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INTERVIEW

Japanese

Droog

2016年08月号掲載

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Member:カタヤマヒロキ(Vo) 荒金 祐太朗(Gt)

Interviewer:岡本 貴之

前作『ぶっとびぱなし』より約3年ぶりのアルバムとなる『命題』を自主レーベル"TICK RECORDS(ティック レコーズ)"からリリースするDroog。メンバー全員幼稚園からの幼馴染で結成され、17歳でデビューした4人は、今作のリリースに至るまでに"実は、一旦バンドを解散しようかというところまで行った"と言う。彼らは、いかにしてそこから新たな血が脈打ち熱い鼓動を感じさせるこのロック・アルバムを完成させることができたのだろうか。カタヤマヒロキ(Vo)と荒金祐太朗(Gt)のふたりに話を訊いた。

-3rdフル・アルバム『命題』が完成した今のお気持ちを聞かせてください。

カタヤマ:3rdフル・アルバムなんですけど、自主レーベル"TICK RECORDS"を立ち上げてからの第1弾なので、1stアルバムのような気持ちです。"やっとこういうものが作れたな"という感じですね。

荒金:僕も、一番良いアルバムができたなっていう気持ちですね。ただ、初めて全部自分たちでやっているので、"作ってからリリースするまでがこんなに長いんだ"って驚きました(笑)。もう作った時点で満足しちゃって。でもそこからリリースするまでにやることが多いんだなってことがわかりました。今はみんなの元に届くのを楽しみにしています。

-結構前に完成していたんですか?

荒金:作り始めたのは今年に入ってからです。去年のDVD(ライヴ会場限定DVD『naked droog』)のツアー・ファイナルが12月25日に渋谷MilkyWayであったんですけど、そのときに自主レーベル立ち上げを発表して。"1月は制作するのでライヴはやりません"って宣言したんです。そこから始まりました。

-自主レーベルの代表はバンドのリーダーでもある荒金さんとのことですが、実際どんなところが大変ですか?

荒金:今まで関わってくれていた人たちに手伝ってもらっているので、チームで言えばそんなに変わっていない気がするんですけど、自分でいろいろ決定しないといけないので。その決断に一番勇気がいりますね。

カタヤマ:何かあったら相談してもらって、基本的にはリーダーに任せています。

-Droogの4人は幼馴染ということですが、そういうリーダー・シップとかは昔から変わらない感じですか?

カタヤマ:いや、どうでしょう(笑)?

荒金:小学生のころ、僕は家庭が厳しくてすごく勉強させられてたんです。"祐太朗は勉強できるし"みたいな、何かそういう感じはありますね。

カタヤマ:優等生だったんですよ。友達の中で一番。

荒金:最近気がついたんですけど、小学生の自分と今の自分が同じっていう人ってあんまりいないと思うんですよ。でも僕らはずっと一緒にいるので、やっぱりその関係性になっちゃうんですよね、4人でいると。"まぁ、祐太朗が学級委員やろ"みたいな感じで。それが最近、自分が一番ダメなんじゃないかなって思うようになりました。"もう小学生の自分じゃないな"って(笑)。

-そういう関係でずっとバンドをやっているのって滅多にないことですし、はたから見るとすごく幸せなことだと思いますが、幼馴染だからこそ難しいところもありますか?

カタヤマ:俺たち、同級生でずっとやっていて、そんなに誇れるところってないんですよ。俺が絶対ヴォーカル向きだとか、こいつ(荒金)がギター向きだとか、べースがすごいドラムが上手い、とかじゃなくて、みんなゼロからやってきたので。ただ唯一、昔から知っている4人でやっているという絆は誇れるところだなっていうのはあります。そこは自分で"Droogかっこいいじゃん"って思いますね。

-今作は前作の2ndアルバム『ぶっとびぱなし』(2013年リリース)と比べても歌い方からサウンドまでかなり違う印象ですが、この3年間にどんな変化があってこの作品に結びついているのでしょうか。

