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INTERVIEW

Japanese

石鹸屋

2014年04月号掲載

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Member:厚志 (Vo) 秀三 (Gt) BOSS (Ba) hellnian (Dr)

Interviewer:沖 さやこ

-アコギのカッティングが印象的に響きます。

秀三:「レモン」を作ったときに、かたっぽエレキ、かたっぽアコギという感じで(左右にパンを振って)録音していて。で、ここ最近それを思い出して、やっぱりアコギの味はエレキでは出せないから。それこそ、同人CDでやった手法をそのまま持ち込んでみて。やっぱり俺、アコギのストロークのがちゃがちゃ言ってる音が好きだなと。弾いててだんだん楽しくなってきて、僕も(hellnianと同じように)3連符とか入れちゃってストロークが増えるんですけど......(笑)。

-(笑)これだけがっつりドラムとギターが鳴っているところに、ベースはどうアプローチしていこうと?

BOSS:サビはドラムとギターのリズムがかなり隙間なく入ってる感じなので、どこに合わせようかな? というのがいちばん考えたところで。リズムに関してはドラムとギターである程度完結してる気もしたし(笑)。そこにどうやってアクセントを入れようかなというのを考えていきました。

-歌詞は"子供の頃思い描いていた自分に果たしてなれているだろうか、自らに問いかけている"というものがテーマになっているようですね。でも歌詞だけ読んでいると一節一節めちゃくちゃ暗いんですけど......。

秀三:めちゃくちゃ暗いですね、ふはははは(笑)!

-ここまでいちいち暗いのは珍しいので、ちょっと秀三先生が心配になっちゃいました(笑)。

秀三:これはサッカーの本田圭佑選手がACミランに行くときに......彼が小学校の頃に書いた作文が話題になったと思うんです。それに"将来イタリアのクラブで10番つけてプレイする"というのが書いてあって、まさにその通りの人生を歩んでいる。ものすごい人だなと思いまして。じゃあその逆を考えてみよう。そうなれない人のほうが絶対に多いと思って。もし本田選手がサッカー選手になれなかったとしたら、子供の頃の自分をどう見ただろうか......そんなふうに妄想が膨らんでいきまして。それで結果として自問自答するような歌詞になっていきました。

-ちなみに秀三さんは子供の頃思い描いていた自分になれていますか?

秀三:僕は子供の頃漫画家になりたかったんですね(笑)。でもまあ、諦めたというよりは、中学のときにたまたま友達連中で盛り上がって"バンド組むか!""俺ら第2のX目指そうぜ!"って、いつの間にかこっちの道に。でもそのときのバンドは1回も音合わせせずに卒業して、学校もばらばら(笑)。

厚志:それバンドって言うの(笑)?

-ははは。そこから高校に入学し、石鹸屋の前身バンドの結成に繋がっていくんですね。秀三さん以外の皆さんは思い描いていた自分になれていますか?

厚志:僕半分なってるんですよね。中学の文集にドラム・ヴォーカリストって書いてあって(笑)。

-おお、すごい! hellnianさんはいかがででしょう。

hellnian:この前もこういう話題になったんですけど、思い出せなくて、昔の文集を探してみても出てこなくて......むなしい方向に行ってしまって(笑)。まあでもこの年齢には結婚して子供もいると10代の頃は思ってただろうなと......。

一同:(笑)

-去年までエリート会社員だったBOSSさんはいかがでしょうか?

BOSS:俺は小っちゃいときから親に公務員になれと言われてて、そのつもりだったんです。でも高校のときにバンドを始めて、公務員を目指すよりもこっちのほうが面白そうだなと思ってたんで、夢破れたという感覚は公務員に対してはないんですけどね。とはいえ親にしてみればいい方向に転がっていたと思うので、まさか親も最後にこんな風になる(バンドへ転職する)とは思ってなかったと思います(笑)。

-歌詞の中にある"その場その場の正解を選び過ぎたからなのか"という言葉が重く響きました。

秀三:将棋の羽生善治名人が大局観という言葉をよく使うんですよ。物事を俯瞰で見て、ここに行くためにはここで敢えて失敗したほうがいいんじゃないか......という考えかたをするみたいで。"その場その場の正解"は"近い視点"だと思うんですよ。近い視点で正解を選び続けた結果、正しかったんだけどずれていくというパターンも絶対あるだろうなという思いで書きました。

-この歌詞をもらったときに厚志さんはどう歌おうと?

厚志:歌詞は深いなと思いましたね。夢を叶えた本田選手とは違って、夢を叶えない人が大半なんだけれども、それが間違っているわけじゃないと言いたい歌詞なので、面白いなと。だから歌は難しかったです。ニュアンシヴに歌いたいんですけど、楽曲的には「レモン」系の曲なので、兄貴(秀三)と相談しながらそういうわだかまりは解消していきました。