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INTERVIEW

Japanese

AYUKA

2022年04月号掲載

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"夢を叶えたい人"と"夢を応援したい人"にスポットを当てて、夢へのチャンスを提供する新人アーティストの応援コンテスト"GAMUSYALIVE ‐SAVE THE LIVE‐"が、3月1日に渋谷duo MUSIC EXCHANGEで行われた。当日は6組のバンドやシンガーが無観客の配信ライヴを実施し、視聴者による"投げYell"の集計によってランキングが発表された。Skream!では、このイベントで1位に輝いた女性シンガーのAYUKAにインタビューを実施。二人三脚で楽曲制作を行っている鈴木 啓(HIGH BONE MUSCLE)にも参加してもらい、ライヴハウス・シーンとネット・カルチャーを股に掛け、"界隈"の壁を越えるシンガー、AYUKAの魅力をひもといた。

AYUKA
HIGH BONE MUSCLE:鈴木 啓(Vo/Gt)
インタビュアー:秦 理絵

-まずは"GAMUSYALIVE ‐SAVE THE LIVE‐"の"投げYell"1位、おめでとうございます。

AYUKA:ありがとうございます!

-受賞の瞬間はかなりびっくりしているように見えましたが......?

AYUKA:びっくりしてました(笑)。1位をとれるとは思ってなかったから、今になって少しずつ実感が湧いてきてるんです。審査員がいるわけではないので、本当にみんながタップで投票を頑張ってくれたおかげだと思ってます。

-今回、どういった経緯で"GAMUSYALIVE ‐SAVE THE LIVE‐"に応募しようと思ったんですか?

AYUKA:知り合いの方に教えてもらったからですね。渋谷のduo(duo MUSIC EXCHANGE)っていう大きいステージで歌えるチャンスがあるよって。今の自分の知名度で立てるステージではないので、ここはチャレンジしてみようと思って応募しました。

-応募したからには絶対に優勝するぞ! という意気込みでしたか?

AYUKA:全然! 当日まで怯えていました(笑)。一緒に出演されていたバンドさんが実力のある人たちだったので、少しでも食らいつかなきゃっていう感じでしたね。

-duoには、お客さんとしてライヴを観に行ったことはあるんですか?

AYUKA:いや、なかったです。出身が静岡なんですけど、東京に出てきてからまだ1年経ってないくらいなので。もともとライヴを観に行くのはすごく好きで、よく行ってたのは名古屋とか静岡のライヴハウスでしたね。関東に来るときはフェスを観に行く感じでした。

-どういったフェスを観に行くんですか?

AYUKA:"COUNTDOWN JAPAN"に行ってました。夏は"ロッキン(ROCK IN JAPAN FESTIVAL)"とか。あと、"TREASURE05X"、"MERRY ROCK PARADE"っていう愛知県のフェスにはたくさん行ってました。関西と関東の間でやってるフェスに行ってる感じですね(笑)。山梨の"SWEET LOVE SHOWER"も大好きです。

-そうなんですね。そのあたりの音楽遍歴はあとで詳しく聞かせていただくので、"GAMUSYALIVE ‐SAVE THE LIVE‐"の話に戻しますね。当日の現場はどんな雰囲気でしたか?

AYUKA:楽屋は和気あいあいとしてましたね。たぶん他のバンドさん同士が知り合いだったみたいで、ワイワイしてらっしゃいました。それもあって思ったよりも緊張しなかったというか......いや、したんですよ(笑)。緊張はしたんですけど、少しは和らいだかなって。私はほぼ全員初対面だったんですけど、プロデューサーの鈴木 啓さんに紹介してもらって、少し話ができたのも良かったです。

-自分の中であの日のステージの出来栄えはどうだったんですか? 少し声の調子が悪かったとは言ってましたけど。

AYUKA:そうなんですよね。2、3日前に練習しすぎて声を潰しちゃって......。自分の中では完璧なライヴではないところがあったんです。ちょっとレベルの低い話になってしまうかもしれないんですけど、私緊張すると声が震えてしまうタイプなんです。でも、あの日は大丈夫だったんですよ。たぶん喉が痛くて、どうにか声を出そうみたいな気持ちだったから、いつもより集中して歌えたんです。

-"夢カナYell"というのは、夢を叶えたい人と夢を応援したい人を繋ぐプラットホームですけども、AYUKAさんの立場から見て、それはどういうふうに見えていますか?

AYUKA:すごくありがたいです。ご時世的に路上ライヴをやるとか、ライヴハウスに出るとか、そういう活動ができないんですね。だから日々ライヴ配信をやってるんですけど、そこから外に出る活動をしたくても、やれることが限られてるところがあるので。こういうふうにファンの方と一緒に挑戦できる場があるのはありがたいですね。

-なるほど。もし、こういうご時世じゃなければ、AYUKAさんはできるだけ生の現場で音楽を届けたいという想いが強いんですね。

AYUKA:私は現場の生音が好きでライヴハウスに通ってたところがあるんです。そういう意味では、本当はお客さんに生で観てもらいたい。私も配信ライヴをアーカイヴで観たりするし、それも便利ではあるんですけど、やっぱり現場とは違うし全部は伝わらないから。もっと有観客でたくさんやれたらいいなって思ってます。

-今回、1位になった経験を今後どんなふうに生かしていきたいと思いますか?

AYUKA:応援してくださってる方がすごく喜んでくれて、熱量が高まるきっかけになったので。その勢いを加速させられる活動ができたらいいなと思います。

-わかりました。ここからはAYUKAさんのパーソナルな部分について聞かせてください。熱心にフェスに通ってた話もありましたけど、音楽を好きになったきっかけはなんでしたか?

