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INTERVIEW

Japanese

GOOD ON THE REEL

2022年10月号掲載

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Member:千野 隆尋(Vo) 岡﨑 広平(Gt) 宇佐美 友啓(Ba) 高橋 誠(Dr)

Interviewer:蜂須賀 ちなみ

GOOD ON THE REELが5thオリジナル・フル・アルバム『P.S. モノローグ』を完成させた。伊丸岡亮太は休養中で不在というこれまでにない状況で制作された今作には、TVアニメ"エスタブライフ グレイトエスケープ"のエンディング・テーマでGOOD ON THE REEL史上最も壮大なバラード「0」やWEAVERの杉本雄治氏が参加した「同じ空の下で」、"作曲:宇佐美友啓、プログラミング:岡﨑広平"という初の座組による「ファンファーレ」など10曲を収録。様々なトライをしつつ、それらを飛び道具ではなく、新たな王道として取り入れることで可能性を広げるバンドのリアルが刻まれている。

-このインタビューはリリース日当日に行っていますが、今日はどんな気持ちで過ごしていたんですか?

宇佐美:今って配信が主流になりつつあるじゃないですか。これまではお店(CDショップ)回りをしたりもしてたんですが、コロナ禍ということもあって、今はお店にもお邪魔しづらいので、意外とあっさりしていますね。

千野:そうだね。前まではリリース日や入荷日にいろいろなお店を回って、作ってもらったコーナーを見て"わぁ、リリースしたなぁ!"と実感していたんですけど、今は"あ、今日か"ってエゴサするみたいな(笑)。ただ、嬉しいことには変わりないですよね。やっと聴いてもらえるって。

高橋:うん。そうだね。

-みなさんからしたら完成してから少し時間が経っていますしね。『P.S. モノローグ』、どんなアルバムになったと感じていますか?

高橋:今までの僕らの曲ってちょっと長めだったんですよ。だけど今回は短い曲もあるし、10曲入りということで曲数もちょっと少なめで、収録時間が短くて。且つ、バラエティに富んだ楽曲なので、気づいたら1周聴き終わっているような感じがあると思います。だけど頭に残るし、中毒性があって、何度も聴きたくなるアルバムになりましたね。

-リズム・アプローチも様々なアルバムですよね。

高橋:そうですね。今回今までにないドラムのパターンも結構入っているので、かなり面白い内容になっているんじゃないかと思います。

-ちなみに、曲を短くしたのは意図的に?

千野:意図的に短くした曲もあります。イベントとかに出ると"俺らの曲ってなげーな"って気づくというか。例えば各バンドの持ち時間が30分のイベントに出たとして、ステージ裏とかに貼ってある他のバンドのセットリストを見て"こんなにたくさん曲やるんだ!"と思うことがあるんですよ。中には30分で10曲やるようなバンドもいるんですけど、俺ら、30分じゃ5曲が限界だぞって(笑)。

岡﨑&宇佐美&高橋:(笑)

千野:そういう気持ちが心のどこかにあったのかもしれないですね。あとは単純に、大人になってきたのかなと。"いっぱい入れたい!"じゃなくて、"この楽曲ではこういうことを表現しよう"と考えるなかで短くなっていたというか。短いなかでギュッと表現したほうが曲がより濃くなることに気づけたというのもあるかもしれないです。

-なるほど。千野さんは、どんなアルバムになったと思っていますか?

千野:僕も、何度も聴きたくなるアルバムだなと思っています。今回、広平が作詞した曲が結構入っているんですよ。

-10曲中4曲が岡﨑さん作詞の曲。ここまで多いのは初めてですね。

千野:はい。広平は作詞以外にも、アレンジを考えるとか、いろいろなところですごく頑張ってくれました。今回の功労賞です。今までのアルバムでは主に僕と伊丸岡(Gt)が世界観を作っていて、その中に広平の楽曲がスパイスとして入っていたんですけど、そのスパイスがメインになってできたアルバムなわけだから......今までとはひと味違ったアルバムになるのは必然ですよね。"P.S. モノローグ"というタイトルは、広平の書いた歌詞からアルバムの主体となるメッセージを汲み取って、俺が付けたものです。このアルバムがまた世界を広げてくれたなと思っているし、先の可能性が見えるアルバムになったと思っています。

-千野さん作詞の曲と岡﨑さん作詞の曲、言葉選びはもちろん違うけど、テーマになっていることはわりと近いですよね。

千野:そうですね。言葉は違えど、テーマはわりと似た感じのところを通っている気がします。"こういう曲を書こう"って話し合ったわけじゃないですけど、たぶん、同じバンドで、置かれている現状が一緒だから、気持ち的に共通する部分がすごくあったんじゃないかな?

