方が見つかるのであれば、新しい動きとしてやるのはありなのかと思ったんですよ。

-バンドとしてクラウドファンディングをやる一番のメリットは何ですか?

町田:単純に自主レーベルなので資金繰りですよね。クラウドファンディングっていうのは、それを実行するために目標となる数値を金額か人数で設定できるんですけど、僕らは人数でやれたのが良かったと思ってるんです。金額目標だと、それに到達しないとアルバムが出ないと思って無理しちゃう人もいると思ったので。そうじゃなくて、それぞれの人が自分に合ったプランと金額を自由にチョイスしてくれた方が、参加してくれた人たち全員がチームとして作るアルバムになるんじゃないかなと思ったんです。

神保:こっちも気分的に重くないもんね(笑)。

-今回はその目標人数を50人に設定してたわけですけど、蓋を開けてみたら達成率が252パーセントという結果になりましたね。これは想像以上だったんじゃないですか?

柿澤:そうなんですよ。始めたときは不安しかなかったので、すごくありがたいと思ってます。

-アルバムに期待してくれてる人がどれだけいるかということを数字でリアルに感じられたのも大きかったんじゃないですか?

柿澤:そうですね。これだけの人がアルバムを求めてくれてるんだなというのが目に見えてわかるので、すごく支えになりましたね。金額に応じたリターンとして、弾き語り独占とかアコースティック・ミニ・ライヴとかやったんですけど、それも喜んでくれたみたいで。"安いぐらいです"とか"またこのプラン買いたいです"とか言ってくれる人もいましたね。

-こういうやり方は若いバンドの方が戸惑うことなくできると思うんでけど、秀吉のようにキャリアの長いバンドが試すのは勇気がいる気がします。

神保:今はもう"死ぬほどCDが売れる時代じゃないでしょ"というところですよね。CDでセールスを出すより、その使い方が大事になってる。だから新しい形で今回はCDを出してみて、いろんな方法を試してみたいと思ったんです。

-ちなみに、もし目標人数を達成しなかったらアルバムは出なかったんですか?

町田:まぁ、そこは出してましたけどね(笑)。

柿澤:そうだね。このタイミングでアルバムを出すのは決めてました。