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INTERVIEW

Japanese

LONGMAN

2021年06月号掲載

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Member:さわ(Ba/Vo) ひらい(Gt/Vo) ほりほり(Dr)

Interviewer:吉羽 さおり

ライヴでお客さんが声を出せないから、シンガロングが恋しくなっちゃった


-「Hello Youth」は、ドラマ"ゆるキャン△2"のオープニング主題歌で。シーズン1での主題歌「Replay」(『Just A Boy』収録曲)に続いての曲にもなります。前回の「Replay」は、どこか失われていくものへの切なさや寂しさもあるような曲でもありましたが、今回の「Hello Youth」はちょっと違った青春時代の描き方ですね。

ひらい:今回はオープニングとなる主題歌ですし、明るくスタートしたいというか。とはいえ、これは書き下ろしでなく、もともとあった曲を選んでもらった感じだったんです。

さわ:うん、これが、青春感が一番あるのかなっていう。

-さわさんはどんなイメージで歌っていますか。

さわ:私は、昔は大人になんかなりたくないって思うタイプだったんですけど。今は、大人になるのも悪くないって感じているんです。この歌を歌うときは、そういう気持ちが強めに出ていると思います。ひらいさんが、「Hello Youth」は大人のための青春ソングだって言っていて、まさにその通りだなと。大人になってから、そういう青春の良さに気づくこともたくさんあって。大人の人がこの曲を聴いたときに、私のように気づく人もいるやろうし、今いわゆる青春時代を送っている学生の人が聴いても、大人になるって素敵なことだって思えるような曲になったらいいなと思っていました。

-大人だからこそ見える景色、感じる輝きもあると。

ひらい:そうですね。でも、大人とは言えども完全体ではないっていうか、まだまだ成長していきたい思いも含まれたものです。

-メジャー・デビュー・1stフル・アルバムが『Just A Boy』で少年だったり、そして、今回がYouth、青春だったり、そういったものは大事にしている部分でもあるんですかね。

ひらい:結局僕らの根幹となるものはそこなんだろうなって。好きなことをやっているうちは青春というか。音楽やっているうちは輝けていると思うので。

ほりほり:バンド的にカリスマ性があってというよりも、音楽を全力で楽しんでいたり、演奏をしていたりする姿が、素敵だなって思ってもらえるようなバンドでいたいなと考えていて。そういう青春をしている感じは、大事にしている部分なんじゃないかな。

-「Turning Away」のようなアグレッシヴなマイナー調の曲で、趣味的な部分を全開にした曲もあれば、「HUG」はさわさんの透明感のあるまっすぐなヴォーカルだからこそ、グッド・メロディが映える曲ですね。

ひらい:これの歌い方については結構頑張ってもらいましたね。元気すぎず、悲しすぎずという絶妙なところを狙って歌ってもらいました。

さわ:難しかったですね。この曲だけ、ヴォーカルのレコーディングを1ヶ月くらいずらしてもらっているんです。最初レコーディングに臨んだとき、私の中でのイメージと、ひらいさんが思い描くイメージとの違いがあって、なんとかひらいさんのイメージに近づけていこうという感じになって。曲が完成してみて、これで良かったなってなりました。

ほりほり:もともと、もうちょっと元気なヴォーカルだったんですよね。

-それだけひらいさんの中でこの歌のイメージっていうのがはっきりしていたんですね。

ひらい:そうですね。メロディも歌詞もそうですけど、この曲はシンプルなだけにうまいことやらないとコケそうな気がしていたんです。

さわ:曲はシンプルだけど、ほりほりのドラムは無茶苦茶頑張っているよね。

ひらい:コード進行がめっちゃシンプルなので、そのぶんドラムにいろいろと頑張ってもらっていて。曲が立体的になったのはドラムのおかげですね。

ほりほり:これはすごく練習しましたね。

さわ:結果的に、何周聴いても飽きない曲になっているなって感じる。すべてのバランスが最高な曲だなって、自分でも思います(笑)。

-こういうシンプルでありつつ印象的に聴かせる曲っていうのも、今回の制作のようないろんなことを試せた時期だからこそのものですか。

ひらい:そうですね、ドラムも細かく作り込めた曲だし。今までLONGMANがやってきたことともちょっと違った系統の曲で。こんなふうに時間がなかったらできてないと思いますね。

さわ:DTMでやっていなかったら、完成してないんじゃないかな。

-丁寧に構築していったからこそなんですね。「PAINT IT!」などは逆に曲の構成や展開が凝った曲で。冒頭の跳ねたビートから始まって、リズムの遊びの妙があるのも、曲作りでいろいろ試す面白さがあったんだなと感じます。

ひらい:その頭の部分が、実際にやってみるとめっちゃむずくて(笑)。跳ねたビートから普通の8ビートになっていくのが難しいですね。ほりほり、ようできるなっていう。

ほりほり:そこはまぁ、才能かな。たしかにこの曲は小技が多い。「Turning Away」なんかも途中で8分の7拍子が入っていたりするけど。今までLONGMANになかった、ちょっとプロ・ミュージシャンっぽいところがあるっていうか。

