ブクガが2019年初のフィジカル作品を完成させた。Track.1「鯨工場」は、MVでも表現されているとおりの、鉛色の空と海辺に建つ寂れた工場の情景がはっきり浮かび上がる1曲。続く「長い夜が明けて」が「鯨工場」の歌詞ともリンクしており、シングルを通してひとつのショート・フィルムを鑑賞しているような感覚を覚える。ポエトリー・リーディング「まんげつのよるに」の水中や水面を思わせる音世界も作品全体に深みを出しており、そのアート性の高さは今作でも期待を裏切らない。ブクガらしさはそのままに、メンバーの歌唱力アップや世界観のさらなる広がりを感じさせる1枚に仕上がった。初回限定盤Blu-rayに収録されるワンマン・ライヴ"Solitude HOTEL 6F yume"の映像も必見。
変拍子を多用した曲で存在感を放つ4人組ガールズ・ユニット、ブクガことMaison book girlのニュー・アルバム。"夢"をコンセプトとした本作では、全21曲の約半数を占める、"夢"との関わりを想像させる意味深なインスト曲が本作の世界観を彩ると共に、曲と曲とを心地よく繋いでいる。歌モノにも、コンセプトに沿った新曲が揃うが、脳波の動きをクラップのベロシティにしたという「夢」は、ブクガの真骨頂とも言える複雑な変拍子をサビで堪能することができる。お馴染みのポエトリー・リーディング「不思議な風船」は、不安感と緊張感を煽るようなサウンドと、コショージメグミが手掛けた幻想的な詩の交わる様が美しく、一度聴いたら忘れられない強烈な印象を与える1曲だ。