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INTERVIEW

Japanese

Charisma.com

2015年07月号掲載

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Member:MC いつか DJ ゴンチ

Interviewer:天野 史彬

-いつかさんの歌詞の中にある毒とか鋭さの部分は、音楽的な快楽性に比べると、そこまで大きな要素にはなっていないなっていう感じですか?

いつか:うん......そこまででもないかなぁ。でも、どうなんでしょうね? SNSで、たまにリツイートされて流れてくるのを見ると、"カリスマを聴くとスッキリする"っていう意見を目にすることもあるし、逆に、そこで不快な感情を与えていることもたしかで。"何を偉そうに"って思っている人のツイートも見るから。でも、そう考えると、歌詞もちゃんと注目してもらえているのかもしれないですね。

-それこそ、最初に「HATE」の映像を自分たちで作っていたころって、今振り返ってみて、自分たちは何を世の中、あるいは自分自身に対して示したかったんだと思いますか?

いつか:それが、何もなかったんですよね。"どう知ってもらおうか?"っていうことは考えていたんですけど、ライヴもやってなかったし、どう世間にアピールしていこうかなっていう考えの一環で、ちょっと動画を作ってみようっていうことになって。それが、たまたま運良くたくさんの方に観ていただいて今に至るので、今となっては、もっとあのころに考えておけば良かったなって思うんです(笑)。今、いろいろ考えてます(笑)。

-考える中で、カリスマをやっていくことに対する意識は変わりましたか?

いつか:変わってはいないんですけど、やっぱり"面白いものを発信していきたい"っていう意識が強くなっていますね。あのころは、それすらも思ってなかったんですよ。面白いかどうかもわからずに、とりあえずやってみるっていうだけだった。でも今は、面白いものを世に出していきたいっていう気持ちが強いし、それは作品を作る毎に頭に浮かびます。

-わかりました。では、今回のミニ・アルバム『OLest』は、メジャー・デビュー作としてどんな作品を作りたいっていう思いがあったんでしょう?

いつか:本当に、もっと多くの人に聴いてもらいたいっていうのが1番です。なので、わかりやすくしようと思って。私のラップって、抽象的な表現が好きだったり、それが癖だったりもするんですけど、今回はそれを削いで、もっとわかりやすく、ラップを普段から聴かない人にも通じるようにっていうのを意識してました。身近に起こる、口には出せないけど思っていることをラップにしようって。で、たまたま私たちはOLっていう個性を前作までにいただいたので――もちろん、他にもそういう方はたくさんいらっしゃると思うんですけど――そこをしっかり押し出そうっていう。わかりやすく、でも刺さるものを作ろうっていうのを意識してましたね。

-今回、歌詞の面で、すごく人間の細部を描いているなって思ったんです。前までは、もうちょっと漠然とした社会の空気感を描写しながら、そこに刺していくっていう感じだったと思うんですよ。でも今回は、"これ、本当の知り合いについて書いてるのかな"って思えるぐらい(笑)、具体的に人が見えてくる歌詞だなって思ったんです。

いつか:ありがとうございます(笑)。やっぱり、わかりやすくするには、聴いた人が想像できないと深く刺さらないし、即効性がないかなって思ったので、そこは意識していましたね。あと、別に、今までと歌詞の書き方が変わったわけではないんですけど、歳を重ねたことで、私自身の目線が昔とはちょっと変わってきたのかな、とも思います。今までは見えてなかったものが見えてきている可能性もあるというか。例えばリード曲の「お局ロック」(Track.2)は、"お局さんって陰険で怖いよね"っていうイメージだったのが、ここ1~2年で"お局になるにも理由があるんだな"っていうのを、間近で見て感じたっていうのがあって。なので、お局の気持ちもちょっとわかるなって。自分が、ちょうど新人とベテランの間に挟まれる年齢なので、どっちの言っていることもわかるんですけど、まぁ、叩かれるのはベテランさんの方じゃないですか。それを見てて、ちょっと切なくなったっていう背景がありますね。

-「お局ロック」もそうだし、Track.4「アラサードリーミン」も、Track.7「超絶に胸が痛んでいるあなたの上司」も、世間的に、特に若い人たちに批判されそうな対象を描きながら、そういう人たちの立場に対する理解を示していますよね。

いつか:うん、うん、そうですね。ほんと、今気づきました(笑)。