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THURSDAY’S YOUTH(ex-Suck a Stew Dry)Related NEWS
THURSDAY’S YOUTH (67)
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THURSDAY'S YOUTHが5年ぶりの流通盤となるEPをリリース。"6 Bagatelles(=つまらないもの、些細な事柄)"というタイトルが印象的だが、"つまらないものですが"なんて言いながら至高の6曲が並べられた。篠山浩生(Vo/Gt)の人生観や喪失感を色濃く映す歌詞は、時に鋭く強い言葉を綴りながらも、琴線に触れる繊細な歌声、軽やかに韻を踏んでいく心地よさ、温かく包み込むコーラスによって柔らかに響く。その言葉たちを粒立たせるように、無駄のない洗練されたサウンドは緻密に構築され、要所要所で楽曲をドラマチックに盛り上げている。差別、多様性などにも触れ世の中の空気感を反映しつつ、独自の視点で人生を諦観する本作。正解を突きつけるのではなく気づきをもたらす、そんな心揺さぶる歌に救われる。(中尾 佳奈)
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活動休止期間を経て、改名後初のリリースとなった1stアルバム。生きる意味を強く歌った「さよなら」と「はなやぐロックスター」を始め、彼らの再出発として相応しい全15曲を収録。そのすべての楽曲に生きることへの想いが散りばめられ、それに対応する日常が刻み込まれている。今作のタイトルでもある「東京」ではせわしない都会の中で"生きる"日常が切り取られ、リズミカルな曲調に言葉のリフレインがクセになる「這う廊」では、最初のドアを開ける生活音と最後の"今日もゴミに出す 僕の明日を"というフレーズがリンクし、生きなければならない毎日を歌い上げている。1枚を通して穏やかな曲調であるが、"生きること=日常"に視点を置き、心が揺さぶられるような衝動も感じられる作品となった。(諏佐 美友)
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昨年12月から活動休止をしていたSuck a Stew Dryが脱退したフセタツアキを除いたメンバー4人のまま改名してバンドを再スタート。サック時代の曲名から受け継いだTHURSDAY'S YOUTH(読み:サーズデイズユース)として、再始動のEP『さよなら、はなやぐロックスター』をリリースする。これまでのカラフルなサウンドは影を潜め、篠山浩生(Vo/Gt)が胸に抱えるやるせない感情を飾らない音像で届ける全4曲。過去の自分にけじめをつけて前へ進んでゆくための決意を感じる「さよなら」や「ぼくの失敗」、どう転んでも自分以外の自分にはなれないということを嘆きながらも受け入れる「はなやぐロックスター」や「タイムシグナル」は、どの曲もいまのバンドの心情とリンクしているように感じるのは、決して深読みではないと思う。(秦 理絵)
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人の弱さ、愚かさを暴くかのような強い歌と演奏に注目が集まっているSuck a Stew Dry。今年3月に新ベーシストが加入し、より活発な活動を展開する彼らの初EP。タイトル・トラック「世界に一人ぼっち」を含めたスタジオ・レコーディングの4曲が収録された今作も、シノヤマコウセイらしいシニカルな歌詞が光る。それとは裏腹に、爽やかで軽快なメロディが、全体的に明るくポップな印象を与える。特に「カラフル」や「ヒーロー」は優しく透明感のある歌声が心地よく、音源化の要望が高かったのも頷ける。また、自殺者へ語りかけるように歌われる「七階」は対比的にシノヤマの生への執着が伺える。この他に2曲のライヴ音源が収録されるとのことで、この1枚だけでも十分にSuckの世界観を楽しめるだろう。(奥村 小雪)
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話題の若手5人組ロック・バンドSuck a Stew Dryの2ndミニ・アルバム。どこか熱い気持ちを内に秘めたような鼻にかかるシノヤマコウヘイ(Vo/Gt)のヴォーカルと、一聴しただけで心に染み渡っていくメロディが非常に秀逸な作品である。特に「ないものねだり」での跳ねたリズムに絡む哀愁のあるメロディにはグッと胸を締めつけられたし、続く「傘」での衝撃すら受けた生々しい歌詞からは純粋なまでの不器用な愛を感じとることができるだろう。そのメロディを最大限に活かしているバンド・サウンドは決して聴く者を圧倒するものではなく、むしろ必死に気持ちを伝えるために辿りついた轟音。そんなメンバーの人間性から紡がれたリアルな感情に触れてほしい。(平野 スミオ)
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久しぶりに脱力してしまった。一言一言の痛々しさに胸が締め付けられ、気が付けば楽曲に同調し、立ちすくんでいた。漫然と日々を過ごしていたシノヤマコウセイ (Vo&Gt) の紡ぐ言葉は、世界とのつながり方がそのまま"生"を思わせる。 その派生としての"自己"に対する想い。何者でもない自分への憤り。深く枯渇した感情が溢れ出す。シノヤマの歌詞にノイズのようなサウンドを被せるSuck a Stew Dry は、2009年に結成し、翌年から活動を開始した非常に若い5ピースのバンドだ。息苦しいほどの気だるさの中 "誰でもない自分"を求めるが故の苦しさを歌う。壁を作って心を押し殺しながら、一方では心を追い求める。太宰 治が描くような不完全な歪さが、インクのような感染力を持つのだ。彼らが"帰ろう"とする場所は、過去かまだ見ぬ未来か。すべてはこれからだ。(山田 美央)