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INTERVIEW

Japanese

UVERworld

2023年07月号掲載

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Member:TAKUYA∞(Vo)

Interviewer:杉江 由紀

磨き上げられた曲。純度の高い歌詞。まったくスポイルされることのないリアルな演奏。UVERworldがこのたび完成させた『ENIGMASIS』というアルバムには、それらがふんだんに詰め込まれている。その完成度たるや、もはや神秘的であると言ってもいいだろう。そして、この秀逸なる音源をライヴの場に持ち込んだときにはUVERworldがさらなる真価を発揮する瞬間が訪れるのだ。今作『ENIGMASIS』のリリースからほどなく7月29日と30日に日産スタジアムにて開催される"UVERworld premium THE LIVE at NISSAN STADIUM"、"UVERworld KING'S PARADE 男祭りREBORN at NISSAN STADIUM 6 VS 72000"では、ライヴ・バンド UVERworldのモンスター級なパフォーマンスをたっぷりと堪能できるに違いない。

-前作『30』(2021年リリース)以来、約1年半ぶりのアルバムとなる『ENIGMASIS』がここに完成しましたが、今作の制作に向けたバンド内でのディスカッションにおいては、当初どのような構想が練られていくことになっていたのでしょうか。

デビューから18年経って、今のUVERworldはずいぶんと曲のレパートリーが増えましたからね。本当にいろいろな楽曲を出してきて、いわゆるジャンル的な断絶もせず、自分たちがその時々でやりたいことや、好きな音楽をすべてUVERworldとして昇華して楽しめる姿勢というのが僕たちの大きな強みであり、こうして今日までずっと変わらずに音楽を愛してこられた理由かなと思っているんですよ。だから、今回も"好きなもの作ろうぜ!"っていうのがキーワードになってた感じです。

-なお、前作『30』のときは山田孝之さんや青山テルマさんとのコラボが話題になりましたけれど、今作ではBE:FIRSTのSHUNTOさん、そしてANARCHYさんとのコラボが実現しております。これは前作での試みを新たに反映したところとなりますか?

そこに関しては、コロナ禍に入ったときにファンの人たちに公言したんですよね。リリース自体もしづらくなったりとかしていくなか、その状況を踏まえるならば"今までやってなかったこと"をやりたいから、ここから先"5曲くらい好きにやらせてくれ"って。で、前のアルバムのときは「SOUL (feat.青山テルマ & 愛笑む)」と「来鳥江 (feat.山田孝之 & 愛笑む)」の2曲で好きにやらせてもらったんで、今回はさらに「ENCORE AGAIN (feat.SHUNTO from BE:FIRST)」と「FINALIST (feat.ANARCHY)」の2曲で好きにやらせてもらいました。だから、まだあと1曲分は枠が残ってるわけです(笑)。

-なるほど。では、せっかくですのでまずここでは「ENCORE AGAIN (feat.SHUNTO from BE:FIRST)」についてのお話からうかがって参りましょう。そもそも、SHUNTOさんとの交流はどのような経緯から始まったものだったのです?

SHUNTOがデビューしてから、いくつかのインタビューで彼が"UVERworldが好き"って言ってくれているのを、僕はお互いのファンから聞いて知ってたんですよ。それで、そういう子がいるんだなっていう認識だけしている感じだったんですけど、あるフェスで一緒になったときにSHUNTOがアルバムを持って挨拶しに来てくれたんです。それがきっかけで、貰ったBE:FIRSTの音源を聴いてライヴも観に行かせてもらうことになったんです。

-つまり、TAKUYA∞さんとしてもSHUNTOさんに対して何かしらを感じるところがあられたわけですね。

当たり前なんですけど、19歳と言えどもう勝ち上がってますからね。すごい才能に満ちた、こんなにも素敵なパフォーマンスをする子がUVERworldのことを好きって言ってくれてたんだ! と思って、嬉しかったんですよ。だから、今回は僕から"一緒に曲を作ろう"って誘いました。

