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INTERVIEW

Japanese

おいしくるメロンパン

2023年04月号掲載

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Member:ナカシマ(Vo/Gt) 峯岸 翔雪(Ba) 原 駿太郎(Dr)

Interviewer:石角 友香

昨年リリースの6thミニ・アルバム『cubism』を機に、開かれた作風を届け始めたおいしくるメロンパン。そのリリース・ツアーでは曲に関するMCもこれまでより増え、オーディエンスとの彼ららしいコミュニケーションを深めたうえで鳴らされる楽曲の解像度は、初期から馴染みのファン以外にも届く音楽の強さを実感させるものだった。その延長線上にある7thミニ・アルバム『answer』はさらにメロディに乗る言葉の、聴こえやすさや強い意志を感じるワーディングが目立つ。この自然な変化について、ソングライターのナカシマはもとより、バンド全体が今どんな状態にあるのか、全員インタビューで訊いてみた。

-去年のツアー("おいしくるメロンパン cubism tour -サンセット・フィルムショー-"/"おいしくるメロンパン cubism tour -トワイライト・フィルムショー-")ではMCも増え、Spotify O-EASTのファイナルには映像の演出も入ってたじゃないですか。あのツアーを経た手応えが今回の『answer』に繋がってたりしますか?

ナカシマ:そうですね。もっと外側向きにというか、世界に向かってちゃんと音楽を届けようみたいな気持ちがあのライヴでもしっかりあって。それが今までと違った僕たちの心の中の動きで、それが『answer』にも出てるなぁっていう感じがしますね。

-新旧の楽曲を織り交ぜたライヴが全然不自然じゃなかったんですけど、やってらっしゃる側としてはどうでしたか。

ナカシマ:不自然さは僕らも全然感じてなくて。最初からずっと内向きに内向きにって音楽をやってて、それを経てちゃんと今、説得力のある外向きのロックみたいなのができてるなという感覚があるんで、繋がってるイメージですね。

-ナカシマさんの中で外向きのロックっていうのは、すでに存在してるものじゃなくて、自分の中から出てくるべきものって感じだったんですか?

ナカシマ:そうなんですかね?

-内側を見つめたうえでじゃないとできないものだったんだとしたら、それは自分にしか作れないものなのかなって。

ナカシマ:そうだと思いますね。ずっと内側ばかり見てて、反動みたいな感じで外向きに行きたくなったっていうのもあるんで、最初から外向きの人と考え方自体たぶん全然違うんじゃないかなと。

-反動もそうでしょうし、外に向かえない時期っていうのもあったんですかね。

ナカシマ:最初はこういうのを表現したいって、ずっと内向きに楽しんで作ってたんですけど、どんどんがんじがらめになっていって、1回その考え方を全部やめようとちょっと外向きにやってみたら、こういうのもありかなって感じで。じゃあちょっと外向きにやってみようみたいな流れだったんです。

-とはいえストイックですよね。

ナカシマ:まぁそうですね。結局、その頃の音楽性が礎になってるんで。だから聴こえ方自体はそんなに変わってないって言われますね。

-ただ、よりフィジカルになった感じがします。

ナカシマ:そこはちょっと意識してますね。

-去年の7月配信の「マテリアル」はライヴですでに披露していましたが、早い時期にできてたんですか?

ナカシマ:去年の春ぐらいにはできてたっけね?

原:たぶん4曲目(「波打ち際のマーチ」)と同じタイミングで録ってたね。それが去年の4月、5月ぐらいな気がする。

-この曲の着想はどこから?

ナカシマ:それも外向けに音楽するってどういうことかな? ってところから始まってというか、わりと情報量少なく作ろうかな、みたいな。今まで手札で出せるカード全部出そうみたいな感じでやってたんですけど、それを絞って最初から最後まで同じようなリフとか、A→サビ、A→サビみたいなシンプルな構成を意識して作りましたね。

-展開がシンプルなぶん、歌詞が入ってきますね。

ナカシマ:あぁ、それはそうですね。結構意識してるところかもしれないです。もうちょっとちゃんと歌モノとして受け取ってもらえるようにみたいな。

-「マテリアル」の次は何ができました?

ナカシマ:歌詞を書いたのは「garuda」でしたね。

-"garuda"はインド神話に出てくる半人半鳥?

ナカシマ:そうです。この曲は結構「nazca」(2018年リリースの3rdミニ・アルバム『hameln』収録曲)と対になってるというか、続きというか。「nazca」は"変わり果てた大地を前に/翼を広げ言うのだろう"って歌ってて、「garuda」はその翼が生えなかった人の話なんですよね。それで最終的にひとりだけっていう、視点が対になってて。これ説明が難しいですよね(笑)。

-羽がある人が大半だったところで羽が生えてなかった人なんですね。それはナカシマさんの中に両面あるなと思います?

ナカシマ:そうですね。

-なるほど。90年代オルタナ的なところと異世界転生みたいな世界があるなと思いました。

ナカシマ:ははは(笑)。

峯岸:異世界転生感ちょっとわかるかもしれないですね。

-アレンジ的にはやりやすかったですか?

峯岸:やっとピックで弾けたんですよね。ピックで曲を弾きたいなって思ってたらこれがあがってきて、"これだ"と。あのイントロは絶対ピックでしょうっつって、ピックを買って。アコギ始めて最初に買ったピックを十何年ぶりに買いましたね。愚直に俺の思うピック弾きをしてやるぜっていう感じでやってます(笑)。

-逆に珍しい。峯岸さんは動くベース・ラインが特徴なので。

峯岸:そうですね。だからもうほぼほぼルートを追ってっていう感じです。

原:アレンジは僕的にはやりやすめだったというか。毎度ミニ・アルバムに変拍子の曲が1曲入ってたりするんです。『cubism』だったら「灰羽」とか。この曲の雰囲気はその変拍子の曲、「nazca」とかの雰囲気がありつつ、メロディはすごくポップだなと思ってて。サビとかも明るくて、ストレートな感じでいっても良さそうな感じでやりやすかったです。

-先ほど「マテリアル」とわりと近い時期に書かれていたと言ってた「波打ち際のマーチ」の曲の着想はどんなところですか?

ナカシマ:メロディとギターのコードが一緒に思いついて。それでイメージがわりと固まってたのと、夕焼けの海の情景みたいなものが一緒に出てきて、そのままそのイメージに沿って書いてったって感じだったんで、ぼんやりと最初から"こうかな"ってのがありましたね。

-リズムが特徴的な曲ですね。

峯岸:マーチっつったらこうだろう、と。個人的に2Aの展開とか好きですよ。

-情景みたいなものの共有はあるんですか? それともそれぞれでやっていく?

原:それぞれになりがちですね。各々イメージして、ただあまりにも相違があったら、例えばフレーズとかで"ちょっとその雰囲気じゃないんだよね"というのがあったら修正するみたいな感じです。