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DISC REVIEW

U

UQiYO

UQiYO

UQiYO

都内を中心に活動する3ピース、UQiYOの1stフル・アルバム。映画館や図書館でのライヴ活動や、1枚のCDを自分より南にいる人に手渡していくことで北海道から沖縄を目指す"浮遊する歌"プロジェクトなど、興味深い試みを数多く行っている彼らだが、その活動内容はもちろん、音を聴けば、彼らが音楽の"伝播"していく力を何より信じているのがわかる。音楽的にはMUMなどを思わせる、温かなバンド・アンサンブルと繊細なエレクトロニクスが交じり合ったポスト・ロック~エレクトロニカ・サウンドで、まるで水面に広がる波紋のように、じんわりと聴き手の心や生活の中に伝播し溶け込んでいく魅惑的な音像を聴かせている。音が伝わるのは空気振動のおかげだが、UQiYOはその中に、人と人の心と身体の繋がりを見出している。

By Blue

URCHIN FARM

By Blue

2009年の活動休止前、最後のライヴをこの目で見届けた。当時は残念で仕方がなかった。それは同年に出たミニ・アルバム『EST』の出来があまりにも素晴らしかったから。そして一昨年活動再開のニュースを耳にして驚いたが、ここに約6年半ぶりとなるミニ・アルバムが到着。こんな日が来るとは......バンドは、そして人生は面白いものだ。冒頭曲「Mr.Holic」からライヴ感溢れるダンサブルな疾走ナンバーで俄然テンションは上がる。続く「ワレワレハ地球人デアル」もそれに追い打ちをかけるアッパーぶりが痛快だ。切なくも口ずさみたくなる歌心に溢れた「スターグライダー」など、URCHIN FARMらしいパンキッシュな勢い、キャッチーなポップ性、言葉遊び的なフックのある歌詞などがギュッと凝縮された全6曲。好盤です。

My Favorite Skin

uri gagarn

My Favorite Skin

group_inouのcpこと威文橋が中心となり結成されたuri gagarn。今作は2009年にリズム隊を加え再始動し、デモを挟んで2ndアルバムからはなんと約8年振りとなる3rdアルバム。90年代のオルタナティヴ・ロックやポスト・パンクを通過した彼らのバンド・サウンドはクールで殺伐としていて刺々しく、威文橋はgroup_inouとは異なる良い意味で乱暴ともいえるエモーショナルなヴォーカルを聴かせている。だがアルバム全体を通して静と動を駆使したサウンドと素晴らしいメロディ、そしてしっかりと染み入るように響く日本語の歌詞に非常に胸を打たれる。マスタリングにはSONIC YOUTH等も担当したJohn Goldenが行い、よりダイナミズムのある仕上がりになっている。

コントラスト

Uru

コントラスト

Uruが約3年ぶり3枚目となるアルバム『コントラスト』をリリースした。本作には、YOASOBIのコンポーザーとしても活動するAyase、wacciの橋口洋平(Vo/Gt)、シンガー・ソングライターの優里といった腕っぷしの強いミュージシャンたちからの提供楽曲や、Uru本人の作詞/作曲による新曲3曲を含めた全13曲が収録。オーセンティックなバラードからシリアスなタッチのアッパー・ナンバーまで、これまでのパブリック・イメージにとらわれない多彩な楽曲が並び、Uruの歌声も一曲一曲で違う表情を見せている。また初回限定生産版"カバー盤"に収められる桑田佳祐「白い恋人達」やスキマスイッチ「奏(かなで)」の新録カバーも聴きどころのひとつで、彼女の卓越した表現力に舌を巻く。

それを愛と呼ぶなら

Uru

それを愛と呼ぶなら

Uruが通算12枚目となるシングル『それを愛と呼ぶなら』をリリース。表題曲は、二宮和也が主演を務めるドラマ"マイファミリー"のために書き下ろされた楽曲で、作詞/作曲をUru、楽曲プロデュースをデジタル・シングル「あなたがいることで」以来、2年ぶりの再タッグとなる小林武史が手掛けている。Uruの聴く人を包み込むような歌声と、その歌声を後ろから押し上げる小林武史のストリングス・アレンジによって、オーセンティックな名バラードが誕生した。また、カップリングにはマカロニえんぴつ「なんでもないよ、」のカバーと、11thシングル表題曲「Love Song」のセルフ・カバーを収録。様々な角度から彼女が表現する"愛"を捉えることができるハートフルな1枚に仕上がっている。

