Overseas
DELPHIC.
2009.08.08 @千葉マリンスタジアム&幕張メッセ
Writer 遠藤 孝行
眠い目を擦りながら、SONIC STAGEへ向かう。2日目の僕が朝一番で観たのはこのバンド。老舗テクノ・レーベル「R&S」からたった一枚のシングルしかリリースされていないのにも関わらず、ステージ後方まで人が溢れかえっている。
5月に予定されていたBLOC PARTYのオープニング・アクトとしての来日が11月に延期になったため今回が初来日。僕も1stシングル『Counterpoint』でやられてしまった一人。NEW ORDERとUNDERWORLDを足して二で割った様な高揚感に溢れたダイナミックなこの曲は、今年のクラブ・シーンを代表する一曲。とにかく今年のSUMMER SONCを代表する新人バンドの一つだろう。
静かに4人のメンバーが登場し、ゆっくりとクールにライヴが始まる。こんなしっかりとしたバンド・スタイルだとは思わず、すこし驚く。話題が先行し過ぎていて、曲は最高なんだけど、ただライヴはたいした事ないんじゃないかとか、そこまでのバンドでは無いんじゃないかと勝手に疑りの目で観ていた事も事実。しかし、それはあっさりと覆される。壮大にはじまったライヴは次第に熱を持ち始め、メンバーはそれぞれ楽器を持ち替えながら、流れる様に展開してゆく。タイトで活き活きとしたドラミング、高揚感溢れるシーケンス。自然と体を揺らす。踊る。感情をそのままぶつけられる様な、つんのめったビートではなく、体を素直に横に揺らす様に踊れるビート。ダンスとロックをクロス・オーバーさせるバンドが沢山出てくる中、飽和状態にさえなっている今のシーンの中でこのバンドはキラリと個性を放っている。ライヴの最後はお待ちかねの『Counterpoint』。トライバルなビートでカオスティックになる後半にフロアは爆発。お昼をまだ過ぎたばかりだというのに異様な盛り上がり。オープニングからスムースに一本の川の様に進むライヴは見事だった。冷静に、そして断固とした存在感を見せつけた彼らの1stアルバムは来年の早々に発表されるという。楽しみに待とう。
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