THE 1975は、夜の闇に隠れてロックで踊る。マンチェスター出身のこの不良たちの音楽は“ロックの復権”なんて安っぽい言葉で片付けられない大きな希望に満ちている。ちょっと学が足りなさすぎるんじゃないの……なんて下手したら勘違いしそうになる歌詞やギター・フレーズの執拗なまでの反復は、エレクトロやクラブ・ミュージックの快楽性を切り取ったものだし、ポップなメロディの隙間に顔を覗かせるマンチェスターの工業地帯の荒涼とした夜を思わせるサウンドスケープは、SIGUR ROSや各種のシューゲイザー・バンドを思い起こさせる。しかし、その実験の成果が「Chocolate」のような素直なポップに結実しているのが彼らの可愛いところであり、また大きな可能性を感じさせる部分だ。大期待。