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INTERVIEW

Japanese

ヤなことそっとミュート

2020年11月号掲載

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Member:なでしこ 間宮まに 南一花

Interviewer:宮﨑 大樹

今年2020年3月にシングル『Afterglow / beyond the blue.』でメジャー・デビューを果たした4人組アイドル・ユニット"ヤナミュー"こと"ヤなことそっとミュート"。そのメジャー・デビューは、予定されていた"AFTERGLOW TOUR 2020"がコロナ禍によって中止になるなど、悔しいことに水を差されてしまった部分が少なからずあった。未曾有の危機によりこれまで以上に"ヤなこと"だらけになってしまった世界に対して、彼女たちが提示するのがメジャー2ndシングル『フィラメント』だ。人との繋がりの温かさを感じる表題曲、この空気を吹き飛ばすようなパワーを持つカップリング曲について、なでしこ、間宮まに、南一花に話を訊いた(※凛つかさは学業のためお休み)。


私たちがみんなの"ヤなこと"をミュートする方法って、やっぱり音楽しかない


前回Skream!でインタビューしたのが3月にリリースしたメジャー・デビュー・シングル『Afterglow / beyond the blue.』のタイミングだったのですが(※インタビューは2020年4月号掲載)、あれから世界がガラッと変わりましたね。この半年間どう過ごしていましたか? なでしこさんは梅酒を作っていたようですけど。

なでしこ:見てくださったんですか(笑)。自粛期間が始まって、ひとりひとりツイキャスとかインスタライブで配信をするようになったんですけど、私は未だにトークへの苦手意識があって......。話すことは好きではあるんですけど、得意ではないんですよね。だからこそ、どうしたら楽しんでもらえるかなっていうのを考えた結果、"普通にトークをするんじゃなく、企画で勝負だ"と。そう思って、本棚を作る企画をやったり、石鹸を作る配信をやったりしました。

-いろいろと試行錯誤していたんですね。

なでしこ:ひとりの時間があんなにたくさんできたのは久しぶりだったので、ヤナミュー(ヤなことそっとミュート)の活動としても、私生活での自分としての成長にも繋げたいなと思っていて。部屋の掃除をしっかりやったり、勉強配信をして漢字の勉強をしたりしていましたね。あとは、自粛期間が明けたときにパフォーマンスが衰えてしまっていたら、お客さんががっかりしてしまうと思うので、前よりパワーアップしていないといけないと感じていました。なので、ライヴ再開までは今まで以上に筋トレとかストレッチとかを家でたくさんするようにして。

-自粛期間中も先を見て準備をしていたと。

なでしこ:その結果があったからか、ライヴが再開したときも体力の衰えは感じなかったですし、個人的にはダンスにも成長を感じることができたのでそこはちゃんと結果が出たのかなと思って、嬉しい気持ちがありましたね。あとは、自粛期間中は間に合わなかったんですけど、ツイキャスで歌配信を個人で始めました。ライヴの数も前よりずっと少ないのもあって"歌を聴く機会がほしい"っていう声が多くて。だったら個人でやっちゃおうと。

-まにさんはどうでした?

まに:ツアーもなくなってしまいましたし、活動がストップしてしまって、自粛期間中は家で妹と筋トレとかしていました。やっぱり、お客さんがヤナミューに飽きてしまうんじゃないかとか、気持ちが離れてしまうんじゃないか、お客さんのモチベーションが下がってしまうんじゃないかっていうのを一番心配していましたね。自粛期間になってからは各自の配信だけという感じだったんですけど、配信は今まで一切やったことがなかったことなので本当に手探りで。自分で毎週ラジオ配信みたいなものをやり始めたんですけど、お客さんが少しでも飽きないように、楽しんでもらえるようにやっていたという印象が強いですね。

-ファンとの繋がりを保つというか。

まに:お客さんとの繋がりっていうのもそうですし、こちらから提供できるライヴとかが全部止まってしまったので、ヤナミューとしての定期的な動きが何かあったらいいのかなと。流れを止めたくなかったという感じですね。

-では、一花さんは?

