Japanese
METAMUSEMAPA 座談会
METAMUSE:巫まろ 大森靖子
MAPA:宇城茉世
Interviewer:フジジュン Photographer:TAKI
頑張ることで"楽しい"の視野が広がると思うし、そういう気持ちを大事にしたいと思ってる(宇城)
-すでにライヴでも披露している「いちご完全犯罪」の反応はいかがですか?
巫:明るくて盛り上がる曲ではあるんですけど、よく歌詞を聴いたら泣けてくる部分もあるので、一緒に踊ってくれてる人もいれば、涙してる女の子もいてくれたりして、観る人によって全然違った感じ方をしてくれる曲なんだなと思って。涙してくれてる子を見て、こっちが泣きそうになったりしちゃうんです。
大森:自分の恋愛や人生に重ねて泣いてくれる人もいれば、"靖子ちゃんがまろちゃんにこの歌割を与えてるのが泣ける"みたいなストーリーを考えてくれてる人もいたりして、よく観てくれてるんだなって思ったり。歌詞は読めば読むほどって感じでいつも書いてるんですが、この曲はかわいい歌詞の中に"ケーキの切れない非行少年たち"みたいなのも意識したり、完全になりたいけどなれない気持ちとか、黒い気持ちも入れていたりしていて。達成できた夢よりも、できなかったことや、やれなかったことのほうが今の自分を作ってくれてることが多かったりするので、そういうのも含めて"今の完全にかわいい自分だよ"と思える曲にできたらいいなと思って作ったんです。
-うん、嘘も本当も夢も現実も全部をぐちゃぐちゃに詰め込んでて、これをひとりで表現するのって大変だけど、10人の個性があるから表現できるし、いろんな捉え方ができます。
大森:そうですね。あと、METAMUSEは"実像崇拝"ってコンセプトでやってて。アイドルが嘘をついたり、そういうのって好きじゃないし、いくら自分を取り繕っても、ステージに立ったら全部出ちゃうものだと思うし。そこで生きていこうというのがTOKYO PINKに集まってくれた人だと思っているので、みんながそういう気持ちでやって、美しいものを作っていきたいという気持ちを込めて作っています。
-この曲にある"アイドルだってうそっぱちの歌じゃ/救えない"というフレーズにドキッとしたし、そこに大森さんのアイドルの理想像があると思いました。
大森:はい、"アイドルは犯罪さえ犯さなければOK"っていうルールでやってます(笑)。
-犯罪を犯しても、完全犯罪なら大丈夫ですよね(笑)?
大森:でも、TOKYO PINKの子たちはみんなわかりやすくて、嘘つけない子ばっかりだから、完全犯罪は無理だと思います(笑)。
-わはは。「猫の国」はいかがですか?
巫:「猫の国」は私、猫を飼ってて。飼ってる猫が"魔除けになる"って聞いて、ご縁もあって飼うようになったんですけど、「猫の国」にうちの猫の声を使ってたりして、魔除けどころか幸福まで招く猫になってくれてることに素晴らしさを再確認したり(笑)。こんなに自分ちの猫のことが大好きなのに、本人? 本猫? は、それを知らないで生きてるって切なさに、夜な夜な涙って感じです。だから「猫の国」は、猫飼ってる人は猫を思ってウルッとくる部分もあるかもしれないです。
宇城:「猫の国」はよく聴くと猫の声とか怪しい声とか、10人の誰でもない男性の声が入ってたりして。いろんな仕掛けがあるんで、リリース後の反応も楽しみです。
大森:猫って従属的な部分もあるのに、猛獣の部分も持ってるのが最高で。"猫、かわいい!"って感じじゃなくて、スッとした目で"かわいいね"って思えるのが好きなんです。猫も自分のことを信用してないし、自分も猫のことを信用してないから。それで関係が成り立つのがいいですよね(笑)。でもそれってメンバー同士もそうで、人間的に信用してなくても、"あの人はパフォーマンスに対してこうだから信用できる"って部分があれば、めっちゃ仲悪くなっても続けていくことができると思うし。
-プロデューサーであり、メンバーでもある大森さんって、巫さんと宇城さんにとってはどんな存在なんですか?
