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INTERVIEW

Japanese

神山羊

2020年03月号掲載

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今年はもっと多くの人に出会いたいです。そのために今の活動を始めたので


-神山さんの音楽の中にはヒップホップももちろん見えて。2ndミニ・アルバム『ゆめみるこども』(2019年10月リリース)のアートワークがKanye Westの『The College Dropout』っぽいのがツボでした。

それは嬉しいです。magma(きゃりーぱみゅぱみゅ、米津玄師らのMVなどを担当)っていうクリエイティヴ・ユニットがやってくれて。

-1st(2019年4月リリースの1stミニ・アルバム『しあわせなおとな』)と趣きがまた違ってて。

1stはスタイリッシュですよね。ある種、大人っぽいし。2ndはロックっぽいというかフィジカルですね。

-この2枚のミニ・アルバムが出た頃からはライヴ活動など、神山さんがどんどん表に出ていくようになったと思うんですが。その段階で新たなヴィジョンは出てきましたか?

出てきましたね。ボカロはライヴを前提に作らなくても良かった世界だったから、そのときの延長で楽曲を作ってると、ライヴでお客さんと楽しめるとか、そこで満足感を得られる楽曲を用意していくことができなくて。そういうのを考えるようになって、作った曲もありますね。

-ヴォーカル表現がどんどんエモーションを出す方向になってきてるのかな? と思いましたが。

そうですね。どんどんそっちに寄ってますけど、そこは曲によってコントロールしたいなと最近思ってます。

-あと、曲に登場する主人公がいる場合もあるし、楽曲の主題がある歌詞もあると思うんですが、ご自分で歌うようになって変化してきた部分はありますか?

もともと、有機酸のときは自分のことは絶対に曲に書かないってルールを設けて書いてたんですけど、自分で歌うってことになって、自分の目で見た世界とか、自分のこと、自分の頭だから思うことを入れるとか、そういう自分中心で作詞観を作っていくっていうのはやってるかもしれないですね。

-面白いのがメロディへの歌詞の乗り方がJ-POPともまた違うところで。ラップのフロウとも違うけれど。

そうですね。ラッパーじゃないけど、メロ・ラップみたいのは好きっていう(笑)。自分はラッパーじゃないからラップはできないので、難しいですね。歌謡曲にはしたいからサビは誰でも歌えるようにしたいし。

-神山さんの曲って、歌詞がちゃんと聴こえるんですよね。そのへんには意識的ですか?

なんでしょうね......でも歌しか聴いてないんですよ、普通は。歌詞とメロディしか普通は聴こえてこないから、伝えたいことは必ず伝わりきるようにしか作らないし、逆に編曲は自分のやりたいことしかやらないって感じです。

-今回の「群青」はお題ありきでもあり、メジャー・デビュー曲ということもあるかもしれませんが、めちゃくちゃ聴感としてレンジが広がったのでびっくりして。

広いですよね。

-一番、意識したところは?

伝わりやすいことですね。広く伝えたいっていうのは一番の願いなんで、そういう作り方をしてます。今回はエッセンスをギター・ロックに振っているので、聴こえやすさとか耳馴染みの良さみたいなところに振ってるっていう意味では、やりたいことがやれたかなと思いますね。

-ギターに戻ってきましたね。

そうなんですよ、戻ってきたんです。ギター、ダサくないですよ(笑)。

-というか、1周したんじゃないですか?

単純にギターを使わない編曲とか、ギターの要素が少ない編曲みたいなのが、今、日本の中で多いから逆にやってみたというか。前作(『ゆめみるこども』)もそうなんですけど、わざとギターを入れたんです。あと、単純に楽曲が青いイメージが強かったんで、僕の中で青い印象を出すときに、若さや未熟さみたいなものがギター・ロックのサウンドだったので入れたかったって感じですね。

-ちなみに"空挺ドラゴンズ"の原作やアニメからのインスピレーションはどれぐらいあるんですか?

僕、この曲は原作の漫画を読ませてもらってから書いたんですけど、完全にインスピレーションです。もう"空挺ドラゴンズ"ありきの作品、楽曲、編曲です。

-このストーリーに対して最初はどんな印象を持ちました? いわゆる仲間がいる成長物語は漫画には多いですけど。

一番面白いなと思ったのは、特定のキャラをフィーチャーしきる感じでもなくて、結構、群像劇というか、人間にあまりフォーカスされてない感じの作品じゃないですか。僕は作品を作るときに、知らない人を観察してその人の人生を想像したり、その人の心の中を想像したりしながら曲を作ることが多いんですけど。このアニメって、めちゃくちゃ強くてかっこいい主人公がいて、そいつがどうなってとかじゃないから、作るときにすごくやりやすかったというか、いつもの制作方法とそんなに変わんなかったなと思います。

-今回の音源にはギタリストの真壁陽平さんがレコーディングに参加してますね。

ギターの真壁さんとドラムは堀(正輝)さん、ベースはサカナクションの草刈(愛美)さん。草刈さんには初めてお願いして。今回、サウンド面のテーマ的にギター・ロックで、現場で踊れるサウンドを目指していたので。

-超豪華ですね。そして2曲目の「スタンドバイミー」は歌詞的にも音像的にも「群青」との対比を感じます。

おぉ、わかってくれて嬉しい(笑)。群像劇、多くの人に焦点を当てているものと、逆にひとりに対して焦点を当てているもの。カメラが寄った感じというか。人間にすごく寄っているからそう感じるのかもしれない。

-そして、2020年の神山羊はもう始まっているわけですが、今年は何を達成したいですか?

今年ですか。何を達成しようかな......達成というかもっと多くの人に会いたいです。出会いたいって思う。そのために今の活動を始めてるから。