1ミリのブレもないままヲタ趣向を発揮し続けるロック・バンド、岸田教団&THE明星ロケッツが、ベスト・アルバム『異世界転生したらベストアルバムでした。』に引き続くかたちで、早くも新しいアルバムを発表した。今作は2021年10月に開催された[LIVE TOUR 2020 "厳かに祭典"]のライヴ音源と、新曲「TRIGGER」からなる全15曲をパッケージしたもの。なお、初回限定盤特典Blu-rayには、2021年4月に行われたイベント"岸田さんがライブハウスでレコーディングする"のドキュメント映像と、「TRIGGER」をレコーディングした際の映像も計172分にわたって収録されるという。メジャーからのリリースとは思えない、相変わらずなヲタ全開のアートワークがまた素晴らしい(褒めてる)。
秀逸なタイトルどおり、今作はメジャー・デビュー以降の楽曲をまとめた1枚。同時に、リーダーである岸田(Ba)が、"とある科学の超電磁砲T"への限りないリスペクトを音にも詞にも全力で込めたという「nameless story」を筆頭に、これまでに彼らが手掛けた全アニメ主題歌たちがオリジナル音源にて収録されているため、音楽ファンのみならずアニヲタの方々にも堪能していただける内容であると言えるはず。一方で、メジャー・デビュー曲「HIGHSCHOOL OF THE DEAD」を再RECした「HIGHSCHOOL OF THE DEAD[2021]」をはじめとして、様々な過去曲が再録されている点も興味深い。入門編としても最適なうえ、コレクターズ・アイテムとしての存在感も強い2枚組。
岸田教団&THE明星ロケッツは今作をもって、文字どおりバンドとしての"REBOOT"を果たしたことになるはずだ。リーダーである岸田(Ba)の思惑がより忠実に具現化されることになったせいか、今作では各曲における音楽的意思伝達率が格段に飛躍している印象が強い。また、ichigoのヴォーカリゼーションもこれまでにないほどまっすぐなベクトルを持ったものとして聴こえてくる。中でも、フィクションとノンフィクションが交錯する「Decide the essence」、事実上のタイトル・チューン「Reboot:RAVEN」、そして作品を締めくくる「stratus rain」から「Code:Thinker」にかけた流れは相当に秀逸で、その手腕の鮮やかさに唸らされること請け合い。"REBOOT"、ここに完遂!