"苦しい時こそ生まれる歌がワンダーソング"と、音楽が切り拓く未来を信じて歌い上げるリード曲「タクトを振れ」を収録した、HEADLAMP約1年ぶりの新作となるミニ・アルバム。昨年7月にフル・アルバム『ON THE GROUND』をリリースしてから、精力的にライヴを重ねてきた彼らが、改めて音楽と向き合うことで生まれた楽曲たちが収録されている。切ないメロディ・ラインにいつかまた会いたい人への想いを捧げた「Skyline」、スカを取り入れた穏やかなサウンドに両親に貰った大切な言葉をモチーフにした「アンビー」、"愛"についてのバラード曲「愛に生きて」。ソングライティングを手掛ける平井一雅(Vo/Gt)が、今この瞬間に動いた想いを切り取った歌たちは、何ひとつ嘘がなく、だからこそ心に響く。
タイトル・トラック「ON THE GROUND」から夜明けを告げるような堂々としたサウンドスケープで幕開ける、HEADLAMP初の全国流通アルバム。7年前に大阪 高槻のライヴハウスから始まったバンドの集大成となる1枚が完成した。バンドの原点にあるメロディック・パンクの要素を随所に感じさせながらも、その枠を超えて瑞々しいメロディとビートが躍動するロック・アルバムは、朝から夜へと日常生活のサイクルに寄り添うように曲順を組み立てたという裏テーマもある。心に隠した反骨精神が漏れ出た「PUNKS!!」や、熱き青春の日々を綴る「アオハルロンド」を経て、特にアルバムのラストに収録された「帰せる列車に」、「旅の後書き」、「ウチュウイチ」で溢れ出るエモーションがいい。自分たちこそ"宇宙一のバンドマン"であると何のてらいもなく歌えるピュアさが眩しかった。
新たなベーシストを迎えて新体制となった4人組ガールズ・バンドの2年ぶりの新作。バンドマンとして生きていく楽しさも厳しさも同居した1枚で、ファンキーなアレンジに乗せて盛り上がる前代未聞のパクチーdisパーティー・ソング「ゲゲゲのパクチー」から、内面の葛藤を曝け出す「Who are you?」、「1110」まで、曲ごとの感情の浮き沈みが激しく、虎の子と言いながらこれでもかと人間臭さが出ている。特筆すべきは、マザー・ヤナギ(Vo/Key)の歌唱力の高さと、演奏が感情の起伏に寄り添ったアレンジになっていること。20代前半でキャリアも浅いバンドながら、堂々たる貫禄を感じてしまうのはそんなところからだ。ラストの「太陽はまた昇る」は、すべてが報われるような清々しい気持ちにさせてくれる。