Japanese
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まず、『じじい』というタイトルがおもしろい。"おじいちゃん"でも"おじいさん"でも"祖父"でもなく、『じじい』。この乱暴でいて親密な距離感こそ、宇宙人がこのニュー・シングルの"物語"に対してとっている距離感である。「じじい-導かれし宇宙(コスモ)-」、「じじい-おわりのはじまり-」、「じじい-そして伝説へ-」という3曲によって、祖父を失った哀しみと、そこから祖父と天国で一時的再会を果たし、哀しみから脱却していくまでの物語を綴った生と死を巡る一大絵巻。異形のニュー・ウェイヴ・ポップも壮大なバラードもミュージカル・ポップも取り入れながら紡がれるこの物語は、宇宙人というバンドの、ひいては、しのさきあさこという個人の想いやパーソナリティが滲むのをギリギリで回避している分、感情が純化されて伝わってくる。突き抜けた新機軸だ。(天野 史彬)