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INTERVIEW

Japanese

蟲ふるう夜に

2015年04月号掲載

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Member:蟻 (Vo) 慎乃介 (Gt)

Interviewer:吉羽 さおり

-それが、"二十歳のブルース"とでもいう心境が表われた曲になったと(笑)。これは当時のことを思いながら書いたストーリーですか。

蟻:そうですね。わたしが18歳のときに上京してきて、人も冷たく感じたし、寂しかったときの気持ちを書いています。きっと同じように、"人生をリセットしたい"とか"全部投げ出しちゃいたい"とか、"違う人間になりたい"と思っている人がいるんじゃないかと思って。わたしも当時思ったし、これを書くことによって、今の自分がいるんだよって言える気もして。今、乗り越えたから書ける曲という感じですね。

慎乃介:俺は1番好きな曲ですね。メロディがすごく気持ちいいし、それに載っている歌詞もいい。もしかしたら個人的に、優しいものを求めていたのかもしれないけど(笑)。

蟻:優しい雰囲気ではあるけれど、最後の、"神様はいないから 誰かを愛するんじゃないの"っていうところは、暴力的に歌ってみたり。そういうのが蟲っぽいかなって思います(笑)。

-そして最後の「同じ空を見上げてた featuring GOMESS」。ラッパーのGOMESSさんと蟻さんがかけ合うように歌っていますが、この両者の組み合わせが面白い。

蟻:きっとGOMESS君と蟲を知っている人は、ものすごく納得してくれるものじゃないかなと思うし。片方を知らなければ意味がわからないと思うのかな(笑)。

慎乃介:"蟲どうした?"ってなるよね(笑)。

蟻:わたしそういうのが好きで。みんなを驚かせたいんです。また蟻ちゃん自由なことやってるなって。

-GOMESSさんはひきこもりを経験していて、そこでの感情やストレートな思いを言葉、ラップにして表現するアーティストですが、この歌の中では完全にひとりの世界に籠っていて。その世界に蟻さんがノックする。それが鋭いラップと、柔らかな歌で表現されている。

蟻:7周年ライヴのときにGOMESS君に出てもらったんですけど、そのときGOMESS君のお姉さんも来ていて。そのイベントのとき、GOMESS君の知らない間にお姉さんが彼を支えていた話を聞いたんです。そのときのことをGOMESS君なりに歌って欲しいというお願いはしました。わたしもひきこもりを経験した弟がいるので、弟に向けて書いています。

-すごくいいなと思うのが、最初の内はお互いが一方通行なかけ合いだけど、後半にかけて、徐々に心境に変化が見えてくるじゃないですか。

蟻:そこの話はなんとなくGOMESS君と話していたんです。最後は、お姉ちゃんがひきこもっているGOMESS君の部屋のドアを叩きに行くんですけど、GOMESS君はまだ外には出ていなくて。でも窓には花が一面に広がっていて。外に出るかでないかはわからないけれど、光が見えたっていうところまでを描きたかったんです。綿密な打ち合わせではなくて、30分くらい話していただけなんですけど、GOMESS君はわたしの言ってることに共感してくれたのかなと思います。

-ノックはすれど、そこからどうなるかわからないこのギリギリの感じがリアリティを感じるところでしょうね。

蟻:必ず報われるみたいなことを、今報われていない人には言えないですよね。でも外は晴れるし、花も咲くし、春は来るというところが見えると......何か変わるんじゃないかなくらいの感じで。

-そんなシリアスな内容ながら、サウンドが段々と激しいダンス・ミュージックになってるというのは? きっといろんなアプローチの仕方があったと思うんだけど。

慎乃介:そうですよね(笑)。デモの段階で、EDMみたいな感じで。

蟻:かっこいいと思ったから(笑)。サウンド部分ではZEROさんが入ってくれてそこがよりブーストした感じ。ZEROさんのダークな音やビートが効いていますね。そういう男らしいところがわたしに作れないところだったので、また曲が変わっていきましたね。

-そうやっていろんなタイプのサウンドが入っていながら、全体のトーンは合っていて。聴いていても気持ちがいい、優しくて、とても力強い作品だと思う。

蟻:よかった。ひとつひとつにストーリーがあったから。ちゃんとそういうストーリーありきだったからこそ、まとまったのかなと思います。