巫:私はもともと友達であり、ファンであるところから始まって、同じグループのメンバーになって。先輩でありプロデューサーなのに、みんなに友達みたいに接してくれるので、いい意味での緊張感がなくて。"これ、靖子ちゃんに伝えたい"って思う瞬間もあって、ほかのメンバーよりもくだらないLINEを送っちゃったり、友達感覚なんだけど、ソロで活動してる部分やパフォーマンスの部分にリスペクトがあるし。TOKYO PINKのメンバーはみんなそれがあるから、同じ方向に進めてるんだと思います。
宇城:私はまろちゃんと全然違って、プロデューサーという存在なので、(気軽に)LINEを送るとかできないですけど、こんなにたくさん人数がいるのに、ひとりひとりのことをちゃんと見ててくれて、細かいことに気づいてくれたりして。ひたすら尊敬がありますし、音楽に対してすごく真摯な人なので、私はずっとついていきたいと思っているし、私も変なLINEとか送れるようになりたいなと思います(笑)。
巫:私は恋愛とかで病んでLINEを送ると、すごい深掘りしてくることもあるんですけど、"キモw"くらいの返事が来ることもあって(笑)。
大森:それは本当にしょうもなすぎて、ちゃんと助言するのもバカバカしいくらいのときがあるから"キモw"って送ってます(笑)。まろって、自分のことをすごい下に見てることがあって。私にしたらその男に対して、"え、まろだよ? まろと付き合えてるのになんでそんなことを!?"って言いたいくらいだから、自覚を持ってほしいんです。
巫:あはは。でも"そんなの曲のネタにもならないからな!"って言われてるような気がして、私も元気が出るんです。
大森:ちゃんと曲になるようなエピソードをくれたら、その人の歌割に入れて返してて。
巫:私はエピソード多めだから、歌割が多めってのもあるんです。
-え? それ、ネタバレしちゃったら、熱心なファンの人は深読みしますよね?
巫:イベントとかで自分で話しちゃってるんで、大丈夫です(笑)。それもあって、私の歌割を聴いて泣き崩れちゃってるファンもいたりして。
-そういうことなんですね! 本当に全部さらけ出してますね、すごいなぁ(笑)。
大森:イベントでお酒飲みながら、まろのLINEに返信が来るように、みんなで祈りを捧げたこともあったもんね?
巫:そしたら、"俺のことネタにしてる?"って返信が来ちゃって、"違う人だよ"ってしらばっくれました(笑)。
大森:本当はネタにしてるんだけどね(笑)。
-わははは、すごいなぁ! やっぱり、"アイドルだってうそっぱちの歌じゃ/救えない"って話で。アイドルもそれくらい覚悟を持ってやらないと心に響かないですよね。
大森:自分を偽っても、2~3年しか持たないですから。"卒業する気満々じゃん!"って思っちゃいますよね。
巫:期間を決めてるなら、そっちのほうが上手いやり方かも知れないですけど。
-わはは。では、最後にそれっぽい質問を(笑)。『いちご完全犯罪/猫の国』の聴きどころや見どころ、個人的に好きなところをそれぞれ教えてください!
宇城:私は「猫の国」の"楽しいは頑張らなきゃ"って歌詞が好きです。"楽しい"って、"いぇ~い!"だけじゃないと私は思ってて。頑張ることで"楽しい"の視野が広がると思ってますし、そういう気持ちを大事にしたいと思っていて。私の歌割ではないですけど、"いいな、好きだな"って気持ちで聴いてます。
大森:そこは頑張らなくても"楽しい"ができる、陽キャの人たちが歌ってるという歌割になっていて。頑張らなきゃいけない人は、その歌割りが貰えないという構図です(笑)。
-そんな皮肉も込められていたんですね(笑)。巫さんはいかがですか?
巫:私は「いちご完全犯罪」の"恥ずかしいこといっぱいしてきた私のこと 私は恥ずかしくなんかないもん"って歌詞がすっごい好きで。周りの人からしたら恥ずかしいと思われることもいっぱいあったし、してきたけど、それも全部ひっくるめて今が最高だから、歌を通してそれを肯定してもらえたのが嬉しかったし。たまたま、中学のときに書いた目標が出てきたんですけど、"振り返ったときに黒歴史の人生を"って書いてあって(笑)。黒歴史って思われることもいっぱいあるんですけど、それも全部なくてはならなかった出来事だと全部思えているので、その歌詞は特に好きです。
-大森さんはいかがですか?
大森:私は歌割を自分に当てるとき、"ここはAメロの最初でメロディを立てなきゃ"とか、音楽的な感じで当てがちなんですけど、唯一"ここは私が歌いたい!"と思って当てたのが「猫の国」の最後の"ニャンちゅう 素敵な うちらだって問題だらけ"って箇所で。一般的な倒置だと"問題だらけのうちら"にすると思うんですけど、あえて"素敵な うちらだって問題だらけ"にしていて。"問題だらけ"のほうが強いからこそ、"素敵な"がもっと響くんじゃないか? と思って。"うちら、こんなに問題だらけなんです!"って歌ってるのがすごく楽しいです(笑)。
-そんなこだわりもしっかり感じてもらいつつ、ライヴでは初めて聴いても盛り上がれる曲になったと思うので、これを機にMETAMUSEとMAPAのことをもっとたくさんの人に知ってもらいたいですよね。
大森:そうですね。またライヴ・シーンも盛り上がってきたので、ライヴに遊びに来てもらえると嬉しいですし、METAMUSEもMAPAも互いに吸収する部分が多かったと思うので、また別々に活動するようになったらどうなるか? もすごく楽しみです。
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