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INTERVIEW

Japanese

まちぶせ

2019年02月号掲載

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Member:野々山 領(Gt/Vo) 山崎 強(Ba/Cho) ペンタ(Support Dr)

Interviewer:加藤 智裕

前作『Be Yourself To Rebel』から約5年、まちぶせが待望の流通盤『ウェイティングフォーユー』をリリースする。バンド名の"まちぶせ"を英訳したタイトルが冠された今作は、メンバー・チェンジやフロントマン、野々山 領の意識の変化を経た新しいバンドの姿が見える作品となっている。Skream!初登場となる今回は、今後メインでサポートを行うというドラマーのペンタも交え取材を敢行。野々山の人となりが垣間見える和気あいあいとしたインタビューとなった。

-Skream!初登場となりますので、バンドの成り立ちからうかがっていけたらと思います。2010年12月に野々山さんを中心に結成ということですが、どういった経緯で?

野々山:もともとバンドをやりたいと思っていて大学の友達とやっていたんですけど、就職とかでやめちゃって。それでライヴハウスで知り合った友達とやり始めたって感じです。最初から3ピースだったんですけど、まず友達が少なくて。本当は4人のバンドをやりたかったんですけど集まらなかったんです(笑)。ふたりを見つけるのが精一杯で。THE BEATLESとかアジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)のようなギターが2本ある4人のバンドに憧れてたんですけど、3ピースに勝手になっていったんです。でも(やっていくうちに)だんだん3ピースのかっこ良さもあるな、いいなという感じになってきました。あと4人で予定を合わせるのって煩わしいじゃないですか。一番めんどくさくない人数で楽にできるのが3ピースじゃんって思って。

-今であれば繋がりも増えたでしょうしギターを増やすこともできるんじゃないですか?

野々山:もう今さらな感じが......。ギターをもうひとり入れることによってサウンドの広がりは出せるんですけど、俺が目立つところ少なくなるぞって今は思います。

-バンドを始めた理由は目立ちたいというところから?

野々山:目立ちたい、モテたい......相手にされたい、友達欲しい。

山崎:相手にされたい(笑)。

野々山:あと俺が言っていることを聞いてほしい、優しくされたい(笑)。バンドを始めるまでは"あいつ何言ってんだよ"みたいな感じで相手にされてなかったんですけど、ステージ上で喋ってたら一応みんな聞いてくれるんで。

-そういうことが曲に出てきているわけですね。

野々山:曲に乗せることによって言ったことも誰か聞いてくれるかもしれない。そもそも言いたいことがあれば街で演説してればいいんですよ、"日本がダメになるぞー!"みたいな。ただ、そんなことしたら"ヤバい人いる"ってTwitterに上げられるじゃないですか。でもそれを曲に乗せたらヤバい人にならないんじゃないかって。そこまで尖ったことは言ってないかもしれないんですけど。俺は日常生活的なところから見える世界を歌うのがいいのかなーと思ってますね。社会風刺ではないんですけど、自分という人間を通した、今の日本の時代性とかその世代の感じとか、日本の社会がちょっと遠くで見えるくらいの歌詞を歌うのがいいなって。

-メンバー・チェンジを経て、2018年に山崎さんが加入されるわけですが、こちらの経緯は?

野々山:彼は昔から知り合いで。

山崎:数少ない友達。

野々山:出会った当初は友達とは思ってない。知り合いくらい。

山崎:なんで急に尖ったの(笑)? 自分がやっていたバンドふたつあったんですけど、立て続けに解散して。"バンドもういいかな"ぐらいになってたんですけど、そのときに"解散するわ"って報告したら――

野々山:ちょうど僕がひとりでやり始めたときぐらいのイベントで彼のバンドを呼んだんですけど、そしたらそのイベントで解散しやがったんです。葬式にすんなよ、事故物件だわって。

山崎:言いすぎだぞ。

一同:(笑)

野々山:解散するって聞いたときに、僕も(メンバーが)いなかったので"拾ってやってもいいよ"みたいな(笑)。

-でも山崎さんは"バンドはもういいかな"ってなっていたのに、なぜもう1回やろうと思えたわけですか?

野々山:僕のことを好きだったからじゃないですかね。

山崎:俺に聞いてんの(笑)! 本当はバンドをやりたかったんですけど、解散とかって全部自分のせいじゃないというか、誰かがやめるって言い始めてそういう雰囲気になったりして。もう人に自分の人生を左右されるのはいいやって投げやりになっていたんですけど、まちぶせならいいかって感じでしたね。

-レコーディングは順調でしたか?

野々山:レコーディングはほぼ僕しかやってないです。僕がひとりで録り溜めていたやつをミックスし直してもらうとか。自分がやっているのもあるんですけど。あとは友達にドラムを叩いてもらったり楽器を弾いたりしてもらって。メンバーがいなかったときにも音源だけはずっと作っていて、アルバム分くらいは溜まったなっていうときにレーベル(elevatormusic)の江口君に渡したら、"これで出せばええやん"って言われたんです。いろんな人に支えられて僕は生きていけてます。

-結成から8年経って、友達が増えたわけですね。

野々山:ふるいにかけた結果、純金みたいな人しか残んなかったですね。

山崎:今の使ってくださいね(笑)。

-(笑)バンドのスローガンとして"反抗するなら自立しろ"という言葉がありますが、どういったことから生まれた言葉だったのでしょうか?

野々山:青春パンクがすごい好きで。ガガガSP、銀杏BOYZとか、サンボマスターとか。ガガガSPがライヴで毎回"神戸のゴキブリ、ガガガSPです"って言ってて、それがすごくいいなって思ったんです。それで何かそういう言葉があればっていうので、"同情するなら金をくれ"をもじっただけなんですよ。パンクは好きで憧れているけど、自分の感じがパンクじゃないっていうか、暴力的ではないし、革ジャンを着たりもしない。ぶち壊すほどのメインのカルチャーがないので、反抗してる暇があったら自分で自分をなんとかしろっていう戒めです(笑)。

山崎:"反抗するぐらいなら自立しろ"ってことか。初めて知った。

-由来続きで"まちぶせ"というバンド名に込められた意味は?

野々山:ひらがなにはしたくて。英語のバンド名ってメッセージ性も音楽性もあんまり日本人にはピンとこないというか。海外を目指してる人が付けるならいいんですけど、僕は"周りの人に聴いてほしい"から始まったんで、自分のアティテュードがわかる名前がいいなって思って。バンド名を何にしようかなっていうときに本を読んでて"待ち伏せ"って書いてあったんですけど、それがなんとなく頭に残ってたんです。漢字だと怖いなと思ったので、ひらがなだったら柔らかく見えるんじゃないかなと。攻めてるような、ただ待ってるだけのような、どっちなんだろうって。パンクなんだけど、めっちゃ受け身じゃんみたいな感じが自分っぽいなと思って、これも自分への戒めです(笑)。

-何かと戒めが......(笑)。

野々山:常に自分への戒めですね。"「反抗するなら自立しろ」でお馴染み、まちぶせです!"、"はい、すべてこれは俺じゃない!"っていう。毎回ハッとします(笑)。