-そのお声掛けに対する、SHUNTOさんからのリアクションはどのようなものだったのです? 差し支えなければ教えてください。

LINEでメッセージを送ったんで、それに対して"ぜひ、お願いします!"って返ってきました。ただ、彼いわく1日ぐらいちょっと考えてたらしいです。まぁ、こっちからは夜中に送ったんで、別に普通に翌日返ってきたっていう感じでしたけど。

-SHUNTOさんからすると、嬉しいのはもちろんだけれどもプレッシャーを感じていたせいで即答ができなかった、ということなのかもしれませんね。

まさにそういうようなことを言ってくれてました(笑)。

-こちらはクレジットを見ますと「ENCORE AGAIN (feat.SHUNTO from BE:FIRST)」は詞をTAKUYA∞さんとSHUNTOさんで書かれていらっしゃいますが、行程としてはどのようなやりとりがそこにあったのでしょうか。

全体的な曲と歌詞とメロディはこっち側で完成させてから、SHUNTOの歌ってる部分だけをごっそり空けておいたもの渡して、あとは彼に委ねました。僕が歌ってる部分を聴けば、曲の持ってる世界観はわかってくれるだろうって思ってたんですよ。

-その後、SHUNTOさんから曲が戻されてきたとき、TAKUYA∞さんはどのような印象を受けられたのでしょう。

リリックの完成度もさることながら、僕はとにかく彼の声がとても好きなので、このすごく雰囲気のある声が入ることで曲がぐっと引き締まったなと思いました。これは完成するのが楽しみだな、という1曲になりましたよ。この間ティーザー動画を発表した時点でファンの人たちも喜んでくれてたんで、アルバムとしてリリースしたときにはみんなにより楽しんでもらえるんじゃないですかね。

-それは間違いないでしょう。ちなみに、「ENCORE AGAIN (feat.SHUNTO from BE:FIRST)」は作曲クレジット欄が"克哉 / TAKUYA∞ / 辻村有記 / 伊藤賢"という表記になっております。曲そのものとしては、どのように成立していったことになりますか。

これはコライトですね。克哉(Gt)が元ネタを作って、そこからコライトを始めて。そこから僕が貰って歌詞をつけたり、歌詞を乗せるとメロディも変わっていったりするんで、その結果このクレジット表記になってます。まぁ、個人的にはこういうミドル・テンポの楽曲って結構苦手だったりして、アップテンポなもののほうが本来は得意なんですよ。だから、僕としてはずいぶん悩みながら作った曲でしたね。途中で1日、2日くらい何も自分の中から出てこないときがあって、もうこれはお手上げって思った瞬間に"そういえば毎回ここからが勝負だな"っていうことを思い出したんですよ。ここではその心境をそのまま歌詞に落とし込んでます。そして、そこからは完成まで速かったですね。

-"もう何も作れないや から/もうこれ以上進めないや からが/本番だって 言い続け/此処に辿りついた"というのが、まさにそのくだりなわけですね。それにしても、TAKUYA∞さんがミドル・テンポの楽曲は苦手だとおっしゃるのはやや意外です。なんなら、今作は従来の作品たちと比べてみると、むしろミドル・テンポ寄りの楽曲が多くなっているような印象さえあるくらいです。

たしかに。たぶん、自分の得意なものはとりあえずやり尽くしたっていうことなのかもしれない。だから、今はこれまでの自分があんまり進んで手に取ってこなかったビート感の曲に歌詞を当てはめていく、っていうことを新鮮に感じてたところがあった気がします。そういう意味で、このアルバムが完成したときには"新しいものを作れたなぁ"っていう喜びをすごく感じられたんですよ。

-新鮮味ということで言えば、今作ではいい意味でニュートラルな「ビタースウィート」から幕開けしていくという構成にも少し驚きました。勢いで押し進めていくのとは異なる、味わい深さに溢れたアルバムに今作は仕上がっておりますね。

ありがとうございます。制作のための作業の中で言うと、自分は作詞が最も好きなんですよ。その大切に書いた歌詞をより届けやすい形を求めると、こういうメロディやテンポ感のほうがいいんだろうなっていうことになったんだと思います。