ファーストラヴ

Uru

ファーストラヴ

昨年、LiSAとのコラボや数多くのタイアップ曲でその名をさらに広めたUruの2021年第1弾シングル。北川景子主演の映画"ファーストラヴ"主題歌として書き下ろされた映画と同名の表題曲は、暗闇をそっと照らす柔らかい光のような、心の澱を優しく流すような、透き通った彼女の歌声がじんわりと胸に沁みるバラードだ。彼女が"この映画に心を重ねました"と語るとおり、映画のストーリーや登場人物たちにもリンクする部分があり、同楽曲が使用された映画の予告編を観ただけでも込み上げてくるものがある。また同映画の挿入歌「無機質」も収録される。c/wには今話題の優里「ドライフラワー」のカバーと、昨年リリースのシングル「Break」のセルフ・カバーが収められ、こちらも聴き逃せない。

Underground Renaissance

US

Underground Renaissance

北欧フィンランドから新星が登場だ。2021年に結成した5人組バンドで、イギリスやヨーロッパでのライヴが話題を呼んでいたUSがデビュー・アルバムを発表した。2000年代のガレージ・ロック・リヴァイヴァルを支えたTHE LIBERTINESのスタジオにて1日で録音された、という背景にもグッとくるが、本作で彼らが提示したのはピュアでソリッドなロックンロール。時に荒々しく、時にサイケデリックに鳴らされるギターや、タイトなリズム隊、そして"こんなに格好いい楽器だったのか"と改めて痛感させられるようなハーモニカのパフォーマンスなど、シンプルでありながら奥深さも持ち合わせた楽曲は痛快。出演が決定している"FUJI ROCK FESTIVAL '24"では大いに注目を集めそうだ。

ENIGMASIS

UVERworld

ENIGMASIS

豊沃だ。持ち前の才覚に、長いキャリアに裏打ちされた経験値、そして何よりも各メンバーが徹底する求道的なスタンス。それらを兼ね備えたUVERworldは、ここに来て今まで以上に音楽に対して貪欲な姿勢を示した作品を完成するに至ったのだと思われる。鮮烈なコラボが実現している「ENCORE AGAIN (feat.SHUNTO from BE:FIRST)」や「FINALIST (feat.ANARCHY)」も興味深いが、「Don't Think.Sing」から溢れ出すハイエナジーにしてソリッドなリアリティにはただただ圧倒され、「THEORY」から伝わってくる熱き想いは聴き手の胸を強く打つ。ライヴを想定して作られたというこの収録曲たちは、7月末に開催される日産スタジアム公演でも豊沃にして眩しいほどの輝きを見せてくれるに違いない。 

ピグマリオン

UVERworld

ピグマリオン

情け容赦のない日々が連続する現世にあってこそ、我々に問われているのは向き合う相手を容赦し理解していくことができるのかどうか? という点なのかもしれない。人に嫌われがちな虫や、孤立する独裁者を例にあげつつ"そこに立たなきゃ分からない"、"悲しみも 痛みも 感じ方も 違うから"と、寛容の表情を漂わせながら歌うTAKUYA∞と、包容力を滲ませながら温かな音を綴る各メンバーたちは、表現者としての発信と提示をここに具現化していると言えよう。ちなみに、タイトルに冠されている言葉は古代ローマ文学に由来する教育心理学用語、ピグマリオン効果からとったものであるようだが、彼らがここに託したのは未来への願いであるに違いない。簡単ではないにせよ、愛が地球を救えばいいのに......ね。

INSTRUMENTALS-∞

UVERworld

INSTRUMENTALS-∞

たとえメイン武器を使えない状態だとしても、結局は戦術とチームワークと闘志で勝ってしまうヒーロー映画のように。UVERworldの音楽はTAKUYA∞の歌をぶっこ抜いたしても、目茶苦茶かっけーインスト曲として成立してしまうことがここで証明されたようだ。これまで発表されてきたものや、このアルバムのために新規インスト化したものを2枚組全33曲に編纂した今作は、コアファン向けのスペシャリテ。作業用BGMとしてもおすすめだが、結局は"真太郎(Dr)のキックが熾烈すぎる"、"信人(Ba)の音がこんな絡み方をしていたのか"、"彰の緻密なギター・フレーズがヤベぇ"、"克哉の弾くアコギの音が素晴らしい"、"誠果のサックスがエモくて最高"と作業に集中できない可能性も大!?

