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INTERVIEW

Japanese

Non Stop Rabbit

2019年12月号掲載

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Member:矢野 晴人(Vo/Ba) 田口 達也(Gt/Cho) 太我(Dr)

Interviewer:秦 理絵

-そうなんですね(笑)。そして、「aiai」はTHEクリスマス・ソングですよね。こういう季節感のある曲ってノンラビには珍しいなと思いましたが。

田口:もともと最初の頃の僕らって、YouTubeと音楽を交ぜるのに、「いけないんだ、いけないんだ」(『全A面』収録曲)みたいな曲をやってたじゃないですか。

-"いけないんだ いけないんだ 先生に言ってやろう"をネタにした曲。

田口:そう。それがバズったときにワンコーラスだけTwitterに上げてたのが「aiai」だったんです。元ネタは「アイアイ」っていうおさるさんの曲ですね。

矢野:「いけないんだ、いけないんだ」と「犬のおまわりさん」(『自力本願』収録曲)があって、この曲ができたんですよね。

-ネタ曲を作るのは久しぶりじゃないですか? ある意味ノンラビの原点ですけど。

田口:たしかに。この曲のこともすっかり忘れてて。アルバムを作るってなったときにスタッフが掘り出してくれたんです。今の時期的にも合うからフルで作ってみました。

矢野:このアルバムでは唯一キラキラした曲だから、アクセントになってると思います。

-遊び心っていう部分では「LINEのうた」は振り切りましたね。

田口:そう。「aiai」とか「いけないんだ、いけないんだ」は童謡の歌詞を取り入れてたんですけど、これはLINEの音から曲を作ったんです。着信音とか。でも、権利的にアウトなので、それをもとにアレンジしてる感じですね。LINEの返事が来ない人について歌ってます。


周りの大人に"何者にもなれない"って言われてたはずれ者が、突然変異して、ドーンって出てくることがあるっていうのを、この1枚に込めました


-で、「二十五の自白」では"今は死ぬことよりも/何も残せない事のほうが/ほんの少しだけど怖いから"っていうフレーズもあるけど、これまでの道のりを振り返りつつ、今の自分の心境を赤裸々に書きましたね。

田口:アルバムの最後に全部を吐き出したかったんですよね。25歳になる前の最後の曲っていう意味を込めて書いたんです。もともと僕は何者かになりたくて18歳のときに上京して、こいつらに出会って、こうやってバンドを続けることができてるけど、やっぱり何者でもないって思ってるんですよ。ずっと怯える。これは自分たちのために書いてるところがあるんです。

矢野:最初に歌詞を読んだとき、泣きかけました。23歳の僕でも、これからのことを考えると怖くなるから、25歳は相当怖いんじゃないですかね。

田口:おい、何をオヤジ扱いしてるんだっ(笑)!

-太我さんは、この曲を聴いてどんなふうに感じましたか?

太我:僕もデモを聴いたときに泣きました。実際にあったことを歌ってるから。

田口:僕らが路上ライヴをしてた頃のことも書いたんです。ふたりが、僕がバイトをしてるところに来て"俺らと一緒に売れてくれ!"って言ってきたこととか、雨で誰も止まってくれないなかで路上ライヴをやって、自分には傘を差さずに、アンプに差して歌ってたこととか。

-これを25歳で歌いたいと思ったのは特別な想いがあるんですか?

田口:最初ノンラビを組んだときに、太我に"俺が25歳になるまでにZeppに行けなかったら、バンドをやめよう"って言ってたんです。今の時代ダラダラやるのは意味がないから。

太我:言ってたね。

田口:25歳までに、こいつらをZeppに連れて行けなかったら、才能があるのにやめさせなきゃいけないんだなっていうのはあったから、僕の中で25っていう数字は大きかったんです。

-この曲が最後にあることで、2度目、3度目とリピートしたときにアルバム全体の説得力が増すように感じますよね。

田口:そうなるといいですね。俺らみたいなはずれ者というか、周りの大人に"何者にもなれない"って言われてたようなやつが、突然変異してドーンって出てくることがあるっていうのを、この1枚には込めたかったんです。今回のジャケットは、サルから始まって人間になって、最後はウサギになるっていう絵が入ってるんですけど、それが僕らの進化を表してるんです。"細胞分裂"っていうアルバム名は最初に決めた状態で曲を作ってて、いろいろな幅のある曲を入れることで自分たちの進化を見せたかったんですよ。"YouTubeばっかりやってるから、王道の曲しかできないんでしょ?"って言われたくなかったし、いやいや、俺らは進化してるよっていうことですね。

-ノンラビとは、細胞分裂の過程で生まれた突然変異のようなバンドっていうことですか。

田口:そう。僕は"時代は繰り返す"っていう単語は嫌いなんです。音楽シーンとかも言いがちじゃないですか。でも、そろそろ繰り返さなくていいんじゃないかって思うんですよね。

矢野:なかなか思いつかないですよね。アルバム名で"細胞分裂"って。

太我:クセがすごいですよね。前作の"自力本願"とかもクセでしかないし。これからも、クセまみれでやっていきたいです(笑)。

-来年2月からはアルバムを引っ提げたツアーも始まります。タイトルが"武道館を狙うたてがみの生えたウサギ"ですけど、武道館、見えてきましたか?

田口:いや、まだ見えないです(笑)。

矢野:とはいえ、行くところはそこしかないですからね。

田口:だから、どうやって周りの人たちに"こいつら武道館に行けるんじゃない?"って思ってもらえるかのほうが大事だなと思ってて。僕らは目の前にあることを必死にやって、いい音楽を作って、こいつらならいけるよって思わせることが仕事だと思うから、このタイトルを付けました。

-なるほど。まず、このツアーはファイナルの豊洲PITに向けてということだと思いますけど、どんなツアーにしたいと思いますか?

田口:今回はライヴで勝負できる曲を増やしたから、汗かいて、涙を流して、いろんな穴をびしょびしょにして帰ってもらえたらと思いますね。ライヴキッズ、カモン! っていう気持ちで書いたんですけど、あんまりライヴハウスに来たことない、YouTubeから入ってくれた人たちも、それに揉まれて"ロック面白いな"ってなったらいいなと。

矢野:今までのツアーで感じたことがないぐらい、お客さんにも達成感があるといいなと思いますね。また次も来たいって思ってもらえるライヴをしたいです。

太我:ツアーは2020年が始まったばっかりの時期なので、"今年はノンラビの年になる"って思わせるライヴにしたいです。今そういう年になるように着々と準備もしてるので。