一花:私もヤナミューの活動にかかわらず自分のできることを伸ばそうっていうのがあって、ツイキャスとかで絵を描いたり、イラレ(Adobe Illustrator)を久しぶりに触ったりする配信をやっていました。ヤナミューの活動に関することとしては、筋トレしたり、外を走ったり。最近は背を伸ばしたくて公園でひとり懸垂をしているっていう......まだ効果は出ていないんですけど(笑)。まにさんも言ってましたけど、お客さんとの繋がりをもっと身近に感じたいなと思って、Instagramでお客さんから質問を募集して答えるとか、近い距離を保つことはかなり意識をしていました。

-今までの主戦場だったライヴが遠ざかったことで、自分を見つめ直したり、アーティストとして何ができるか考えたりする時間も少なからずありましたか?

なでしこ:関係者の方からは、メインでの仕事であるライヴができなくなってしまって、落ち込んでしまった方とか、自分がなんなのかわからなくなって病んでやめてしまった方とかがいっぱいいるっていう話をすごく聞いていたんです。だけど、私はライヴができなくなった状況にダメージとかはあまりなかったですね。もちろんツアーが中止になったりして、思うようにできない悔しさはすごくあったんですけど、コロナって誰も悪くないじゃないですか? だからそこはしょうがないって割り切って"今やれることをやるしかない"みたいな気持ちでした。"悔しいけど、しょうがないでしょ"っていう感じ。気持ちが落ちて、"もうやめたい"みたいに思ったことはまったくなかったですね。むしろ"負けないぞ!"くらいの気持ちでトレーニングに取り組んでました。

一花:私は、病んでるとかそういう意味ではなく、自分を見つめ直す時間がかなり多くて。"もっと自分の気持ちに正直になろう"というか、"自分という人間はなんなのか"っていうことを見つめ直していました。自粛期間中に哲学の本とか買っちゃって......(笑)。そんな感じの日々でしたね。自分を理解しようとしたことで、自分を上手くコントロールできるようになった気はします。

まに:ライヴ再開に目途がまったく立っていなかったから、コロナが終わってももとの生活に戻ることはなくて、新しい生活様式みたいなものでやっていくしかないんじゃないかなと私は思っていて。ヤナミューの間宮まにとして以外のところでも見つめ直すというか、考えたときに......資格を取りたいと思って(笑)。

-え?

まに:でも、ヤナミュー以外になりたい職業とかはないし、やめたいとも1ミリも思っていないので、どの資格を取るか全然思いつかなくて。とりあえず秘書検定でも取ろうかなみたいに思って勉強をしようとしたら、私は秘書には向いていないなって気づいてしまって、買った参考書を20ページくらい読んでやめました(笑)。

-(笑)世界が変わったことで、ヤナミューのコンセプト(ヤなことだらけの日常をそっとミュートしても何も解決しないんだけど、とりあえずロックサウンドに切ないメロディーを乗せて歌ってみる事にする。)の重要性というか、ヤナミューの音楽への需要が高まってきたと思うんですけど、いかがですか?

まに:実際、"ヤなことだらけの日常"ってまさに今だなと思うんです。個人的に、というか私自身がものすごくマイナス思考だし、神経質だし、わりとすぐ病んでしまう部分があるんですよね。私自身ももがいている感じかもしれない......(笑)。

なでしこ:もう今の時代は正直ミュートしたとて......みたいな状況でもありますよね。

-でも、ファンの人からしたら、この時期にヤナミューの音楽を聴いて良かった、救われたっていう声も多かったんじゃないですか?

なでしこ:それはTwitterとかでもよく見ていて、やっていて良かったなと感じることはすごく多いですね。コロナの状況になってから、前よりもそういうツイートを見ることが多くなったように感じます。

-やはりそうですよね。ヤナミューという存在は、ある意味で今の時代にとてもフィットしているんじゃないかなと。

まに:私たちがみんなの"ヤなこと"をミュートする方法ってやっぱり音楽しかないので、今回シングルを出せることになって本当に良かったなと思います。徐々にライヴも再開してきましたし、音源を出すことやライヴをすることで、これからも"ヤなこと"をミュートしていきたいという気持ちです。