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INTERVIEW

Japanese

魔法少女になり隊

 

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Member:火寺 バジル(Vo)

Interviewer:秦 理絵

-「メリーゴー エンドオブザワールド」の3拍子なんかは、新しいですよね。

これは、最後にできました。3拍子って、遊園地を想像しやすいものとして欲しいけど、最初ウイさんが、"絶対に嫌だ。引き出しにないもん"みたいなことを言って、全然作ってくれなかったんですよ。だから、みんなで"こういうのどうすっか?"って、参考音源みたいなのを出して、ウイさんを説得して(笑)。そしたら、ずっと機材車で移動しながらクラシックを聴いて勉強してましたね。

-結果これをリード曲に持ってきたのは、挑戦だと思います。

そうなんですよ。せっかくだから新しいもので攻めたかったんです。

-ちなみに、今回はバジルさんの単独インタビューなので、ヴォーカルのレコーディングって、どんな感じで進めるのか聞いてみたいです。

うちのレコーディング・スタジオは面白くて、ウイさんが、ずっとスタジオにいるんですよ。歌録りは、私とウイさんと作詞者が参加するんです。

-作詞者も参加するのは、言葉のニュアンスが大事だから?

そう、特に言わないですけどね。"こういう言い回しにしてほしい"ぐらい。基本的にウイさんが全部ディレクションするんですけど、それが、本当に厳しいんです。

-どういうところにこだわるんですか?

"気持ち元気。でも、泣きそうな感じ"とか。監督の演技指導みたいな感じですよね。たぶん自分の頭の中にはこれっていう表現があるんですけど、それを私っていうフィルターを通してどこに正解があるのか探りたいから、何パターンが試すんですよ。"まず、100パーセントで歌ってみて"、"じゃあ、次は80パーセントにしてみて"、"うーん......65パーセントにしよう"。

-結構刻みますね(笑)。

そういう微妙なニュアンスを試して一番いいところを探すから、難しいですね。

-今回も大変でしたか?

大変でした。「シャボン」のセリフっぽいところを何通りも試すとかして。でも、一番難しかったのは、「Zombies bop」だったかも。いつもの声の感じだと、弱々しく聴こえるみたいで。"いつもよりパワフルに"って言われたんですけど、パワフルにしすぎると、違う。ちょうどいい感じを探すのが、難しくて苦戦しましたね。

-それだけ歌が大事なバンドっていうことでしょうね。

そうですね。バンドを組んだときからずっとこのやり方なんです。

-ここからは収録曲について、もう少し詳しく聞ければと思います。まず、1曲目「コースター」から。これは、リード曲でもおかしくない疾走感のある曲ですが。

ライヴでやったら、ぐっときそうな曲に仕上がりました。これは、ウイさんの得意分野だと思いますね。私は、最後のセクションが好きなんですよ。

-あ、私もです。ギター・ソロをきっかけにコーラス・ワークで高揚感が加速するところ。

あれは、みんなでコーラスを歌ったんです。メンバーとスタッフのみなさんで。でも、ウイさんだけ声がデカくて目立っちゃうから、隣の部屋まで行ってもらって、ひとりだけ孤島に取り残された状態で歌ってもらったんです。それでも、目立ってましたけど(笑)。

-明治(Gt)さんの歌詞は、どう思いましたか?

明治さんに限らず、gari(VJ/Vo)さんも私が歌うことを頭の中に置いてくれてるので、私が言わなさそうな言葉とか言い回しとかは、選ばないんですよね。それぐらい寄り添って書いてくれてるけど、ちゃんと独自の世界はあるんです。そのバランスがいいなって。

-たしかに「コースター」には明治さんの中の熱い部分を感じます。

ミステリアスで謎多き女性だと思うんですけど、内に秘めてるものが表現されてると思います。あと、ちょっとだけ私に宛ててるんじゃないかな? と思うところがあるので、ぐっとくるんです。

-そこ、詳しく聞きたいです。

明治さんがどう思ってるかはわからないけど、もともと私たちは、友達から始まってるんですね。でも、バンド・メンバーとなると、もうただの友達同士には戻れないっていうのを書いてるのかなと感じるんです。

-流れていく時間のなかで変わってゆく関係性を書いているというか。

"またふたり おしゃべりをしようよ"とか、考えてしまいますよね。そういうのが見え隠れするから、明治さんの歌詞を歌うときは、私も素の自分になるところが多いかもしれないです。前作の「周回とセイレーン」とかもそうですね。

-「メリーゴー エンドオブザワールド」も同じ明治さんの作詞ですけど、ファンタジー全開の世界観で。

明治さんって、こういうのが得意だと思うんですよ。お話とか絵で世界観を考えるのが得意なんです。去年、ハロウィン・ワンマンも明治さんが漫画を描いて、その世界観に魔法少女になり隊が閉じ込められちゃったっていうテーマでやったんですけど、そういう独自の世界を持ってる人だから、こういう歌詞が書けるんだと思います。

-「Zombies bop」は、今回のアルバムでは唯一gariさんのシャウトが入る曲ですね。これぞ元祖ましょ隊というか。

シャウトが豪快に入ってからのキャッチーなサビみたいなのが、うちらの王道パターンですからね。これは、早くライヴでやりたいです。gariさんがシャウトするパートでワンフレーズを何回も繰り返すんですけど、そこが、みんなで叫べるポイントなんですよ。シャウトをみんなで歌うのは、やったことがないですよね。

-そう考えると、王道だけど、ちゃんと新しいものになってる。

そこでどういうカオスが見られるのかなと思ってます。あと、歌詞はgariさんがゾンビというテーマで書いてくれて、すごく腑に落ちたんです。このワード・センスは、すごいですね。この曲のためにgariさんは、ずっとゾンビ映画を観てたらしいです(笑)。

-「シャボン」は、バジルさんの作詞ですね。一番ポップな曲調で。

ラヴ・ソング寄りにしてみました。

-今回ジェットコースター、メリーゴーランド、お化け屋敷、パレードっていうふうにそれぞれ遊園地の一部を連想できるけど、「シャボン」は、何にあたるんですか?

裏設定なんですけど、「シャボン」は、遊園地の帰り道の切なさっていうポジションですね。入り口の楽しさと帰りの切なさがセットで遊園地だと思ってるので。