国内ストリーミング・サービス史上最速で1億回再生を突破した「Pretender」をはじめ、ヒゲダンが今日本で最も聴かれているのは間違いない。過去の自身を超えるのが命題だが、今作は構成と歌詞両方で未知の価値観を認め合おうとする意志が窺えた。突っかかるビート感とシンセ・ベースがモダンなイントロから、ファンキーなカッティングに合わせ生ベースが登場し、"高まる愛の中"でサビを迎えたかと思えば、2サビと言えるクラップとクワイアが印象的な一体感のあるパートへ広がり、さらに、落ちサビのあとにピアノが沁みるブロックで締める。構成ではそのすべてが主役で、歌詞では知らなかった相手の側面や新しい価値観を"I Love Your Love"という肯定に収斂。時代性も映した渾身の1曲だ。
豊沃だ。持ち前の才覚に、長いキャリアに裏打ちされた経験値、そして何よりも各メンバーが徹底する求道的なスタンス。それらを兼ね備えたUVERworldは、ここに来て今まで以上に音楽に対して貪欲な姿勢を示した作品を完成するに至ったのだと思われる。鮮烈なコラボが実現している「ENCORE AGAIN (feat.SHUNTO from BE:FIRST)」や「FINALIST (feat.ANARCHY)」も興味深いが、「Don't Think.Sing」から溢れ出すハイエナジーにしてソリッドなリアリティにはただただ圧倒され、「THEORY」から伝わってくる熱き想いは聴き手の胸を強く打つ。ライヴを想定して作られたというこの収録曲たちは、7月末に開催される日産スタジアム公演でも豊沃にして眩しいほどの輝きを見せてくれるに違いない。
シングルというと一般的には表題曲ばかりがもてはやされる傾向にあるが、フロントマン・TAKUYA∞が明言するとおり、今作は「DECIDED」だけでなく収録曲全3曲を通しての存在感を堪能すべきだ。映画"銀魂"の主題歌として使われることを意識しながらも、バンドとしての"今まさに思うこと"をストレートな音像に乗せて託したという「DECIDED」。かの名曲「MONDO PIECE」を凌駕するような、深いメッセージ性を孕んだ楽曲に仕上がっている「RANGE」。そして、TAKUYA∞と信人が曲タイトルどおりに熾烈にしてコミカルなディスり合いを演じる「DIS is TEKI」。それぞれがまったく別方向のベクトルを持っていながら、どれもがUVERworldならではの楽曲に仕上げているあたりはお見事。これは8月のアルバムも待ち遠しい!