Japanese
2017年02月号掲載
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オトループの楽曲が聴き手の心に深くストレートに届くのは曲ごとのテーマがとてもはっきりとしているからだ。今作『反響定位』でも、毎週"サザエさん"の時間になると抱いてしまう月曜日の憂鬱「ブルーエストマンデー」や、バイトの飲み会が苦手な「Hit Me Silly」、就活がうまくいかずに現実逃避する「人間エントリーシート」など、そこで歌われる出来事がリアルに想像できるものばかり。そのテーマの奥にあるのは、この生きづらい世の中で何が正しいかを模索する人間のあがきであり、大切な人への想いであり、言葉にしづらい感情そのもの。それを訴求力のあるメロディと骨太且つバラエティに富んだバンド・サウンドに乗せて届けるオトループの音楽は、いつも誰かの日常を救うために鳴り続けている。(秦 理絵)