Japanese
2021年03月号掲載
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自身2作目のアニメ・タイアップとなった表題曲「色香水」は、前作のギター・ロックっぽさから一転、ファンタジックでどこか物悲しげなミディアム・ナンバー。歌メロが美しく聴きやすいからか、さらりと聴いても十分胸に迫る切なさがあり、そういう点ではアニメのオープニングにもってこいと言える。しかし、よくよく聴き込めば聴き込むほどにトラックの作り込みが繊細で楽しく、その奥の深さはまるで角度を変えるたびに違った色の光を放つステンドグラスのよう。哀愁漂う旋律はカップリングの「生絲」にも共通しているが、当然ながらこちらもまったく違った表情だ。この2曲を聴くだけでも、神山羊というアーティストのレンジの広さ、そしてジャンルにとらわれない自由さと懐の深さを存分に感じられる。(五十嵐 文章)