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INTERVIEW

Japanese

Non Stop Rabbit

2020年12月号掲載

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Member:矢野 晴人(Vo/Ba) 田口 達也(Gt/Cho) 太我(Dr)

Interviewer:秦 理絵

-メジャー・デビューすることが決まってから、曲作りのやり方が変わったりはしましたか?

田口:変わらないですね。ただ、意識することは変わったっていうか。今までだったら、10人いたら3人に激ハマりしてほしい、めちゃくちゃディープにハマってもらいたいっていう意識で作ったんですけど。今回は7人に普通にハマってもらうっていうか。

-うーん......それって広く浅くという感覚ですか? ずっと応援しているリスナーからしたら、ちょっと物足りなく感じそうな考え方ですけど。

田口:あ、いや、3人が激ハマりする曲と、7人に普通にハマってもらいたい曲を交ぜた感じって言ったほうがいいのかな。例えば、「音の祭」みたいな曲は、俺らを知ってる人からしたら、"言いたいこと言ってるな"みたいに感じてもらえるコアな曲だと思うんですよ。で、それに加えて、"俺らはメジャー・デビューしますよ"っていう意識も込めて、"こんなにキャッチーなメロディがあったのか"って思わせるような曲を入れたかった。要するに、7人が絶対にいいって思ってくれるようなクオリティの曲を作りたかったっていうことですね。メジャーに行くってそういうことだと思うんです。

-よりバンドの間口を広げるような普遍的な曲が必要だと考えたんですね。

田口:そういうことです。

-他に10分の3曲を目指した曲というと、例えば......。

田口:「BIRD WITHOUT」とか。

-バンドのストーリーがテーマの曲ですね。で、10分の7に届ける曲にあたるのが、「最後のキス」みたいな王道のバラード?

田口:そう。あとは「偏見じゃん」とか「明るい歌」かな。

-レコーディングはどうでしたか? 振り返ってみて、順調に進んだのか、行き詰まってしまうような瞬間があったのか。

矢野:僕は考えることは多かったですね。今回、いろいろな曲があるから、それに対して、どういう声色が合うのかっていうのをすごく考えたんです。

田口:ヴォーカルはすごい録り直したよね。エンジニアが半ギレだったよ(笑)。ワンフレーズ、200回歌うとかやってたから。

-そんなに!?

矢野:200回は言いすぎ......。

田口:いやいや、テイク170とかいってたじゃん!

矢野:まぁ、いったか。

田口:"なんか違う、なんか違う"って、ひとりだけ悩んでて。

-どの曲が大変だったんですか?

田口:「最後のキス」とかめっちゃやってたよね?

矢野:そうだね。バラードって難しいじゃないですか。静かなぶん、声の隅々まで聞こえるから。

-そんな矢野さんが"これで納得した"思えるのは、どういうテイクなんですか?

矢野:あー.........。

田口:俺らが我に返してあげてるだけじゃない? 俺が"絶対今のが良かった"と思っても、黙ってると、ハル(矢野)は何回も歌い続けるんですよ。そこから10回歌い終わったぐらいで1回止めて、"10個前、聴いてみ"って言うと、"これいいね"って言うので(笑)。

矢野:やりすぎて自分でもバグってる部分はありますね(笑)。

-それはメジャー・デビュー作で気合が入ったからバグったのか、毎回そうなのか?

矢野:わりと毎回そうですね。ちょっとでも気になった部分があったら、僕はそのあと一生気になっちゃうから。今回はそういうのを残したくなかったんです。

-個人的には「音の祭」のハイトーンに矢野さんの進化を感じました。音域がぐっと広がったなと。

田口:あれ、デモでは裏声だったんですよ。

矢野:この曲は地声でやったほうがいいと思って、レコーディングの一発であれば、ライヴでは出なくてもいいやっていうぐらいの思い切りで出しました。

田口:やってれば、ライヴでも出るようになるしね。

-太我さんは、今回のレコーディングを振り返ってみてどうですか?

太我:ドラムは結構行き詰まったんですよ。「愛のPULSE」が大変でした。最終的なミックスの作業のおかげで、そんなにドラムの音が前に出てないですけど。テンポ的にも速くも遅くもないなかで、手数を増やさずに大人っぽい感じを出すフレーズで迷ってて。

-どうやって打開したんですか?

太我:ドラムテックの方に相談したんです。その人はUVERworldのドラムテックもやってるんですけど。大人のドラムを教えてもらった感じです。

矢野:ダンディーさをね。

田口:そのアドバイスが面白かったよね、(お腹を指さして)"ここで叩け"とか。座り位置を変えろとか、スティックを後ろに引けとか。"それがおじさんだから!"って。

太我:よくわからない部分もありましたけど(笑)。ドラムはどんどん成長してます。

-「愛のPULSE」もそうですけど、「TABOO」とか「ハニートラップ」みたいなダンス・トラックが増えたぶん、ドラマーは成長せざるを得ない部分もあるんでしょうし。

太我:そうなんですよ。特に『爆誕 -BAKUTAN-』の曲は、もともと自分が持ってるフレーズじゃないフレーズというか。正直、苦手なフレーズも入ってるから、ライヴの前にもう1回自分で解釈しないと叩けないと思います。それも、最初はめちゃめちゃキツかったけど、曲にハマったときは、すごくいいなって感じますね。

-今話したような、いわゆるダンス・ヴォーカル・グルーブがやるようなナンバーは、前作『細胞分裂』あたりから増えてきましたね。

田口:強く出るようになりましたよね。結局、クラブを意識した曲はライヴで化けるんですよ。それは「アンリズミックアンチ」(『自力本願』収録曲)で掴んだ手応えだったんですけど。"ウルトラ(ULTRA JAPAN)"(※日本最大級のクラブ・フェス)みたいな場所に人が集まることって、理由があるんだなと思いました。そういうのって、もともとは僕らが一番苦手なカルチャーだったんです。でも今は四つ打ちの気持ち良さに気づいた。しっかりキックが鳴って、ベースが支えることで、不思議と人はハイになる。そこに自分らが得意とするJ-POPのメロディを乗せたら、うまくハマっていったんです。

-もはや"ロック・バンドがダンサブルな要素を取り入れてます"っていうレベルじゃなくて、最初からシンセも全面に使って、J-POPであることを狙いにいってますもんね。

田口:最近は自分の楽器にこだわりがなくなりましたしね。"ギターを前に出したい!"みたいなのがなくなって。ギターはただコードを弾いてるだけ、みたいな。

矢野:大人になったよね。

田口:周りを立てるようになりました(笑)。

-最初に取材をしたころには、"ノンラビは歌が大事なバンド"って言ってましたけど、そのあたりに変化はありますか?

田口:それは変わらないですね。『爆誕 -BAKUTAN-』も、"何に時間をかけたか?"って言ったら、やっぱり歌なんです。ただ、ソロとかイントロも、全部"歌"っていう認識になってきてるかな。前に立ってて、人が口ずさめる部分が全部"歌化"してきたというか。

太我:YUIの「CHE.R.RY」のイントロとか歌えるもんね。

田口:そうそう。曲の中で何をメロディとして受け取ってほしいか? って主人公を際立たせるようになってるなと思います。