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INTERVIEW

Japanese

夜韻-Yoin-

 

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Member:あれくん(Vo/A.Gt) 涼真(Composer/Gt) 岩村 美咲(Pf/Director)

Interviewer:稲垣 遥

今、じわじわとファンを増やしつつあるネット発の3人組ユニット、夜韻-Yoin-が2枚目のミニ・アルバム『Pandora』を発表した。メジャー1stミニ・アルバム『青く冷たく』は、1枚を通してコンセプチュアルに恋人とのすれ違いの物語を描くことにこだわった作品だったが、本作はそういったテーマは設けずに、出自がそれぞれ違うからこその3人のメンバーの個性や、"こんな曲もやっていく"というユニットの技術の高さ、多彩さを顕示したい意志を持って作り上げたという。前作リリース後に感じた気持ちから、本作収録曲、ライヴへの想い、そして今後についてまでメールで訊いた。


"夜韻-Yoin-はこんな曲も作れる!"という驚きを感じてもらいたかった


-昨年12月にリリースした前作『青く冷たく』は、夜韻-Yoin-としてまとまった作品を初めて世の中に届けたメジャー・デビュー・ミニ・アルバムでした。リリース後の反響や、手応えは感じましたか?

あれくん:『青く冷たく』をリリースしたときよりも、今回のアルバム『Pandora』のほうが多くの反響をいただいています。『Pandora』には僕たちの個性がより詰まっているので、そこの評価をいただいたことで活動のモチベーションに繋がったというか、間違ってなかったんだなって思えました。

涼真:『青く冷たく』は僕ら夜韻-Yoin-の名刺代わりのような1枚だと思います。すべての曲の物語が繋がっているというコンセプトはとても反響がありました。

美咲:盤になって初めて手渡されたとき、ここに3人の想いが詰まってるんだと感慨深いものがありました。初めてのミニ・アルバムだったので。私たちの描いた世界を音で繋ぐというストーリー性を重視したコンセプトは、とても好評でしたし、たくさんの感動の言葉をいただけたからこその手応えがありました。

-TV出演や、2月には日本工学院ミュージックカレッジのイベント("LUMiNOUS ~ココロザシ~ meets SPACE SHOWER TV")で初の有観客でのライヴも経験されて、夜韻-Yoin-での活動の幅がネットをメインとしたところから広がってきていると思いますが、そういう経験についてのみなさんの感想を聞かせてもらえますか?

あれくん:音源で聴く夜韻-Yoin-でと、ライヴに行って全身で感じる夜韻-Yoin-でどちらも好きになっていただけたらなという気持ちでこれからも活動していきたいです。

涼真:僕は現在もMAKE OWN LIFEというロック・バンドで活動しているので、有観客でのライヴはとても待ち焦がれていました。地上波デビューもさせていただき、活動当初はネット上で活動していこうという方針だったので、素直に驚いています。

美咲:ネットの中にいた夜韻-Yoin-がみなさんの前に立ち、楽曲だけではなく、人間らしいところやメンバーそれぞれの気持ちを伝えられる場面が増えるのは、とてもありがたく嬉しいことだと思っています。ライヴはやはりそのときにしか味わえない感動があるので、どんどん届けていきたいですね。

-そんななか、このたびリリースされるのが2ndミニ・アルバム『Pandora』です。前作は愛する人とのすれ違いの物語を1枚通して描いたコンセプチュアルな作品でしたが、今作も何かテーマがあって作っていったのでしょうか?

あれくん:今作は、それぞれの夜韻-Yoin-メンバーの個性が詰まったアルバムになっていて、聴いていただけたらわかるようにジャンルレスな作品に仕上がってます。そのために"Pandora"と名付けさせていただいてまして、普通のアルバムは基本的に一貫性があると思うんですが、それも聴いてみなければわからない"行動"という意味を暗示してます。

涼真:前作のように何か一貫したストーリーがあるわけではなく、僕ら夜韻-Yoin-のメンバーひとりひとりの個性を前面に押し出したアルバムになっています。SSW あれくんの甘い声。音大卒のピアニスト 岩村美咲のピアノ・プレイ。そしてロック・バンド出身の涼真のアグレッシヴなアレンジ。それぞれを夜韻-Yoin-の持つ世界観にぶつけて化学反応を起こしたいと思って制作しました。ジャンルにとらわれない楽曲を制作し、まさにパンドラの箱を開けるような感覚。僕の中ではおもちゃ箱をひっくり返すような感覚ですけどね。

美咲:今回は一曲一曲それぞれの良さを詰め込んだアルバムになっています。間違いなく新しい夜韻-Yoin-の一面が出ていると感じていて、このアルバムを言葉で表すなら"個性"。あれくん、岩村美咲、涼真それぞれのルーツとカラーを最大限に輝かせていると思っています。『青く冷たく』のときから化学反応という言葉を使わせていただいていますが、今回は力強い化学反応のような。アグレッシヴ、大人っぽさのあるサウンドに仕上がったと思います。

-先行公開された「溶けて、解けて」をまず聴いて、これまでの幻想的でどこか悲しさを纏っていた楽曲とまったく違う、キラキラとした爽やかで明るいピアノ・ロックに驚きました。この曲はあれくん以外にも涼真さんも作曲者にクレジットされていますが、どんなふうに作っていった曲でしょうか? また、この曲を先行配信曲にした理由としては何が大きかったですか?

