Japanese
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前作『サイファールーム』から1年と少々という時間は、あるくとーーふにとってこれまで以上にクリエイティヴな時間となったようだ。高校の同級生でバンドを始め、"未確認フェスティバル"でファイナリストになるなど、10代のうちから抜きん出たポップ・センスで同世代の心を掴んできたバンドだが、今作でそのファン・ベースはより裾野を広げると思う。エネルギーを存分に内包したバンド・サウンドのムードはそのままに、洗練された音作りや構築的なアンサンブルが、奔放な利佳子のヴォーカルの自由度や歌心を広げて曲に心地よいグルーヴを生んだ。引き算で作り上げたサウンドは感覚的だと言うけれど、余韻や余白をも演奏で表現しているのが大人っぽくバンドの新たな横顔も覗かせる。バンドがきらめく瞬間を捉えたマジカルなEPだ。(吉羽 さおり)