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INTERVIEW

Japanese

Muvidat

2020年06月号掲載

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Member:Uqui(Vo) MAH(Dr)

Interviewer:山本 祥子

今私たちができるのは、普段通りに喋ること。そして、大切な仲間と作った音楽を届けることくらいだから


-私たちは出会いと別れを繰り返して大人になっているじゃない? 年齢は横に置いておいて物語を描いてもいいし、そういう音楽もいっぱいあるけど、今回のUquiの歌詞は大人であることから逃げていないというか、今いる場所だから描けた曲だなって思う。

Uqui:良かった。信じられないけど、自分が40歳を迎えてどんな言葉が似合うのか、どんな歌詞を生み出していくのか、どんなことを歌ったらみんなは嬉しいのか、いろいろ考えたりするの。言葉や歌詞って、今までどう生きてきたかが映し出されるものだから、遠くからかっこいいことを持ってきて書くなんて無理なんだよね。そのためにもたくさん見て、聴いて、刺激を受ける。それを死ぬまで続けて、受け取ったものと自分を重ねたり、つけ足したりしながらUquiの言葉として表現していく。そこに対してはあんまり深く考えなくていいんだなと思って。過去に戻ったり、未来に行ったり、現在を踏みしめたり、あっちこっち行きながら作るのが私たちにとっての音楽で、もっと自由にビュンビュン飛び回っていくのがいいなぁと改めて感じたかも。全然書けなーいって思ったときに、結局そこに辿り着いた。

MAH:16歳でも30歳でも、俺らはいつでもなれるじゃん。一度やったことあるから。

Uqui:でも、感覚的には9歳くらいで止まってるんだよね。

MAH:あれー、小4だった?

Uqui:何かを作ろうとすると、音楽に初めて触れて演奏する楽しさを知ったところに戻りたくなるし、戻っちゃうよね。

-初期衝動とかいうけど、音楽への愛や、憧れのミュージシャンへのリスペクトが真ん中に変わらずあるから、20年経っても、"憧れのない世界はなんて退屈なんだ"(「都会の猫たち」)なわけで。

MAH:その通り。しかも、思い返すと俺の初恋は小4で、ギターを始めたのもまさしくその頃だし。9歳、10歳は見るもの聞くものすべてが俺という人間の根本を作った時期であり、ターニング・ポイントだよね。Uquiさんの小4説、わかるわー。

-世間的には厨二病とか言うけど。

Uqui:いやぁ、全然全然。

MAH:中2は大人だよ。そして、俺らはもっとガキだよ。ははははは(笑)。

-しかし、"不自由で自由に生きている" (「都会の猫たち」)って歌える小4はヤバいっしょ。

Uqui:それはちょっと年を重ねたUquiさん視線かな(笑)。でも、本当にそうだなーって思う。自由と不自由は一緒だよね。不自由だから、自由にできるし、自由だからこそ、絡まっちゃうし。ニャンコってそうじゃない?

-うん。「都会の猫たち」を聴いて我が家の猫たちを見て、深く頷いたよ。

Uqui:さっちゃんちのニャンコはとっても幸福そうだけど、外の世界を知らないじゃない? それがいい悪いじゃなくて、野良のニャンコは逆に毎日ちゃんとご飯が食べたいし、ぐっすり安心して眠りたいって思ってるかもしれないけども、どこへだって行ける。さっきの年齢の話の続きというか、18~19歳ってそういう時期だよね。みんながワッと外に出て奮闘する。でも、地元に残った人たちもまた、その土地を幸せにすることができるわけで。それぞれに役割があってみんな戦ってるんだよなーって思うよね。

-野良猫も我が家の猫も、どんな人も、何度でも、生まれ変われる。それって希望でしかないけど、もう一度生まれるためには泣き叫ばなきゃいけないんだなーとも思ったね。

MAH:うん。Muvidatは蘇りを推奨しますよ。夜寝て起きても蘇りだと思うし、湯船に潜ってすっきりして出てきても、それは蘇りだし。過去はデータとして自分の中に置いておいてもいいけど、いちいち引っ張りだす必要はないし、一秒一秒、新しい自分を更新していくっていうのを全力でおすすめします。Uquiさんはそれをたぶん感覚的にやっていて、だから、歌詞に出てくるんだと思う。蘇ることの大切さというか、"いや、過去にそんな引っ張られるなよ"っていう歌詞が多いもんね。

Uqui:過去にも、今にも、だよね。

-「Bathtub Ship」なんて星空に向けて自分で漕ぎますから、ひたすらに。

Uqui:自分が浸かった湯船のまんま宇宙に行くっていうイメージ。

MAH:クククク(笑)。小学生だねー。

Uqui:たしかに(笑)。でも、湯船に浸かっていると、ああでもない、こうでもないっていろんなことを考えちゃうじゃん。実際「都会の猫たち」は泣き叫んで生まれたんですよ。歌詞を書いているときにどうにも言葉が出てこなくなって、好きなアーティストのライヴを観たのさ。そしたら自然と"かっこいいな、こうやって年を取りたいなぁ"って想いが膨らんできて、自分が歌詞を書いていることすら忘れて彼らの音楽や演奏に没頭しちゃったの。ライヴを観ている間はとてもハッピーで、観終わったあとに歌詞に戻ったら意外なくらいスムーズに書けて"このパワーはすごい!"と思ったね。だから、歌詞を考えているとき、私は本当に何度も何度も生まれ変わってた。

-そうして完成した曲をふと口ずさんだり、ライヴで一緒に踊って騒げたりしたらお客さんもMuvidatもまた生まれ変われる。きっと違う世界へ行けるんだと思う。

Uqui:ライヴ自体とっておきな夜だし、このアルバムはライヴを想像して作ってたからね。そして、曲はライヴでバンバン成長していくから。

-とても不安定な時期ではありますが、この曲たちはいつか絶対にライヴで聴きたいです。

MAH:俺たちも聴かせたいよ。ただ、もちろん自分たちが世に発したいから作っているんだけども、待っててくれている人がいるなかでアルバムを4月29日に発表できるのは良かったよね。ライヴはできなくなっても、CDやMVでみんなにちょっとでも時間つぶしをプレゼントできるのは、ほんとに幸せだなぁって思う。

-今作は2枚組でライヴ盤もついていますから、巣ごもりさんたちにピッタリな。

MAH:全部聴いたら結構時間がかかるよー(笑)。あとはYouTubeの生配信も、そういう想いを込めてやるものだから。文明の力に感謝だな。

Uqui:ただ私たちが喋るから、ちゃんとはできないよね(笑)。昔からこんな感じでやっていますので、そのままを出せればいいのかな。この状況下で私たちができるのは普段通りに喋ること。そして、大切な仲間と作った音楽を届けることくらいだから。