岡﨑:そうだね。シェアできている部分があるんだと思います。

-今回岡﨑さんが大活躍したのは、伊丸岡さんがお休み中で、4人でアルバムを完成させなければならないという状況によるところも大きいですか?

岡﨑:きっかけとしては大きかったですね。でも、悲しい方向には行きたくなかったんです。せっかくツアーもあるし、俺たちはまだまだ曲を作りたいし、アルバムを出せる状況だし、じゃあここは僕が舵を取らなきゃなと。できる限りのことはやろうという気持ちが僕の中ではありました。制作中、腕ずっと痛かったですもん。

千野:いつもの倍、レコーディングしたからね。

-本当にお疲れ様でした。では、岡﨑さんは、どんなアルバムになったなと感じていますか?

岡﨑:個人的に大好きなアルバムになりました。千野ちゃんも言っていた通り、今までのGOOD ON THE REELとはひと味違うアルバムになったと思っているし、"変化"について歌っている曲が数曲あるので、もしかしたら昔からのファンが聴いたら"なんかちょっと変わったな"と感じるかもしれないと思っています。それをいいと感じるか、悪いと感じるかは聴いた人の受け取り方次第でいいと思うんですけど、俺自身はこの変化がとても刺激的で、面白くて。大好きな1枚になったなと思っています。

-ひと言目に"大好きなアルバムです"という言葉が出てくるのが素敵ですね。宇佐美さんはいかがですか?

宇佐美:僕も大好きなアルバムになりました(笑)。最近の僕らのレコーディングは、前もってイメージを固めたものを清書していくような感じだったんですけど、今回はレコーディング中みんなでいろいろなことを試したので、録りながら曲がかなり変化していって。その作り方はすごく楽しかったし、ワクワクしたし、聴いた人にもこのワクワクが伝わったら嬉しいなと思っています。

-みなさんがおっしゃったように、私もこのアルバムからは新しさを感じました。まず1曲目の「WonderWant」がかなりハードなので、そこで早速意外性を感じて。

千野:そうですよね。

-だけど中身はフレッシュなのに、"変化しなきゃ"とか"新しいことをやらなきゃ"、"バリエーション豊かなアルバムにしなきゃ"という気持ちに突き動かされるようにして生まれたアルバムではないように感じました。温度感としてはあくまでナチュラルというか。

千野:たしかに、僕らの中に"どんどん変わっていってやろう"みたいな気持ちがあったわけではないし、変化を求めて作ったアルバムでなくて。

岡﨑:そのとき自分が刺激を受けていたもの、自分の中でホットなものを出しているだけというか。

千野:"これ面白いじゃん"、"めっちゃいい曲じゃん"と思うものを出していって、いざアルバムが完成したら、"変化"という言葉が似合うようなアルバムになったから、自分たち自身、GOOD ON THE REELのこれからがより楽しみになったという感覚ですね。「WonderWant」もかなり斬新な楽曲に聴こえると思うんですけど、実は広平が2~3年前にデモを出していた曲なんですよ。なので、"いろいろな種類の曲を作ろう"と思いながら取り掛かったというよりかは、もともとうちにあったデモを形にしていったら、結果的に振れ幅が広くなったという感じで。そういう意味では「0」という僕ら史上最も壮大な楽曲が先にできていたのも大きかったかもしれないですね。あの曲があったからこそ、いろいろやれたというか。

-たしかに、ラストの「0」がすべてをまとめてくれている感じがします。これだけ曲が粒揃いだと、リード曲を決めるのも大変だったのでは?

岡﨑:どの曲がリードになってもおかしくないようなアルバムになりましたよね。スタッフの意見も合わせると、リード曲の候補は6曲くらいありました。

-最終的に「ナツメロ」に決まった理由は?

岡﨑:8月リリースだし、「ナツメロ」かな? と(笑)。

千野:あと、さっきも言いましたけど今回の功労賞は広平だと思っているので、僕らとしては、広平が"絶対「ナツメロ」がいい!"と言っていたから、それはもう、「ナツメロ」にしましょう! と(笑)。

岡﨑:あはははは!

千野:それに、みんな好きな曲ですからね。

-「ナツメロ」はバンドの歌うバンドの歌として解釈できそうですよね。

岡﨑:実は、高校の頃に組んでいたバンドのことや友達のことを思い出しながら書いた曲なんですよ。だからGOOD ON THE REELの現状を歌っているわけではないんですけど、そう捉えてもらってもいいかなと思います。そこは受け取り方次第なので。