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INTERVIEW

Japanese

Charisma.com

2013年07月号掲載

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Member:いつか (MC) ゴンチ (DJ)

Interviewer:天野 史彬


-僕はCharisma.comの音楽を聴くと、なんでここまで言えるんだ!って震えるんです。

2人:あははははは!

-なんでここまで吐き出したいと思うのかなって。今、Charisma.comが歌ってる社会に対する苛立ちとか怒りって、実際は多くの人が抱えてることだと思うんです。でも、みんなそれを飲み込んで生活していたり、それこそTwitterやFacebookで発信することで発散する人もいると思うんです。でも、おふたりはなんでそれを音楽にしたいと思うんですか?

いつか:それが本当だと、私は思うんですよ。不満があったり、毒を抱えてるのがみんなの本当だと思うんです。でも、自分が好きで聴くもの以外に耳にする音楽が、あまりに綺麗なことを歌う歌が多過ぎる。私は、別に慰めて欲しいから音楽を聴くわけじゃなくて、“それ、共感できます”って思わせてくれるアーティストに惹かれるから。

ゴンチ:綺麗事を歌う曲はいっぱいあるから、それと違うことを歌うことによって、“おっ”って思ってくれる人はいるんじゃないかって思いますね。

-じゃあ、今の巷に溢れる音楽に対するカウンター精神、反骨心が、Charisma.comの音楽の原動力になってる部分もあるんですね。

いつか:ちょっとあります、はい。

-“慰められたくない”っていつかさんはおっしゃいましたけど、やっぱり今の時代、自分のことを慰められたい、認められたいって思ってる人が多いですよね。

いつか:認められたいのは置いといて、慰められたいってのは良くないかなと。“私悲しい”“私辛い”“私弱いから誰か助けて”っていう人が増えていくばかりだと思うんです。そうじゃなくて、自分で考えて答えを出すっていうことをやっていかないと、どんどんダメになっていくばかりだと思うんです。だからTwitterとかも、感情を簡単に出して、全然知らない人から“大丈夫?”って言われたりして……そういうの、わからない。

-今は、Twitterのフォロワー数によって満たされる人もいるし。

いつか:ほんとに。その真理もわからなくはないんですけどね。“いいね!”の数が自信に繋がるとか……わからなくはないんだけど、それって本当に自信がつくことだったり、満たされたりすることではないと思うんですよね。逆に、本当に理解してくれる人がひとりでもいたら、それは本当に自信になると思うし。私はそう思うから……こういう風になっちゃいました(笑)。

-今は本当に、承認欲求の強い人が多い時代ですよね。誰かに認めてもらわないと自分の存在に不安を感じてしまう人が多いのかもしれないけど、Charisma.comの音楽にあるのはそういう欲求じゃないですよね。もっと社会の中で自立して生きていきたいっていう思いが強く出てるなって思うんです。

いつか:ありがとうございます。若い時は、そんなこと考えなかったんですけど。私は先輩とか、周りの環境に恵まれてきたと思うので、最初はわからなかったんですけど、いざOLとして働いていく中で、自分が人を引っ張っていったりする立場になると、“おやおやおや?”って思うことがたくさん出てきて。それが結果的に、社会的なことに対する怒りになっていったというか。仕事して、社会で暮らしてるから、視野が広がったんですかね。結果的にそうなったんです。

-社会人として生きていると、自分の本音って我慢したり、そう簡単に出しちゃいけないものだったりするじゃないですか。いつかさんって、そういう現実は受け入れてるのかなって思うんですよ。だからこそ、本音をぶちまける場としてCharisma.comが必要なのかなって。

いつか:あぁ……なるほど。受け入れてはないけど、我慢はしてます。我慢しろよって言うわけではないんですけど、SNSで吐き出してる人たちに対しては、やり方が違うんじゃないかって思います。そこで言ったところでプラスになったとしても、それは一時的なプラスの感情の話だと思うんです。“悲しい”って呟いて“大丈夫?”って知らない人に言われても、一時的な救いじゃないかなと。それを毎回繰り返して、どうなる?っていう。だったら、それを一旦止めて、次に同じ失敗をしないように自分で考えることが私は大事だと思うんです。私が思うのは、きっとみんな、まずは嫌われたくないんですよね。だから言わないんだと思うんですけど、私は根本的に、嫌われたくないとは思ってないんです。自分の考えを言って、分かってもらえないことがあるのはしょうがないこと。でも、話していったら分かりあえるかもしれない。

-『アイ アイ シンドローム』っていうタイトルにも、そういう気持ちって表れていますか?

いつか:そうですね。弱いこととか、嫌われたくないって思うこととか、それって全部自分のこと。相手がいるけど、結局、自分の為のことなんですよね。自分が痛い目を見たくないっていう。自分のことを甘やかし過ぎだなって思うんです。この作品に入ってる曲は、全部そこに辿りつくなと思って。で、“私(I)は私が好き(愛)な症候群だ”っていう意味で、『アイ アイ シンドローム』なんです。それと、それについてとやかく言う筋合いはないのにキーキー言ってて、私って猿みたいだねっていう意味で、“アイアイ”なんです。

-なるほど。今、こうやって自分たちが働いたり、この社会で生きていくうえで感じる苛立ちを歌にしていくことによって、同じようなことを感じている人たちの気持ちを代弁しよう、自分たちが代表して世に告発していこうっていう役割意識は、どのくらいあるんですか?

いつか:あぁー、それはちょっとあります。自分の考えを持っている人たちが、もっと生きやすい世の中になって欲しい。私は、生き辛いわけじゃないかもしれないけど、馴染んではいないなって思うので。右へ倣えっていうのが、今の世の中の通常スタンスですよね。私は右へ倣えじゃなくて、右向け左系なので。私と同じような人にも“大丈夫”って言っていきたいし、そういう世の中になって欲しいです。

-世直し的な意識が強いんですね。

いつか:気づいてると思うんですよ、みんな。でも、嫌われたくないし人と違うって思われたくないから、それを口に出せないっていうだけで。そうじゃなくって、ちゃんと自分の考えを出せて、ちゃんと努力もしてる人が評価される世の中になって欲しい。ずるい人は嫌だ!

-でも、今日初めてお話を聞いて、いつかさん、失礼ですけど、生き辛そうだなって思いました(笑)。だからこそ、Charisma.comには世の中に言って欲しいことがたくさんあるなって思います。

いつか:あはははは!……まぁ、正直なんです。私は素直ではないけど、正直です。思ったことは言っちゃうからね。顔にも出るし。

ゴンチ:言っちゃうよね……(苦笑)。

いつか:だって言わないと、信頼関係は結べないじゃない?何か言われて“違うな”って思っても“そうっすね”とか言ってたって、その先に未来はない!