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INTERVIEW

Japanese

宇宙人

2014年05月号掲載

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Member:しのさき あさこ (Vo)

Interviewer:天野 史彬

-でもそれまで宇宙人って、やっぱり特にマニアックな音楽リスナーに好まれるバンドだったと思うんですよ。『惡の華』は、そこから広がっていくきっかけにもなったんじゃないかと思うんです。そういうのは実感としてありました?

それは実感しました。押見先生の個展にゲストで呼んでもらって、そこで歌ったりした時に、そこに来たお客さんってアニメが好きなお客さんだけど、でも曲を聴いても喜んでくれたり、『惡の華』だけじゃない宇宙人の過去の作品も聴いてくれたりして。だから、凄く広がった気がします。

-それは、自分にとってやっぱり嬉しいことでしたか?

嬉しかったです!

-先ほど切り替えが難しかったって言ってましたけど、『惡の華』から今回のシングル『じじい』へは、具体的にどういうふうに切り替えていったんですか?

『じじい』は、去年の私の口癖が"じじい"だったんですけど、それを覚えてくれていたディレクターさんが、今度は"おじいちゃん"をテーマに曲を作ってみたらどうかって言ってくれて――。

-ちょっと待って。"じじい"が口癖だったっていうのは?

挨拶で、"首からじじいの匂いがしてまいりました~"っていうのをやっていて。ほんとにそれぐらいの口癖です。ふふふ(笑)。

-そうですか(笑)。

でも、「じじい」っていうタイトルで薄いものを作っても、悪口にしか聴こえないんじゃないかと思って。で、その時に、今まで深く考えたことのない気遣いとか、生きるとか死ぬとかを深く考えて作ろうと思って、作り始めました。

-今回のシングルは、1曲目に「じじい-導かれし宇宙(コスモ)-」、2曲目に「じじい-おわりのはじまり-」、3曲目に「じじい-そして伝説へ-」って、それぞれ曲調は全然違うんだけど、3曲通して、祖父を失った孫の視点から語られたひとつの物語を描いてますよね。この構成はどういうところから生まれたんですか?

『じじい』の構成が3部作になっているのは偶然で。1曲目は、じじいとの思い出を思い出しながらも、じじいが死に向かっていくのを傍で見守っている、"行かないでー!"っていう曲です。2曲目は、じじいの死に直面した時の喪失感とか、後悔とかを歌った曲。3曲目は天国を舞台にした死後の曲。この流れを最初は1曲にしようと思ったんですけど、やっぱりひとつずつをしっかり書きたくて。それを1曲にしちゃうと凄く長くなっちゃうけど、上手く感情が伝わらないなって。それぞれのエピソードを短くしたくなかったので、3部作構成になったんです。

-1曲にするにはあまりにもいろんなものがありすぎたっていう感じなんですね。でも、こうやって"じじいの死"っていうモチーフから、それぞれの物語に枝させていくっていうやり方は独特ですよね。ひとつのテーマや物語を1曲の中に収めたくない、もしくは収まりきらないっていう思いは、しのさきさんの中に常にあるものなんですか?

いや、このテーマだったからです。。やっぱりおじいちゃんとの思い出もいっぱいあるし、死に直面した時はその時の思いがあるし。特に2曲目は、どんどん感情が変わっていくんです。"死"ひとつにしても、それを捉えてどうなるのかっていう物語がひとつずつあるから、だから3曲になったっていう感じですね。

-生や死というテーマを初めて音楽の中に入れたんですよね。やってみてどうでした?

うーん......死って、誰も死んだことないからわからないじゃないですか。だから結局、そこに答えはないけど、大事な人がいなくなることを考えてみたりして。それが生きる/死ぬってことなんじゃないかなって思って書きました。

-今まで、宇宙人の音楽の中でこういう重くて観念的なテーマを扱ってこなかった理由ってあるんですか?

今までも自分の中の考えは全部入っていたんですけど、自分にしかわからない言葉選びをしたりしてたんです。でも今回は、気持ちや感情の移り変わりが人にもストレートに届いて欲しいって思って書いたんです。だから、わかりやすいって思ってもらえたら嬉しいです。ふふふ(笑)。

-確かに、今までの宇宙人の楽曲って、何か特定のエモーションをリスナーに提供するというよりは、一種のムードというか、言葉にできない空気感というか、そういうものを曲で表現してきたと思うんですよ。でも今回の『じじい』は、別れから来る哀しみ、喪失感、そして再会の喜び――そんな感情が、今までで1番純粋に、わかりやすく伝わってくる作品ですよね。たとえば2曲目は曲自体も凄くストレートで。シンセのメロディも叙情的で真っ直ぐだし、アレンジも壮大だし。乱暴に言うと"泣き"の曲になってる。

はい。曲調もストレートに届いてほしかったので、最初の穏やかな部分とか、感情を叫んでる部分もメロディで表すっていうのがテーマでした。