AYUKA:フェスとかライヴハウスに通うようになったのは、大学の先輩に連れて行ってもらうようになってからなんです。多いときだと1年に30本以上ライヴに通ってて。そのときは自分がアーティストになるとかは一切思ってなかったですね。

-特に熱中していたアーティストはいるんですか?

AYUKA:邦ロック全般が好きなんですよ。最初に行き始めたのは、ワンオク(ONE OK ROCK)がまだ小さいハコでやってたときでしたね。そこで、あ、ライヴハウス楽しい! ってなって。そこから、10-FEETとか好きになりました。

-プロフィールによると、植田真梨恵さんに憧れでギターを弾き始めたそうですね。

AYUKA:あ、そうなんです。音楽にハマり始めたときに出会ったんです。シンガー・ソングライターですけど、バンド編成でやってるライヴがかっこいいんですよ。それで、ギターも持ってないのに、植田真梨恵さんのギターの弾き語りスコアを買ったんです。それを読んで、自分でもやりたくなって、ギターを買ったんですよ。

-順番が逆だったんですね(笑)。植田さんの楽曲のどんなところが好きですか?

AYUKA:植田さんの楽曲も時期によって世界観が違うんですけど、私は初期の荒々しい感じが好きです。今は夢がテーマな曲があったり、すごく優しい歌も増えたんですけど。昔はもっと尖っていたというか。ぐっと構えないと聴けない歌詞なんですよね。

-じゃあ、最初は植田さんの曲でギターを練習したんですか?

AYUKA:はい。でも難しくて。最初に弾けるようになったのはback numberでしたね。そこから自分が好きな曲をライヴ配信するようになったんですよ。で、ちょっとずつ弾き語りらしく成立してきたところに、"オリジナル曲はないんですか?"っていうコメントが増えてきて。楽譜も読めないし、作れないからどうしよう? ってなったんですけど、楽曲を提供してもらって、オリジナル曲をリリースできるっていう大会があって。

-2020年に入賞された"BIGO LIVE"ですね。

AYUKA:そうです。そこで賞がとれたら、オリジナル曲を持てる! と思って出てみたんです。植田真梨恵さんの「Bloomin'」のカバーで応募したんですけど、そこで入賞できて、デビュー・シングル『コーディネート』(2020年4月)をリリースしたっていう流れですね。

-デビュー曲の「コーディネート」は、AYUKAさんから"こういう曲を歌いたい"っていうリクエストをして、作られた曲だったんですか?

AYUKA:そうです。曲調に関しては希望を出させてもらって、作詞に関しては、作ってくださった方と一緒に、入れたいワードとかを相談しながら作っていきましたね。

-"悔しい事も 悲しい事も/全てに意味がある"というフレーズが印象的でした。このあたりが、AYUKAさんが一番歌いたいところだったのかなと。

AYUKA:そうですね。もともと私は愛知に住んでたんですけど、すごく嫌なことがあって、1回人生をリセットしたいと思って、転職して関西で仕事をしてたんです。そこから大会で入賞できたり、いいことが起き始めたんですよね。知り合いとかが全然いないところに行きたいっていう気持ちで、誰にも言わずに移り住んだんですよ。地元の友達とかにも、今どこにいるとか言わずに勝手に消えて(笑)。それが新しい転機になったので、「コーディネート」の歌詞には、そういうのを込めてるんです。

-なるほど。この曲でプロデューサーの鈴木さんに出会ったんですか?

AYUKA:いや、この曲のときではなくて。この曲を担当してくれた音楽事務所に鈴木さんが所属してらっしゃったんです。その次の『ふたり / FUTARI』(2020年9月リリースの2ndシングル)からですね。本当は「コーディネート」を貰って、音楽活動は終わるつもりだったんですけど、「ふたり」のデモを聴いて、すごく好きになってしまったんです。事務所の方に"音楽活動に興味あるの?"っていう話もいただいて、すごく迷ったんですよ。応援してくれてる方にも"このまま音楽活動を続けるチャンスがあるんだけど、どう思いますか?"って相談をして。仕事をしてたから、"中途半端になっちゃうんじゃない?"とか意見を貰ったんですけど、最終的には「ふたり」を歌いたい! っていう気持ちが強くて、やらせてもらうことにしたんです。

-「ふたり」のどんなところが気に入ったんですか?

AYUKA:この曲を聴いて、私は同性のとある方がふわっと浮かんだんです。

-お友達?

AYUKA:あ、お姉ちゃんなんですけど(笑)。

-どうしてボヤかしたんですか(笑)?

AYUKA:恥ずかしいなと思って......今まで一緒に過ごした時間のことを思い出したんですよね。いろいろな捉え方があると思うし、みんなこれは異性の歌だと捉えてると思うんですけど、私はお姉ちゃんが浮かんだんです。私、お姉ちゃん大好きなんですよ。昔と今とは関係性が違うっていうところに共感したんです。だから、ジャケットでも女性のシルエットを描いてて。心が見えなくなってるようなデザインなんです。

-鈴木さんから見て、AYUKAさんの魅力はどんなところだと思いますか?

鈴木:もともと僕は自分のバンドもやっているなかで、事務所から"作家的な活動をやってみない?"って言われて、楽曲提供をやっていく中のひとつだったんです。最初はあんまり何も考えずに曲を書いてたんですけど、作品を重ねていくうちに、AYUKAの声の低いトーンが好きだなって思うようになって。なんて言うんだろう、かわいいというよりは、ざらっとしたロー感というか。その歌声が魅力だなと思うようになってからは、そこを大事に曲を作るようにし始めましたね。