Japanese
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アコースティック・ギターをつま弾く優しい音色と、ヴォーカル蟻の柔らかな歌声で作品はスタートする。徐々にドラムやベース、鍵盤が入ったバンド・アンサンブルとなり、疾走していく。景色が動き出すような音が、風を切っていくのが気持ちがいい。どちらかといえば、抱えきれない苦しみや葛藤、生傷の絶えないような毎日を音や歌に変えてきたバンドだったけれど、今作では自分の闇もひっくるめて、進むための燃料にしていく。その肯定感が包容力になって、バンド・サウンドも蟻の歌も躍動している。押し付けるような明るさではなくて、そばでにっこりとほほ笑んでいるような雰囲気がうまく音になっているように思う。「同じ空を見上げてた featuring GOMESS」は初のフィーチャリング曲で、今回の作品にぴったりの内容。(吉羽 さおり)