関連アーティスト
後藤まりこMUSIC VIDEO
Related DISC REVIEW
-
トイ・ピアノとギターがキュートなリフを奏でるTrack.1「4がつ6日」から、裸足でジャンプするようなときめきを放ち、同じくバンド・サウンドの「m@u」でもエモーショナルなポップを聴かせ、そこからごく自然にKovacs作のエレクトロ・チューン「す☆ぴか」へと進む序盤の透明感。スガダイローのピアノとの即興演奏では、後藤まりこのハードコアという名の潜在意識を最も強力に実感することもできる。また、「sound of me」のシングル時のリミックスでもおなじみのSerphのアブストラクトでありつつ美しいトラックとの相性も新鮮。また、独自のシティ・ポップ感を持つHARCO編曲の「Hey musicさん!」は最も耳懐こいポップチューン。メロディと声と言葉で音楽そのものへ同化するような新しい後藤まりこがいる。(石角 友香)
-
食べることに生きることのエネルギーを感じさせる謎の女性、シズルを演じる彼女。ほとんどセリフのない彼女の歌がエンディングをパカーン!と開けたものにしているのは間違いない。ポップとポストロックと童謡的な世界観に乗せて、走り出したら止まれない後藤まりこという女性・人間・アーティストそのものといった印象の歌詞が乗る時、その生き方への愛しさと畏怖が渾然一体となって迫ってくる。なお、カップリングはSerphによる表題とは一味も二味も違う、エレクトロやアブストラクト寄りのリミックスが2曲収録されているのだが、こちらもヴォーカルを損ねることのないリミックスで、温度感の違う「sound of me」をシングルで3種類楽しめるような趣向が楽しい。(石角 友香)
-
アニメ『惡の華』の主題歌を完全収録したコンセプトEP。宇宙人によるOP曲「惡の華」は、しのさきあさこ、後藤まりこ、の子(神聖かまってちゃん)、南波志帆をそれぞれヴォーカルにフィーチャーした全4種類が収録され、ED曲であるASA-CHANG & 巡礼の「花 -a last flower-」も収録。物語の不穏な空気感、歪さを表現するため、ロトスコープと呼ばれる実写を元にした映像作成も話題を呼んだアニメだけあって、音楽においてもアニメならではの世界観を生み出そうとしていることが、本作を聴けばよくわかる。出口の見えない陰鬱な青春が、それぞれの楽曲に見事に表現されている。その中でボーナス・トラックとして収録されたBase Ball Bearの「光蘇」は、暗闇の中、かすれた瞼に映る微かな光のようで、美しい。(天野 史彬)