まだ何者でもない青年の日常を洗練されたサウンドスケープで描くという、誰にも似ていない作品性でリスナーの耳を掴んで離さないDURDN、新たな4曲入りシングル。清潔で浮遊感のある架空の夏を想像させるトロピカルなリード曲「ON THE ISLAND」のテーマは"無人島にたったひとつしか持っていけないとするなら"という身近なトピックで、それがユニークだ。ベースラインが効いたダンス・チューン「Study」は新しい服もないのに"深夜の断捨離"をしてしまうし、クールな「Summer Jumbo」ではタイトル通り"宝くじでも当たらないかな......"と労働に励みながら夢想、という振り切りぶり。安全地帯「恋の予感」のカバーはBakuの憂いを含んだ素直な声との相性の良さに瞠目間違いなし。
夜明けから深夜までの1日の心の動きや情景をテーマにした、DURDN初のコンセプトEP。アトモスフェリックなピアノ・ループに密かな野望を抱く青年のマインドがうっすら滲む「PRIDE」、起きるまでのほんの何分かの体感を描く「Alarm」、インディー・ポップと少し懐かしい90sテイストが昼下がりの空想時間とリンクする「Spaceship」、台湾出身のアーティスト Howard Leeをフィーチャーした「Pretense」では夕暮れが近づく街で虚勢を張ってしまったことを思い出し少し後悔している様子がリアル。また、シュールな印象のトラックの「Palm」は主人公の青年の孤独と野心が、ラストの「FAKE MOON」では穏やかなトーンに主人公の静かな決心が窺える。全編通して短編映画のような深さが響く作品だ。