ヒップホップとブルースを融合させた"ラグ・モップ"のオリジネーター G. LOVEの、ソロ名義としては約9年ぶり4作目となる新作。自身のバンド、G. LOVE & SPECIAL SAUCE名義でリリースされた近作は、ヘヴィなロックンロールの要素も持ち合わせたスタイルだったが、グラミー受賞のブルースマン KEB' MO'や、名だたるスティール・ギタリストなどのコラボレーターを迎えた今回は、代名詞と言うべきブルージーなサウンドに満ちた、キャリア25周年を総括する内容に。ゴスペル調のコーラスが美しいTrack.1や、アッパーなグルーヴに思わず頭を揺らしてしまうTrack.4、ブルース・ハープが染みわたるTrack.7など、肩肘張らずにまったりと楽しめる1枚だ。
THE AVETT BROTHERSと組んで、Garrett DuttonがG.LOVEになる前に聴いていた音楽に回帰した『Fixin' To Die』を経て、オリジナル・ラインナップのSPECIALSAUCEと組んだ『Sugar』から1年ちょっとでもう新作だなんて、G.LOVEの絶好調具合が窺えるが、1曲目からギターが大音量で鳴るこの新作を聴けば、そんな思いはよりはっきりしたものになるはずだ。"ラグ・モップ"と名づけたG.LOVE印のヒップホップなブルースは相変わらずゴキゲンだが、彼がここで追求したヘヴィなギター・サウンドはデビュー21年目を迎え、まだそんなやんちゃなアプローチができるのかとファンを驚かせるに違いない。前作に引き続き、多彩なゲストを迎えたところからもポジティヴでオープンなヴァイブが感じられる。
Jack Johnson主宰レーベルでの5作目となるG.LOVEのニュー・アルバムは、バンド名義でのデビュー作から20周年を迎えることもあり、当時のメンバーであるJimmie Prescott(Ba)、Jeffrey Clemens(Dr)が再集結した原点回帰的作品。ブルースとヒップホップを大胆にシェイクしたストリート感と、粋でとんがっているけれど、どこかユル~っとした雰囲気で親しみがある音楽で90年代の空気を体現していたG.LOVE。今作はその、勢いのあるラフ・スケッチの空気感や軽やかなサウンドのミックス感を、味のあるしなやかなタッチで聴かせてくれる。Ben Harper等のゲストも迎えた、シンプルでありながら饒舌でリズミカルなセッションが心地好い。懐かしさもあるけれど、やっぱりこの遊び、ノリやグルーヴは新鮮。