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INTERVIEW

Japanese

ペンギンラッシュ

2019年06月号掲載

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Member:望世(Vo/Gt) 真結(Key) 浩太郎(Ba) Nariken(Dr)

Interviewer:TAISHI IWAMI

名古屋を拠点に活動する4人組、ペンギンラッシュが2ndアルバム『七情舞』を完成させた。ジャズやファンク、どこか懐かしい日本のポップスの要素などを基調としながら、それらを溶け合わせたり、切り貼りしたりするセンスにおいて、冷静と情熱の間を縫うような、ペンギンラッシュにしか出せない温度感がますます極まってきている印象を受ける。しかし、それは決して奇を衒ったり、主流に対し個性的であることを狙ったりした印象はない。力の抜けた力強さから生まれるオルタナティヴなヒット性の秘密に迫るべく、今回は4人の音源制作のプロセスに目を向け、その秘密をひもといていった。そして出た答えは、偶然なのか必然なのか。いずれにせよ、表現において、ひたすらにやりたいことの純度を突き詰めることの大切さが詰まった時間となった。

-前作『No size』(2018年リリースの1stアルバム)もそうなんですけど、ジャケットが好きなんです。無機質な中にものすごく想像力を掻き立てる要素がある。まさにクールな装いに内燃する凄まじい情熱を感じる、ペンギンラッシュの音楽そのもののような独特の温度感があります。

真結:これは前作に引き続き、私たちが信頼しているデザイナーの方に手掛けてもらいました。すごく気に入ってます。

前作のインタビュー(※2018年8月掲載)では、ジャズやファンクはベースにありながらも、最初から"ジャンル"で音楽を聴いてきたわけではないことから、限定的に括られるような音楽ではないものを作りたいとおっしゃっていました。

望世:その"ジャンルに縛られたくない"という考えもあまりなかったように思います。私たちがやればそうなるからとにかくやりたいことをやろうって。

-また、ひとつのコンセプトとして"人生で繰り返す陰の部分を表現したい"とも。

望世:12曲あった前作に対して今作は7曲くらいに落ち着くことは最初からわかっていたなかで、何かしらコンセプチュアルなものにしようとは思ってたんですけど、あまりならなかったです。

真結:でもこの7曲でひとつのアルバム感はしっかり出せたと思います。

-タイトル"七情舞"の"七情"は仏教や儒教、医学などで用いられる言葉ですが、それぞれ7つの感情が若干異なります。

望世:そこはあまり深く考えてなくて、すみません(笑)。語感が好きだったのと人間の感情が舞っている様を表したくて。雰囲気的なもので、そこまでタイトルに強い主張があるわけではないんです。

-前回は望世さんと真結さんおふたりのインタビューだったので、浩太郎さんとNarikenさんは初登場となります。今作が完成しての感想を聞かせてもらえますか?

Nariken:全体的に今までにない攻めたフレーズが多かったように思います。僕のドラムに関しては自分で叩いておいて"なんだこれ?"って思う部分が多くて、あとで聴くとすごく面白いです。

浩太郎:前作との違いとなると、音色を結構いじりました。ベースだけどエフェクティヴな音を出してみるとか。

真結:初めてやったことはいろいろあったよね。私も、最後の「青い鳥」では鍵盤ハーモニカをリードとして採り入れたり、ローズ・ピアノを弾いたりしているんです。

-音のバリエーションもそうですし、曲の展開や演奏もすごく表情が豊かになったと思うんです。前作には前作の良さがあり、そして今作にはいろんな経験を経たからこその魅力がしっかり詰まっていると感じました。ふたつの作品の間にバンド内で何か大きな変化はありましたか?

望世:前作はリリースこそ去年なんですけど、高校生のときに作った曲もあったし、青さがありました。今回はすべてバンドが本格的に動き出して以降の曲なんで、単純にその違いなんだと思います。

-バンド内で方向性や技術的なことなど、じっくり話し合うことはないんですか?

真結:それがないんですよね(笑)。

Nariken:あったかなぁ......。たしかにない。

-熱くなることは?

望世:まったくないですね。それでいいのか(笑)。作曲やスタジオでの演奏はそれぞれ情熱を込めてやってると思うんですけど、そういうメンタル的なことを表立って共有することがないんですよね。だから、メンバーみんなでインタビューを受けるとこんな感じでまとまらない......。

真結:曲によりけりですけど、お互いにやりたいことはちゃんと言うし、できるかどうかわからないことはとりあえずやってみるみたいな空気はありますよ。

浩太郎:特にドラムのことはいろいろ言うよね。

真結:無茶だと思って言っても意外とやってくれるから(笑)。