DISC REVIEW
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vivid undress
愛のゲイン
"愛と色彩"をテーマに作ったミニ・アルバムはリリースに先駆け、3週連続で配信リリースした「夢見る2人」、「R-15」、「そばにいて」も含む全6曲を収録。その「夢見る2人」と「R-15」は四つ打ちのリズムを効果的に使い、従来のファンク由来とは異なるダンス・グルーヴにアプローチした。1曲目の「オリジナルカラー」をはじめ、作品全体を包み込むような浮遊感溢れるサウンドメイキングと共に、新たなバンドの姿を打ち出している。メンバーそれぞれの個性を浮き彫りにした前作からの"引き算のアレンジ"も、さらに磨きが掛けられ、前作以上の聴きどころに。バラードの「そばにいて」、ジャズ歌謡な「Yeah! Yeah! Yeah!」、疾走系のロック・ナンバー「後悔」と楽曲の多彩さでも楽しませる。
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vivid undress
混在ニューウェーブ
完全セルフ・マネジメントによる再出発とその後の精力的な活動がついに今回のメジャー・デビューに実ったとも言えるわけで。紅一点シンガー kiilaが、彼女のもとに集まったそれぞれに活動歴を持つ腕利きたちと2014年に結成した5人組。自ら掲げる"J-POP 突然変異型 ROCK クインテット"は今回、グッとファンクの影響が色濃いものに! kiilaがラップ調の歌を聴かせる「アブラカタブラ」は、ヴィヴィアン流のディスコ・ナンバー。傷ついた魂を抱え、救いを求めながら闘い続けるkiilaが時折逆ギレしながらも、「まるで夜」で安息を見つけるように"おやすみ"と終わるラストは、現代を彷徨うように生きる若者たちをどれだけ勇気づけることだろう。そんなところにも根強い人気の理由がありそうだ。
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vivid undress
赤裸々
自主レーベルから1年半ぶりとなる2枚目のミニ・アルバムをリリース。メンバー脱退後初のアルバムでもあるが、ドラマーの不在は"各曲別のドラマーをゲストで呼ぶ"という意欲的なチャレンジで埋めている。リリース自体が簡単にできない状況だったかもしれないが、こうして彼らは、"バンドは止まらないのだ"という意志を提示してみせた。楽曲自体はというと、ポップなメロディとトリッキーなバンド・サウンドの融合の精度が高まり、より開けた音がするようになった印象。"赤裸々"というタイトルは、ラストに収録されている「シンガーソングライター」によるところが大きいのだろうか。同曲は、kiila(Vo)がバンド活動に懸ける想いを、いつになくダイレクトな言葉で綴った1曲だ。
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vivid undress
ENDLESS
前作『Prevail』ツアー後に自主レーベルを立ち上げることを余儀なくされた、J-POP突然変異型ROCKクインテット vivid undressが新レーベル"MONOLITHIC RECORDINGS"よりリリースする第1作。"ENDLESS"というタイトルには逆境に負けず続けていこうという意味が込められており、Track.1「My Real」は再起の証として鳴らされている。その後はクセの強い曲名の楽曲も多く収録されているが、共通して歌われているのは"自分の心の赴く方へ、自分の手足を動かして向かえ"ということ。複雑怪奇な展開は健在だが、全体的に整理されていて、耳にスッと入ってくるような仕上がりになっているのは、今は何よりもそのメッセージを伝えたいんだという気持ちがバンド側にあったからなのでは。
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vivid undress
Prevail
"説き伏せる"というタイトルがつけられた2ndミニ・アルバムは、"J-POP突然変異型ROCKクインテット"と自称するこのバンドのスタンダードを更新するような作品。歌を中心とした曲作りをすることにより、歌詞の内容がより伝わりやすくなり、サウンドの繊細さや気品が浮き彫りになった。そうして自身の特色を強く打ち出すと同時に、例えばrio(key)が作曲に関わっている「醜いお姫様」(Track.4)など、これまでにないタイプの曲が生まれているのも頼もしい。難しいことをしすぎないという意識が本作の根幹を担っているのは確かだが、もう少し独自のフックがほしいのも正直なところ。それさえ手に入れてしまえば、どこにだって羽ばたける予感がする。
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The Vocoders
1st V
昨年POLYSICSが開催した単独サーキット・イベントから生まれた、全員がヴォコーダーで歌うバンド The Vocodersが、ポリのアルバムと同日に1stアルバムをリリース。"世界唯一のカフェテクノグループ"と称し、会場もカフェを中心にした4人横並びの着席スタイル(とKRAFTWERK的な衣装)でのステージで、よりテクノ色が強いサウンドだ。「Part of me」で幕を開け、新曲、ポリの曲のThe Vocodersバージョン等で構成されるが、特にポリの楽曲の変化が面白い。単に電子音に置き換えたものでなく、新たな解釈と編曲を施していて、ヴォーカルがフラットな印象になるぶん、そのアレンジの幅で各曲を開拓している。振り切った志向で音の追求ができる楽しみに満ちた始まりだ。
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Void_Chords
Infocus
