TVアニメ"ALL OUT!!"のエンディング曲である「ノーサイド」は、1984年に松任谷由実がリリースした曲のカバー。ユーミン好きを公言し、毎日のように聴いているという瀧川ありさにとってはしっくりと肌に馴染んだ歌でもあるが、それだけに繊細に曲の景色、情感を扱っている。80年代のニュー・ミュージックの懐かしさが薫るシックな大人のアレンジで、目の前のドラマを静かに描写するように歌うヴォーカルがいい。感情的になりすぎず、心の陰りや機微をさりげない風のように表現できるシンガーだと、改めて思う曲にも仕上がった。ダブルA面のもう1曲「ONE FOR YOU」は、対照的に晴れやかなサウンドで、未来への岐路を明るく照らした曲。まっすぐな歌詞が照れくさいと本人は語るも、これもまたこの声だからこそ歌える歌だと思う。
アコースティック・ギターの力強いカッティングで始まる表題曲「色褪せない瞳」。そのギターとピアノのドラマチックなサウンドに、優しい光を湛えた瀧川ありさのヴォーカルが映える1曲となった。歌声を支えるドラムのターキー(la la larks/ex-GO!GO!7188)とベースの佐孝仁司(Galileo Galilei)というリズム隊の躍動感も、メッセージ性の高い曲のエンジンになっている。こうした彼女の声の力を活かしたピュアでまっすぐな曲の良さはもちろん、カップリング曲「anything」の平熱感のあるエレクトロ・サウンドで、エアリーに物語を伝える曲もまたいい。この曲は瀧川ありさ作詞作曲によるもので、誰かに寄り添うように、静かに相手の話を聞くような近さがある。不安な気持ちをほぐしていくように、抑えたヴォーカルで歌い上げていく、そのナチュラルさが心地いい。