涼真:夜韻-Yoin-が結成されるにあたって僕の家であれくんとふたりで制作した楽曲です。ふたりでコード進行やメロディを提案し合い少しずつ詰めていきました。途中お酒を飲んで配信したりしてましたけどね(笑)。実は夜韻-Yoin-で最初に完成したのがこの「溶けて、解けて」なんです。夜韻-Yoin-の中でもまだ世界観が定まっていない時期に制作しているので、ある意味一番素の僕らの音楽なのかもしれません。前作の1stミニ・アルバム『青く冷たく』を、物語に沿ったストーリーで展開していくことが決まり、なかなかリリースするタイミングがなく、今回のアルバムに収録することを決めました。先行配信にした理由としては、この個性のぶつかり合いと調和が、2ndミニ・アルバム『Pandora』のプロジェクトのスタートにぴったりだと思ったからです。

-結果的に、配信と同時に公開したMVは7月下旬現在すでに80万回再生されていて、コメントでも高評価ですが、前作でコンセプチュアルなものを打ち出しただけに、これだけ違う方向に振り切るのは、リスナーの期待に沿えるかどうかという懸念もあったのではないかと思いましたけど、いかがでしたか?

あれくん:僕はあくまでも心から出てくるものを音楽に昇華して作り、それに共感性を持たせたり、寄り添えるような楽曲を聴き手に提供したりするという考えで音楽活動をしています。こんな音楽が聴きたいだろうな、というより、僕たちの思い(音楽)がより良い形で届けばいいなという心持ちです。

涼真:前作からの大きな方向転換は僕らにとって不安よりも期待のほうが大きかったです。こんな夜韻-Yoin-も見せてみたい。そういう好奇心の部分もあったかもしれません。もっとたくさんの人に聴いてもらいたいですね。

美咲:不安よりは、"夜韻-Yoin-はこんな曲も作れる!"という驚きを感じてもらいたかった気持ちのほうが大きかったです。これだけ明るくて涼真君のカラーが前面に出ているアレンジの中に私のいつもよりロックなピアノ、だけど、聴いてみると切なすぎるあれくんの歌詞。サウンドは新しいけど、どこか夜韻-Yoin-らしい。3人の幅はもっと広げられるような気がしています。

-歌詞としては、"このまま隠して/さよならも告げないまま"、"分かってたんだ/これからの展開、バッドエンドのさ/運命に選ばれてしまったってこと"と、公には認められない、そして叶わない恋の歌になっているように感じますが、それをあえて今回はポジティヴな音に乗せたかったんですか?

あれくん:これは、涼真君なりの考えがあって、それを3人で相談し合ってこういうふうに落とし込んだ楽曲に仕上げました。

涼真:悲しい歌詞に明るいサウンドを交ぜるっていうのが個人的にすごく好きで、どこか背中を押してくれるようなイメージがあるんです。僕はL'Arc~en~Cielの大ファンなのですが、ラルク(L'Arc~en~Ciel)の楽曲にもめちゃめちゃポップなのに、歌詞はとても悲しくなっている曲がいくつかあっていいなって思っていました。悲しくたってつらくたってゆっくりと前に進みたい。そんな想いを抱えている人の背中を、僕らの音楽で押してあげられたらなと思いこのアレンジにしました。

-今作の収録曲は、ドラムやベースも含めて全部打ち込みというわけではなく、生バンドでの演奏が増えていますよね? それはライヴを経験したことが大きかったんでしょうか?

あれくん:今作というか、『青く冷たく』のときからわりと生感は意識していました。それも、すべてライヴへの繋がりを意図していたかもしれません。

涼真:それもあると思います。僕ら夜韻-Yoin-がライヴを意識し出して、ライヴで盛り上がる曲も作りたいという想いが、今回のアグレッシヴなサウンドを生んだのだと思います。大きな舞台で今回の楽曲たちを演奏したときにどんな感情になるのか自分でも楽しみです。

美咲:ライヴを経験したからこそ、私たちのステージングがイメージしやすくなったのはありますね。"ライヴ映えする楽曲"だけを意識して作ったわけではないですが、あれくんの作った曲があがってくるときに、ライヴで演奏する自分を思い浮かべてアプローチを考えるのは前より増えたと思います。