アニメ作品のテーマ・ソングおよびサントラやJ-POPナンバーを多数手掛けるクリエイター、高橋 諒によるアーティスト・プロジェクト、Void_Chordsによる1年6ヶ月ぶりのシングルは、TVアニメ"トライブナイン"のエンディング・テーマとして書き下ろした「Infocus」と「VALIDATION」のカップリング。都会的でスタイリッシュな前者は新境地とも言えるエレクトロニックなアプローチと、そこに重ねたラテン、ジャズなど多彩なジャンルのレイヤーが聴きどころ。一方の「VALIDATION」は、高橋によるベース・プレイも含め、生々しい熱度満点のファンク・ナンバー。ともに客演ヴォーカリストにLIOを迎えながら、対極とも言えるアプローチになっているところが興味深い。
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Void_Chords feat. Ryohei & Foggy-D
my ID
作曲家、高橋 諒によるアーティスト・プロジェクト Void_Chordsが、Unlimited toneのRyoheiと、自身がプロデューサーを務めるONE Ⅲ NOTESのFoggy-Dをゲスト・ヴォーカルに迎えたシングルを完成させた。表題曲は、国民的コンテンツ"ウルトラマン"のTVアニメ化作品"ULTRAMAN"のエンディング主題歌に起用。ヘヴィなサウンドに乗せるFoggy-DのラップとRyoheiの歌唱が生み出すスタイリッシュでダークな音風景と、"ULTRAMAN"の世界観が掛け合わされることで、より深く、魅力的なものとして相互作用をもたらしている。モダンでアガれるファンク・チューン「Outer Circulation」のセンスもさすが。
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VÖK
In the Dark
アイスランドのスタイリッシュ美女美男グループ、VÖKが2枚目となるアルバムをリリース。ルックスがスタイリッシュなら、サウンドもめちゃくちゃオシャレである。気だるいビートもダンス・フロア向けのアッパーなビートも器用に乗りこなし、アンビエントでありながら、大衆的なポップさも持った不思議な雰囲気を纏った作品だ。紅一点 Margrét Ránのアンニュイなヴォーカルや、透明度の高い浮遊感のあるシンセ・ポップは、この手のジャンルが好きな人にはたまらないはず。また、ネオ・ソウルっぽいセクシーな響きもあり、"アイスランド的な"だけでない、無国籍な香りのするグルーヴも持ち合わせている。空気の澄んだ自然の中の野外フェスで、星空をバックに聴いたら気持ちいいだろうな。
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VÖK
Figure
"アイスランド"というジャンルを愛しているリスナーにとって、この4人組に使われるドリーム・ポップというカテゴライズは、まさに便宜上のものでしかないと思う。それよりもOF MONSTERS AND MENといった人気バンドを輩出したコンテストの出身と言った方が、結成から4年を経てついにリリースするこのデビュー・アルバムに対する信頼はずっと増すに違いない。バンド名は氷に空いた穴を意味するという。アンビエントなシンセと、こだわりが感じられるビートを軸にしながら、メランコリックなものからバウンシーなものまで、それぞれに趣向を凝らした曲の根底にはソウル・ミュージックの影響が窺える。オートチューンも使い、絶妙な揺れを表現した女性ヴォーカルがちょっとBjörkを思わせるところも。
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VOLA
Applause Of A Distant Crowd
甘美なヴォーカルと、モダン・プログレッシヴ・メタル~70年代プログレッシヴ・ロックにエレクトロニック、アンビエントを織り交ぜ、メロディアスなサウンドにまとめ上げた前作『Inmazes』。本作は、それから2年ぶり2枚目となるニュー・アルバムだ。今回もその手法やスタイルにこそ著しい変化は見られないものの、コーラス・ワークに磨きをかけ、アンビエント感を増したサウンドは、よりヴィヴィッドで立体的な音像に。持ち味のドラマチックな展開も健在で、へヴィでダークなギター・リフを温かなシンセ・ポップで包み込んでいくグラデーションが心地いい。同郷、デンマークの至宝と呼ばれるMEWをも飲み込んでしまうようなさらなる深化を見せつけてくれた。
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VOLA & THE ORIENTAL MACHINE
Regalecus russelii
東京という街を舞台に、その冷たさと喧騒とディスコミュニケーションを描いてきたアヒト・イナザワは、自らの居住地を地元・福岡に移すことによって、その鋭い観察眼を自らの生活と心の奥底へと向けた。故に、音源としては4年ぶりのミニ・アルバムである本作に収められた5曲はとにかく生々しく、時に痛々しくすらある。前作『PRINCIPLE』で完成された、エレクトロニクスを多用した煌びやかかつ高密度、過剰なまでのエナジーを放出する異形のニューウェーヴ・サウンドは、再び初期に通ずるギター・サウンドへと回帰。抉るように、突き刺すように、ひとりの男の心の狂騒を暴き出す。ヒステリックで、情緒不安定で、しかし狂気的なまでにポップ。この国のダンス・ロックの先駆者は、やはり音の前ではどこまでも正直な男だった。
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VOLLAND GUMP
ユクエシレズ / さよならロザリア
ジャンル感に囚われることなく、誰しもの心にある闇や人間として当たり前の孤独がたしかに存在することを、寒い季節の温度感や情景が浮かぶようなサウンド・プロダクション、ピアノやストリングスが繊細なアレンジで聴かせる「ユクエシレズ」。歌謡としてのメロディの強さも印象に残る。もう1曲の「さよならロザリア」は、インタビューにもあるように三味線にインスパイアされたというギター・リフと、それに拮抗するようなファンクネス溢れるベースの抜き差しがユニーク。ラウド、マス・ロック、メタルなどの要素を感じさせつつ、歌メロはキャッチー且つドラマティックで、そこにアニソン的な情報量の多さもリンクして、ありそうでなかった音楽像が立ち上がる。
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