30

UVERworld

30

映画主題歌「HOURGLASS」や「AS ONE」をはじめ、ドラマ主題歌「AVALANCHE」、「EN」が作品のテーマ性をよりエモーショナルに語る役割を果たしたことも記憶に新しい。11枚目のフル・アルバムは、UVERworldというバンドのスケール感がまだ広がっていくこと、恐れることなくバンド像を打ち壊していく姿が刻まれている。スキルフルで音楽的な精度は上がっているが、その真ん中になぜここまで猛烈な衝動感や胎動感、あるいは飢餓感と言うべき叫びの激流があるのか。一昨年には結成20周年を迎えたが、そのパワーにまず圧倒される。フィーチャリング曲やコライト曲でバンド自身刺激を堪能し、ロック・ミュージックのフロンティア精神を開拓し続ける。前進するそのエンジンはバケモノのようにデカい。

HOURGLASS

UVERworld

HOURGLASS

目には見えないはずの時を、可視化させるために人類が生み出した時計。その中でも砂時計はガラスの中の砂がサラサラとこぼれ落ちてゆく様に、儚さや限りある時間の概念を投影することができる素敵アイテムだ。UVERworldのシングルと言えば、従来はハイエナジーでアップテンポなものも多かったが、今作の表題曲「HOURGLASS」はそれらと明らかに一線を画する仕上がり。じんわりと、心地よいテンポ感の中で紡がれる音像と歌詞には得も言われぬ滋味深さが漂う。そして、カップリング「Teenage Love」についても、タイトルから想像ができるようなワチャワチャ感はまるで皆無。いろいろな意味で、物事の本質とはなんなのかということを改めて考えさせられる1枚かもしれない。もの思う春のお供に最適かと。

Touch off

UVERworld

Touch off

マッチの擦過音から始まる表題曲は、題名のとおり人の内側で燃え続ける魂の炎をUVERworldが音をもって描き出したものになるだろう。サスペンス性の高い内容で話題のアニメ"約束のネバーランド"のOPテーマとして起用されているこの曲において、まずイニシアチブを取っていくことになるのは、彰のザクザクとしたアコギのカッティングと、どこか情念さえ感じさせる誠果のサックス・プレイだ。そこに克哉の奏でる芯の太いギター・リフや信人が放つどっしりとしたベース・フレーズ、真太郎がストイック且つパワフルに叩き出す律動が重なり、さらにフロントマン TAKUYA∞が熱っぽいヴォーカリゼーションおよびポエトリー・リーディングを絡ませていくことで、実にエキサイティングな1曲へと仕上がった。

ALL TIME BEST

UVERworld

ALL TIME BEST

UVERworldは、決して楽曲を大量生産するタイプのバンドではないだろう。だが、彼らがことあるごとに世の中へと向けて発信する音楽には、想いと愛と信念がもれなく詰まっており、そのクオリティも間違いなく"ハンパない"ものばかり。今作は、そんな彼らがメジャー・デビューして以来コツコツと作り続けてきた音楽たちの中から、"MEMBER BEST"と"FAN BEST"、そして"BALLADE BEST(Re-Recording)"というかたちで秀逸な選曲を実施した結果、珠玉の楽曲たちを一堂に会させたベストとなる。中でも、全曲を再録したという"BALLADE BEST(Re-Recording)"は必聴中の必聴。UVERworldがカッコいいのは当たり前のことだとして、ヤバいほど魂に響く名曲バラードたちは、どれも尊すぎる。

TYCOON

UVERworld

TYCOON

磨き抜かれた音と、研ぎ澄まされた言葉だけで構成されているのが今作『TYCOON』だ。そこに"大君"を意味するタイトルを自ら冠したという事実が、また実に興味深い。Track.8「PRAYING RUN」を筆頭に近年のライヴにおける主力曲たちが音源化されているほか、既発シングル曲の大半がアルバムVer.にて収録されている一方、むろん書き下ろし曲たちの発する強い存在感も圧倒的。疾走する音像と、説得力ある歌詞が燦然とした光を放つTrack.3「シリウス」。ビター&スウィートなTrack.4「SHOUT LOVE」。作曲クレジットにバンド名が記されたTrack.5「IDEAL REALITY」に滲む、ドキュメント性......。全18曲、計78分59秒には、彼らの辿ってきた3年余りの日々が凝縮されている。

DECIDED

UVERworld

DECIDED

シングルというと一般的には表題曲ばかりがもてはやされる傾向にあるが、フロントマン・TAKUYA∞が明言するとおり、今作は「DECIDED」だけでなく収録曲全3曲を通しての存在感を堪能すべきだ。映画"銀魂"の主題歌として使われることを意識しながらも、バンドとしての"今まさに思うこと"をストレートな音像に乗せて託したという「DECIDED」。かの名曲「MONDO PIECE」を凌駕するような、深いメッセージ性を孕んだ楽曲に仕上がっている「RANGE」。そして、TAKUYA∞と信人が曲タイトルどおりに熾烈にしてコミカルなディスり合いを演じる「DIS is TEKI」。それぞれがまったく別方向のベクトルを持っていながら、どれもがUVERworldならではの楽曲に仕上げているあたりはお見事。これは8月のアルバムも待ち遠しい!