さわ:はははは(笑)。

ひらい:一応プロやで(笑)。

ほりほり:メジャーに行って成長しているなっていうのが出てる。

-男女ヴォーカルやコーラスも多彩ですよね。

ひらい:DTMで作るまでは、僕、8トラックのMTRで作っていたんです。8トラックしかないから、いろいろ入れてみようとなると何かを消さないかんかったんですけど。今はコーラスも無限に重ねられるから、楽しいんですよね(笑)。バンドマンみんなやってほしい。

ほりほり:だいたいやってると思うよ(笑)。

ひらい:俺だけか。MTRでやってたの。

ほりほり:逆にみんな"もうMTRやめたらいいのに"って感じてたと思うよ。

ひらい:言ってよ~。

さわ:DTM始めたばっかりの頃、ひらいさん"早くやっておけばよかったことランキング1位やわ"って言ってたしね。

ひらい:なんでこれまで誰も言ってくれなかったんやろう。

-(笑)そして、ラストにくるのが「Makes You Rock」。今回のアルバムの中では最後に作った曲ということですね。

ひらい:ここまでが、構成としてはシンプルなものが多かったので、ちょっと面白い感じの曲──縦ノリだったりラップだったり、声の重ね合いだったり、面白い曲が1曲欲しいなっていうので最後に作った曲ですね。

-ダイナミックな高揚感のあるサウンドの中で、さわさんのラップ・パートがいい味を出してます。

さわ:これまでもなんちゃってラップみたいなのはやっていたんですけど。

ひらい:"ラップ風"はやっていたんです。でも、こういうしっかりとしたラップはやっていなくて、歌詞はめっちゃ苦労しましたね。この3行を書くのに、めちゃめちゃ時間がかかって。世のラッパーをリスペクトしました。しかも、ラッパーの人たちってそれを即興でやったりもするって、すげぇなって。どう書けばいいのか、ヒップホップの歌詞っていうのもいろいろ調べてました。

さわ:ひらいさんから、"これどう?"って来るんですけど、"ここの言葉の聞こえ方が微妙やわ"とか、そういうやりとりが結構あった。

ひらい:ただ韻を踏めばいいわけでもないんですよね。安直にやっちゃうと、ダサくなるので。ラッパーすげぇって。

さわ:私も最初どういうふうに歌ったらいいかわからなかったので、こんな感じでっていう参考曲をひらいさんにいくつか聴かせてもらいました。

ひらい:chelmicoとかね。ちょっと脱力感があるイメージで。

さわ:だから、レコーディングのときも、ふにゃふにゃしながら歌ってました(笑)。

-(笑)

ひらい:もともとそのラップ部分のビートは電子ドラムにしていたんですけど、やっぱりLONGMANっぽさとケンカするなっていうことで、レコーディングでは同じような感じでほりほりにドラムを叩いてもらったりもしています。

-アルバムをまとめ上げるスケール感があり、遊びあり華やかさもありという曲ですが、ここで描かれるロック・スターのイメージというのは。

ひらい:これは、QUEENの伝記映画"ボヘミアン・ラプソディ"を観ていたのが、潜在的にあったんでしょうね。あの最後のライヴのシーンが圧巻で。ロックをしているものとして憧れのシーンだったから。妄想ではありますけど、この曲で再現したかったんです。あとはこのご時世、ライヴでお客さんが声を出せないから、シンガロングが恋しくなっちゃったんですよね。だから、コロナが落ち着いたらみんなで一緒に歌える曲が欲しいなと思って、シンガロング要素も入れて。最後に歓声のSEまで入れちゃったりして(笑)。コロナが落ち着いたら、そこも含めてライヴでやりたいですね。

ほりほり:そこまで完コピするっていう。

-充実した制作だったことが、それぞれの曲から窺えます。

ほりほり:楽しんでいましたね。コロナ期間で暗かったかって言われたら僕らは意外とそうでもなくて、いろんな思いをプラスに変えてやってました。

-今作の早期予約特典に、LONGMANの結成から現在までをメンバーが描いた、4コマ漫画"紆余曲折!LONGMAN物語第1巻"がありますが、これはバンドのオフィシャルのWEBサイトでも連載されているものですよね。LONGMANのバイオグラフィとしても面白いなと思うのですが、この4コマ漫画はなぜ始めたんですか?

ひらい:あれはコロナ禍でライヴもできないし、なかなか発信することができなくて。でも、エンターテイメントをやっている身としては何か発信したいなっていうのがあって、思いついたものです。

ほりほり:自分らしかやったことないことをやりたいんですよね。4コマ漫画っていうのは他におらんのかなと。 ひらい:たぶんいない(笑)。

ほりほり:それもただの4コマじゃなく、ひらいさんはバンドの裏側を見せるっていうのがやりたかったようで。

ひらい:そこもエンターテイメントとしてね。こんなことがあったなって振り返ると、本当にいろんなことがあって、いろんな人にお世話になったなって思いながら書いていて。ただ、もうちょっと流行ると思っていたんですけどね(笑)。

ほりほり:大丈夫、流行ってる流行ってる。

さわ:エゴサーチしたら、この漫画から知ったっていう人もおったから。今回の単行本では、また2巻目も出せたらなという気持ちも込めて、第1巻にしているので。ライヴがない時間にもLONGMANに出会ってくれる人たちがいるから、そういう人たちに、LONGMANを知るいい機会として、読んでもらえたらいいなって思いながら続けています。