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INTERVIEW

Japanese

THE ORAL CIGARETTES

2014年07月号掲載

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Member:山中 拓也 (Vo/Gt) あきらかにあきら (Ba/Cho) 鈴木 重伸 (Gt) 中西 雅哉 (Dr)

Interviewer:沖 さやこ

-初の全国流通盤『オレンジの抜け殻、私が生きたアイの証』を2013年8月にリリースし、今回メジャー・デビュー・シングル『起死回生STORY』をリリース。ここには約1年間のインターバルがあります。この1年間はバンドにとってどんな期間だったのでしょうか。

山中:グランプリになって(2013年の)4月に東京に出ようという話もされたんですけど"関西で地盤を固めたいので1年間関西でやらせてください"とお願いして。関西でホームを作れずに東京でホーム作れるわけがないと思ってたし、僕らは奈良のバンドやけど、関西をちゃんと帰ってこれる場所にしたくて。

あきら:"東京行ったら仕事しやすいよ"と言われたりもしたけど、上京はそんなに早くなくていいかなと思っていて。東京が怖かったのもありますね。大人に潰されるんじゃないかとか。だから自分たちの意見は言っておこうと。実際この1年間で(関西でのライヴの)チケットが即完するようになったし、間違ってなかったんだなと思います。

山中:大阪は毎回お客さんがあったかく迎えてくれるんですよね。僕らの地元は奈良やけど、大阪の人は"関西のバンドでしょ? 応援するよ!"という雰囲気がすごくて。だから毎回びっくりさせられます。

-「起死回生STORY」はインディーズ時代の楽曲から大きく踏み出したスケールを持つ曲だと思いました。山中さんもブログで"1年間でたまりにたまった感情をすべて押し込んだ曲""テーマは革命と逆襲"と書いてらっしゃいましたが。

山中:(去年の)8月に(『オレンジの抜け殻、私が生きたアイの証』を)出して、俺らが我慢してた1年間に関西のライバル・バンドが結構リリースしてて。どんどん上に行く状況を1年間見ていて。僕らは僕らなりに"ちゃんと水面下で地に足つけてやろう"とずっと頑張ってきて......今までのどの1年間よりも、感じることがすごく多い1年間でした。去年はいろんなフェスやライヴハウスにも出してもらって、今までは10人くらいのお客さんの前でやっていた自分らが、6000人のお客さんの前でライヴをしたり、初めての経験ができて。僕、年末のイベントのライヴ終わりに、悔しくてめっちゃ泣いたことがあったんです。

-その悔しさとは。

山中:自分がまだまだやなと思って。......結構怖いものなしで、いつだって僕たちは1番を取れるよ!みたいな、人に噛みついていくスタンスでずっとやってきたんですけど。最初にステージに出たとき、これだけのすごい人数が集まってくれたことに感動して。そのときにお客さんの期待を一気に背負って。いざライヴをしている間に、その期待に応えられてるのか急に不安になってきて。いつも通りライヴをしたはずやったんですけど、終わったらすごく悔しくて"こんな大人数を目の前にしてライヴをやるというのはこういうことか"とめっちゃ思って......それもなんともいえへん感情やって。その感情は今まででは絶対に感じられへんことやったし。

-メジャー・デビューに向けての決意表明というよりは、活動で感じた想いが詰まった曲になったんですね。

山中:メジャー・デビューをするという話を聞いたのも上京するタイミングくらいで。......僕らは"メジャー・デビューのシングルを作る"という感覚がそこまでめっちゃ強くはなくて、このシングルもどんどん前に進むためという意識で作りました。今までと違う曲ができたのは1年間のいろんな想いがあったからやし、挑戦していきたいという想いがあったからやし。1年間関西で頑張って、関西のお客さんにすごい背中を押してもらったんで"お前ら見てろよ!"という逆襲――たまりにたまったフラストレーションを爆発させるのは今だな、みたいな。そういう想いを込めて「起死回生STORY」を作りました。

-皆さんはこの曲が山中さんから届けられてどう思われましたか?

あきら:この曲は最初に拓也がカッティングを持ってきて、漠然とした方向性というか、曲全体のイメージを伝えられて。それを自分なりに解釈して詰めていったので、みんなで完成形を目指してそこに持っていった感じですね。だからどう思ったか、というよりは全員が思ったことを共有して作れました。

中西:最初に(山中から)言われたテーマがすごくイメージしやすくて。サビはライヴでお客さんが一体になって一緒に歌ってくれて飛び跳ねてるイメージをひたすら描いて。イントロやAメロはそこにどう持っていくかを考えて作っていきました。

鈴木:ライヴをイメージして曲を作るのも、今までの"かっこいい、ノレる曲"というよりも、今回は狭い範囲のものを作ってて。自分の頭のなかでヴィジョンが見えてしまっているから"これライヴでやったときに自分が思っている通りのリアクションを取ってくれるのかな?"というのがずっと怖くて。出来上がったときも内心では"かっこいいけど、これが思った通りになるんかな?"とずっと怯えてて(笑)。それでライヴで初めてこの曲を演奏して――お客さんは聴いたこともないはずやのに、いきなり思い描いていたようにノッてくれてるのを見て"ああ、この曲間違ってなかったんやな"と確信できました。

-それだけオーラルにとってはライヴでお客さんにどう届くかは大事なことなんですね。

山中:大事です。今までもライヴの様子を想像しながら作ってます。でも今までは"こういう感じ"と漠然としてたというか、でっかい丸やったんですよね。「起死回生STORY」は、最初は漠然とした"丸"やったけど、みんなと作ってる間に"点"になっていった。だからいつもよりはっきりしてましたね。

-オーラルのサウンドはイマドキの定番をしっかり押さえてると思うんです。でもそれだけではなく、メンバーそれぞれの好む音楽の影響や尊敬をナチュラルに出してアンサンブルを作っている印象があります。「起死回生STORY」はそれをまたひとつ極めた形なのではと思いました。

山中:うちはファンクが好きなやつがいれば、パンク・ロックが好きなやつもいれば、ジブリみたいなオーケストラの曲が好きなやつもいて......そういう好みや影響が各々のパートで出ている。それが最初の段階ではそのまま出るからバラバラなんですけど、修正しながらひとつの形にしていく――それは曲作りの結構いつものパターンですね。

鈴木:自分たちの好きなものをTHE ORAL CIGARETTESというフィルターにかけて曲に落とすのが......もうさすがにわかってきた(笑)。メンバーにもメンバー以外にも"そんな発想があるんだ"と思うことがあるんで、それがいい形で出ているんじゃないかと思います。