カタヤマ:独立することになったのが2015年の9月なんですけど、実はその時点で"一旦バンドを解散しようか"っていうところまで行ったんです。僕たちはデビューしたのが17歳のときだったんですけど、バンドをやり始めてすぐに大人の人がついてくれて、ブッキングもやってツアーも組んでくれて、音源作りも手配してくれて、という中でやってきていたんです。でもそれがなくなって、自分たちで全部やっていくことはものすごく大変なことだし......まぁ言ってみればバンドをやるうえで当たり前のことなんですけど、今までやったことがなかったので、これまで以上の強い気持ちがないと、続けられないなと。それで4人で"やるかやらないか"を話したときに、"やっぱりこのままじゃ悔しいよな"って。もうちょっと自分たちの足で立ってやろうってなったんです。一時はバンド名も変えようかというところまで行ったんですけど(笑)。

-えっ、バンド名を変えるって相当な覚悟がいるんじゃないですか?

カタヤマ:そうなんですよ(笑)。もう、名前も捨てて新人バンドとして出ようぜっていう話にもなったくらいなので、そのくらい一新というか、それが音にも出ているんじゃないかと思います。

荒金:2015年の9月に独立して、リリースの予定もなくただライヴをこなしていくような感じで。ちょこちょこ新曲を作ってライヴでもやってはいたんですけど、なんか僕ら的にも全然景色が変わらないし、バンドとしてずっと前に進んでいない状況が続いていたんです。そういう流れの中で独立して、すぐ動いた方がいいと思ってまずDVDをリリースしてツアーを回ったんですけど、3年くらい前のアルバムの曲をずっとやっていたので、このままだとバンドとして次にいけないなと。シングルとかミニ・アルバムの方が自主レーベルとしても出しやすかったとは思うんですけど、バンドの状況としては、生まれ変わるくらいのフル・アルバムじゃないといけないっていうのは4人の中で明確にあったんですよ。フル・アルバムを作らないとダメだっていう目標に向かって、年明けから制作に入ったんです。

-じゃあ、ライヴでやってきた新曲を入れたわけじゃなくて、フル・アルバムを作ろうと明確に決めてから作った曲が入っているということですか。

カタヤマ:そうです。その期間にライヴでやってきた定番みたいになっている新曲もあるんですけど、それはあえて入れずに今回できた曲を入れたんです。

荒金:DVDも自主レーベルから出しているんですけど、そのときはまだ(自主レーベル発足を)発表していなくて。ツアー最終日に発表したんですけど、けじめというかそこから再スタートという気持ちだったんですよね。なので12月25日からそういう意識でやってきました。

カタヤマ:まっさらなものを作りたいという気持ちがあって。それがこのジャケットにも出ているんですよ。これは、モールス信号で"命題"って書いてあるんです。

-"命題"というタイトルは重い印象がある言葉ですが、どうしてこのタイトルになったのでしょうか。

カタヤマ:"命のタイトル"と言いますか、このアルバムは"やっぱり俺たちはロック、バンド、ライヴが好きだな"っていうことを歌っていて。俺たちにとってそれが"命題"なんだろうなって。やり続ける宿命じゃないですけど。このアルバムは、時代の流れにすごく逆らっているアルバムだと思うんですよ、音も古臭いし(笑)。絶対に今の若い子たちの中で流行っている音楽ではないんですけど、俺たちにはこれしかないよなって、開き直っちゃったんですよね、独立した時点で。例えば、今流行っているEDMとかに俺たちが乗っかっても、俺たちが完成させて出すころにはもう遅いし。だったら、俺たちが好きなことをやって臨まないと意味がないなと。それがタイトルにも表れているんです。重たくても、キャッチーじゃなくても、"命題"で行こうと。今これをやらなかったらいつやるんだって思ったんですよね。

-表題曲のTrack.10「命題」は強烈な曲なので、これでアルバムが終わるのが結構衝撃的だったんですけど、Track.1「終点」とどちらを1曲目にしようか迷ったんじゃないですか?

カタヤマ:迷いました(笑)。「命題」という曲は、当初"ロックバンド"というタイトルだったんです。それで1曲目に持ってこようと思ったんですけど、Track.9「こわれても」でこのアルバムは一旦終わって、次回予告みたいな感じで「命題」を置いたんです。次回予告と永遠のテーマとして。自分たちはロックが好きだしバンドが好きだしライヴが好きだという宣言というか。