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INTERVIEW

Japanese

フラワーカンパニーズ

2015年09月号掲載

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Member:鈴木 圭介(Vo) グレートマエカワ(Ba)

Interviewer:天野 史彬

-今は、音楽活動を続けていくこと自体が大変だから、それを何よりの目的にしている若い子たちも多いと思いますね。

鈴木:そうだよね。"歳を取ってもやり続けたい"って、みんな、爺さんみたいなこと言ってんなぁって思って。それって、20代のバンドが俺らと同じことを言っているってことでしょ? "20代のバンドが40代のバンドと同じ夢でいいの?"っていう気持ちもあるけど、そうなっちゃうのも、やむを得ないのかぁ......っていう。それが寂しくもあるし、"俺たちと一緒だな"とも思うし、複雑な感じ。だって、10代、20代のころはおっさんバンドを否定することから始まったりするじゃん。俺、20代のころはストーンズなんか大っ嫌いだったもん。でも今は、"やっぱり続けることはカッコいい"っていう風潮になっているでしょ? それは、俺たちみたいなバンドとしてはありがたいかもしれない。だって、何もしてなくても続けているだけで、"フラカンはカッコいいっす"みたいなこと言われるもんね。ヒット曲を出したわけでもないし、規模がデカいわけでもない。それでも、そんなふうに言われるのは、そういう風潮があるからだよね。それは、嬉しいことではあるけれど、でも、そういう状況や風潮を全部取っ払ってしまうようなホラ吹き野郎がいてもいいよな、とも思う。

グレート:そういうことが言いづらい世の中になっているのは仕方がないんだけどね。もう全部わかっちゃってるから。俺たちが小さいころは、芸能界もスポーツ界も、世界のことも、知らないことばっかりだったからね。30~40年前とは、明らかに世界は変わっているわけで。音楽業界だって、30~40年前はまだ始まって間もないころでしょ? だからこそ、音楽で飯を食える人なんてひと握りだったけど、今は俺らみたいにヒット曲がなくても飯を食っていける。それはもう、形がまったく変わっているっていうことで。大きな夢が語れなくなるのは当たり前な感じもする。

-でも、今、フラカンのような"続けてきた"バンドが、こうして"夢"という言葉を掲げることには、何かしらの意味は感じるんです。夢を誰も語らなくなった時代に、"夢ってなんだっけ?"と問いかけているというか。"夢のおかわり"っていうタイトルにも、それは表れているように感じますし。

鈴木:うん。40歳も超えて、金持ちにはなってないけど、バンドで飯は食えていて。それだけでもう、俺たちはひとつの夢は達成しているんだよ。でも、もう一杯欲しいんだよね。"あと一杯"を欲し続ける感じ。だから......実は、俺たちは欲張りなのかもしれないね(笑)。たぶん、フラカンって胃下垂なんだよ。どんだけ食っても腹いっぱいにならないの。給食何杯もおかわりする奴っていたじゃん? それと一緒だよ。一見、小食に見えるんだけど、チマチマ食い続けているっていう(笑)。ドーンと1,300gのカレーを食うんじゃなくてさ、小さいサイズのカレーをずっと食い続けている感じかな。

-じゃあ、その"あと一杯"のスタンスの中で、今年12月の武道館ワンマンは、ご自身たちの中では、どのように捉えているんですか?

鈴木:あれも、もちろん夢のひとつ。でも、もともと場所は気にしないタイプだったのよ。大きな場所でやりたいと思ったこともなかった。武道館なんて、そもそも無理だと思っていたしね。考えたとしても、野音までだもん(笑)。だから、決まってから真剣に考えるようになったんだけど、やっぱ、やってみたいよね。観に行く側の気持ちでしか武道館を考えたことなかったけど、やれるのであれば、いろいろ考える。そうするとね......どっちもありだなって。大成功しても、大失敗しても、どっちもありだなって思えるというか。何をもって失敗や成功というのかは置いておいて、仮に武道館に人が入らなかったとしても、逆にたくさんの人が来てくれたとしても、どっちに転んでも、長いことバンドを続けることは、自分らの中ではもう決まっているわけだから。その瞬間に大打撃を受けても、1年くらい経つと、ネタで使えるんだよ。

-ははははは(笑)。

鈴木:成功すれば、それはダイレクトに嬉しいし、失敗しても、日が経つとネタとして使えるようになってくる。若いころは、その失敗が打撃になって終わっちゃう可能性もあるんだけど、俺たちにその心配はないよ。武道館が失敗しても、絶対に解散しないもん。屁でもないよ。

グレート:まぁ、すでに数々の失敗があるからなぁ......(苦笑)。だからもう、失敗自体がないんだよ。動員がコケたり、演奏間違えたりしても、その先にあるものが面白いなと思えるから。武道館だって、ひとつのライヴだからね。武道館でやることも、地方の150人キャパのライヴハウスでやることも、同じひとつのライヴだもん。俺たちは26年のバンド活動の中で、ピークを作ろうなんて思ったことは1回もないんだよ。でも、今回の武道館のためのプロモーションもしっかりやっているのは、この武道館で、あえて1回ピークを作ろうとしているからで。その方が、潔いし面白かなと思ったんだよね。だって、26年の歴史の中で、何かに成功しても失敗しても、どちらにせよ、それはあとに血となり肉となることはわかっているわけだから。それに、俺たちがこの武道館をガッチリと成功させたら、このあとの人たちの流れも変わると思う。そこに最初に風穴を開けたのは怒髪天だと思うんだけど、彼らに続いていって、そして俺たちが違う形を見せることができれば、音楽業界に対する刺激になると思うしね。

-今の話を聞いても思うんですけど、フラカンは今、26年目を迎えた達成感以上に、より大きな音楽の歴史の流れの中に自分たちがいるという事実に意識的ですよね。その象徴が、『夢のおかわり』のTrack.2「東京ルー・リード」、そしてRCサクセションのカバーであるTrack.4「すべてはALRIGHT(YA BABY)」だと思うんです。この作品には、Lou Reedと忌野清志郎という、ふたりの偉大な音楽家の影があって。ふたりとも亡くなった方ですけど、こうした先達に対して、今だからこそ思うことはありますか?

鈴木:ある。ものすごく思うことはある。昨日、どんとさん(※BO GUMBOSのヴォーカル。2000年に死去)のイベントに出たんだけど、すごいんだよ。お客さんも、出演者も。なんて言えばいいんだろう......これに関しては、単純にリスペクトなんて言葉では片づけられない。

グレート:「すべてはALRIGHT」に関しては、普通なら、RCの曲、清志郎さんの曲を俺らがカバーできるはずないじゃんって思う。ライヴでやるぐらいならまだしも、俺らが音源にするなんておこがましいと思うもんね。あの人がいなかったらロックを好きになっていない人だって、いっぱいいる。そのぐらいの人だから。発端は、鈴木がキリンビールのCMで歌ったことなんだけど、このカバーも武道館と同じで、挑戦のひとつなんだと思う。今はそういうタイミングなのかな。長くやっていると、ルーティーンになっていく部分もあるけど、今はその中で、なんか新しいことをやってやろうっていう意気込みをメンバーそれぞれが持っている時期なんだろうね。「東京ルー・リード」も、鈴木がこのタイトルを持ってきたとき、やばいんじゃないかと思ったもん。"ルー・リード"って付けちゃうか?って。

鈴木:"タイトル変えたほうがいい"って言われたもんね。でも、俺は絶対にこのタイトルがよかったの。言葉の響きがいいから。"東京ルー・リード"って、すごく語感がいいじゃない? だから。